コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第25回

2014年8月15日更新

編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番

第25回:富野由悠季監督の15年ぶりオリジナルガンダム「G-レコ」とは

1979年に「機動戦士ガンダム」が世に送り出されてから35年となる今年、ガンダムの生みの親である富野由悠季監督が満を持して送り出す最新のガンダム作品「ガンダム Gのレコンギスタ 特別先行版」(以下「G-レコ」)が、8月23日から劇場上映されます。富野監督のガンダム作品は、2005~06年にかけて「機動戦士Zガンダム」の劇場版3部作が公開されましたが、あちらは1985~86年に放送されたテレビシリーズを再構築したもの。完全オリジナルの新作ガンダムとしては、ガンダム20周年の99年に発表された「∀(ターンエー)ガンダム」以来、15年ぶりの登場です。

富野由悠季監督が送り出す「ガンダム Gのレコンギスタ」
富野由悠季監督が送り出す「ガンダム Gのレコンギスタ」

物語の時代設定は、「機動戦士ガンダム」シリーズの宇宙世紀(ユニバーサル・センチュリー=U.C.)よりはるか未来となる、新たな時代「リギルド・センチュリー(R.C.)」。宇宙移民と宇宙戦争の歴史となった宇宙世紀が終焉し、リギルド・センチュリーの人類の営みは、平和とともに続いていくと思われていた。しかし、R.C.1014年、地球と宇宙をつなぐ宇宙エレベーターの「キャピタル・タワー」を守護するキャピタル・ガードの候補生ベルリが、謎のモビルスーツ「G-セルフ」と遭遇。さらに、G-セルフ操縦者の宇宙海賊という少女アイーダ・レイハントンとの出会いから、リギルド・センチュリーの歴史を揺るがす真相に迫っていく。

今回「特別先行版」として上映されるのは、この秋(10月)から放送予定となっているテレビシリーズ(全26話)の1~3話をまとめたもの。まだ基本設定やあらすじ以外は明らかになっていないものの、冒頭10分間がネットで無料配信されており、新たなガンダム世界の一端をいち早く確認することができます。

富野監督の作品といえば、先述の「Zガンダム」や、その後の「Vガンダム」(93~94)など、登場人物に多数死者が出るものが多く(ガンダム以外でも「伝説巨神イデオン」「聖戦士ダンバイン」などが代表的)、その作風からファンの間では「皆殺しの富野」とまで呼ばれたことは有名です。が、98年の「ブレンパワード」からその作風はなりをひそめ、ほとんどの登場人物が生存したまま終幕するように。その後も牧歌的な雰囲気を携えた「∀ガンダム」や、明るくはじけた「OVERMAN キングゲイナー」(02~03)と続き、劇場版「Zガンダム」も、主人公が精神崩壊してしまうというテレビ版のラストとは異なる、救いのある終幕が話題を呼びました。

主人公ベルリ・ゼナム
主人公ベルリ・ゼナム

こうした経緯を経て、新たに生み出される「G-レコ」は、明るく、青春を謳歌していた主人公が、海賊の少女とG-セルフというモビルスーツと出会うことから運命が動き出していく「ボーイ・ミーツ・ガール&ロボット」ものになっているそうで、公開されている10分間を見る限りでも、これまでの富野ガンダムとはまた異なる、強いて言えば「キングゲイナー」に近い、明るく突き抜けた作品になっているのではと思わされます。

「∀ガンダム」で富野監督は、全てのガンダム作品を包括する「黒歴史」という概念も生み出しており(ちなみに「G-レコ」のリギルド・センチュリーの後に、「∀ガンダム」の時代である正暦が訪れるとの設定)、今作ではまたどのような新しい概念や仕掛けを見せてくれるのかも期待です。宇宙世紀を舞台にした「機動戦士ガンダム」の続編が、さまざまなクリエイターによって生み出されていったことを考えると、今度は「G-レコ」で描かれるリギルド・センチュリーを舞台にした続編が生み出され、新たなガンダム世界が広がっていくかもしれません。

どんな名セリフや名場面が生まれるかに注目
どんな名セリフや名場面が生まれるかに注目

また、富野監督作品では、「富野節」と呼ばれる独特なセリフ回しも特徴で、「機動戦士ガンダム」の名セリフ、特にシャア・アズナブルの発したセリフの数々は、LINEスタンプになるなど、いまなお人気なのはご存知の通り。「G-レコ」は全話を富野監督が自ら脚本も手がけているとのことで、どんな名セリフ、名場面が飛び出すのかも注目です。

毎クール、多数の新作が放送されるテレビアニメをチェックするアニメファンの間では、3話まで見たところで、視聴を継続するか否かを判断するというのが定説になっていますが、今回の「特別先行版」は、まさにその目の肥えたアニメファンが、見るか見ないかを判断する3話までの上映。放送や配信よりも1カ月以上早いこの時期に3話まで見せることは、そこで終わらせるのではなく、続きを見たいと思わせる作品になっているという自信の表れかもしれず、そう考えると、ますます「G-レコ」が楽しみになってくるのではと思います。

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■「ガンダム Gのレコンギスタ 特別先行版」
2014年/日本
監督:富野由悠季
声の出演:石井マーク嶋村侑寿美菜子
8月23日から劇場イベント上映、9月8からdアニメストアにて配信
作品情報
10月からMBS他アニメイズム枠にてテレビシリーズ放送スタート

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

映画.com編集部・あさかよしあき。編集部のアニメ好き。若手女優やアイドルのチェックにも余念がない。もちろん普通に映画も好き。

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