コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第17回

2013年11月15日更新

編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番

第17回:2013年ジブリイヤーを締めくくるために見逃せない2本

さすがの貫録で興行収入100億円の大台も突破した宮崎駿監督の引退作「風立ちぬ」は、7月20日の封切りから4カ月となりますが、まだまだ全国で絶賛上映中(⇒上映館検索参照)。最終興収は120億円が見込まれています。そんな中、ついにスタジオジブリのもうひとりの巨匠・高畑勲監督の最新作「かぐや姫の物語」が11月23日に公開となります。

「かぐや姫の物語」
「かぐや姫の物語」

高畑監督の前作「ホーホケキョとなりの山田くん」から早14年。「かぐや姫の物語」は、日本最古の物語と言われる「竹取物語」を映画化したもの。竹の中から姿を現したかぐや姫が人の手によって育てられ、やがて月へと帰っていくという誰もが知る筋書きですが、その年月の中でかぐや姫が何を思い、育っていったのか、そしてどんな気持ちで月へ帰らなければならなかったのか、その細かな心理描写を加えたことで、誰もが知っているはずの物語がグッと深まり、単なるおとぎ話だと思っていた「竹取物語」の登場人物に感情移入できるようになっています。

そんな物語や人物造形もさることながら、その画力(えぢから)が圧巻。予告編等をご覧になった方はおわかりと思いますが、従来のアニメのセル画風ではなく、背景とキャラクターが一体化し、スケッチ画がそのまま動いているように見えます。かぐや姫の感情とともに線が荒々しく躍動したり、流麗になったり、シンプルではありますがまさに美麗といえる画面に、2時間17分という長めの上映時間を忘れて引き込まれます。これを作ったのが御歳78歳の高畑監督なわけですから、あらためてその創造力に驚かされます。

「風立ちぬ」は宮崎監督の引退作となり、代表作のひとつに数えられることは間違いないと思いますが、「かぐや姫の物語」もまた、高畑監督のフィルモグラフィの到達点と言ってもいいかもしれません。高畑監督は明確に引退宣言をしていませんが(映画監督が引退宣言するほうが珍しいわけですが)、今作のために実制作期間だけで8年間も費やしていることを考えると、次の作品がまたあるとは考えにくいと思います。宮崎監督と高畑監督の最後の(最後になるであろう)作品がそろって公開される2013年。やはりどちらかだけではなく、両方をしっかり見届けてほしいと思うところです。

そして、そんなジブリイヤーを締めくくるため、実はもう1本見てほしいのが、11月16日から公開されるスタジオジブリのドキュメンタリー「夢と狂気の王国」です。

「夢と狂気の王国」
「夢と狂気の王国」

「エンディングノート」で高い評価を受けた砂田麻美監督の第2作で、砂田監督が自らカメラを携え、12年秋から約1年にわたりスタジオジブリに密着。主となるのは「風立ちぬ」を手がける宮崎監督の姿ですが、徐々に佳境にさしかかっていく制作現場の様子は一見穏やかでありながらも、刻々と迫るスケジュールに間に合うのかスリリングであったり、カメラの前に出てくれば饒舌な宮崎監督に対して、この映画の中ではほとんど姿を現さない高畑監督が、それゆえに対比的な存在として浮かび上がり、永遠のライバルともいえる2人の複雑な関係性が垣間見えます。また、宮崎吾朗監督が新作企画についてプロデューサー陣と舌戦を交わしている姿なども見受けられ、これからのジブリを見守り続けるファンには興味深いと思います。

「風立ちぬ」に加えて「かぐや姫の物語」と「夢と狂気の王国」を見て、日本アニメ界にとって大きな歴史の通過点になり、後々に語り継がれるであろう2013年を締めてみてはいかがでしょうか。

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

映画.com編集部・あさかよしあき。編集部のアニメ好き。若手女優やアイドルのチェックにも余念がない。もちろん普通に映画も好き。

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