SHOGUN 将軍のドラマレビュー・感想・評価
戦国時代にカトリックとプロテスタントの対立を描く
真田広之が全面的にプロデューサーとしてクオリティコントロールにも関わっているとのことで、非常に本格的な作りになっている。衣装もセットも豪華、絵作りが圧倒的にリッチだ。芝居の質も高いし、この予算規模で日本の時代劇をアメリカで作れるとは驚く。80年代にテレビドラマを制作した時も大きな人気を博した同原作は未読なのだけど(日本では絶版、再販してほしい)、西洋的な視点はたくさん入っている。イギリス人が日本に流れ着いて、その視点で物語が展開するので、珍しいものを観ているという感覚はどうしてもあるが、細部の描写にこだわりとリスペクトを感じさせる。
日本の時代劇ではなかなか出てこない発想も盛り込まれている。それは、日本の戦国時代を舞台に、カトリックとプロテスタントの対立を描いている点。当時は宗教戦争で2つの宗派が争っていた時代であることを反映しているわけだが、日本史だけでなく世界史の流れも汲んだ上で物語を構築している点が興味深い。
仕事の遅い人々の住む異世界にアメリカンヒーローが迷い込んだファンタジー
1975年のアメリカの小説『将軍』の実写化ドラマシリーズ作品。オランダ船に乗ったイギリス人が安土桃山時代の日本に漂着し、徳川家康に召し抱えられ、侍となった実話が元になっている。
大きな賞の受賞歴があり、ネットニュースでかなり話題になっていた作品だったので、楽しみにしていたのだが、正直楽しめなかった。以下、理由を列挙してみる。
第一に、話の展開が遅く、目的も行動も不可解。
三話ぐらいまでは、そこそこのテンポで話が転がっていくのだが、その後は戦争するのかしないのか、なんとも曖昧な状態で、思わせぶりな会話を中心とする陰気な展開が最後までダラダラ続く。
主人公が狙われる訳も、カトリック勢力の陰謀もどこへやら。白人主人公が文化の理不尽さに振り回され、現地に馴染む努力もせず、能力のアピールもせず、言いたいことを怒鳴ってイライラするだけの展開である。
お色気シーンやグロ描写も無理やり挟まっているが、ストーリー上必要とは思えず、演出側の趣味的なものを感じる。常に天気が悪いのも演出の好みを優先しすぎである。
史実で関ヶ原の前後というのは、面白いエピソードが山ほどあり、個人的に好きな時代の一つなのだが、このドラマでは内容が何故かスカスカである。
いっそハリウッドらしく、アクション映画風に大幅に創作して、白人が単身敵の本拠に乗り込み、ニンジャ、サムライ相手にドンパチやって壊滅させる話にすれば退屈させずに済んだのでは。
第二に、異世界といっていいほど変テコな世界観である。日本人の不可解さが大きなテーマになっていて、外国人からみてミステリアスに映る文化の紹介に異様な比重がかけられている。
例えば上官から命令されれば潔く切腹、名誉が傷つけられるぐらいなら切腹、相手に抗議するなら切腹、といった感じで、切腹や死生観の異様さがメインテーマであり、かなり大袈裟に描かれているのだが、誇張され過ぎて日本人から見ても変な世界である。
本心を言わず曖昧に誤魔化す部分も目立つ特徴で、本心を言わない代わりに、哲学っぽい言い回しや、よく分からない例えのラリーが続くのだが、こんなまわりくどい会話しかできない民族はバカみたいである。また、些細なことでいちいち自殺する民族もとっくに滅亡しているだろう。
16世紀の日本人は実用的な武器や知識に貪欲で、しなやかに逞しく生きている。決してWW2の日本軍のように根暗で頭が固く、閉鎖的な民族ではない。その辺の誤解の溝の大きさが、居心地の悪さとなって作品を楽しめなくしている。
第三に、主人公のキャラクター。なぜか現代物のアクション映画ヒーローのテンプレみたいな性格なのが気になるところ。すなわち、口が悪く、信念を曲げず、逆境にも弱みをみせないタフガイで、崖に落ちたり土砂崩れに巻き込まれた相手を救うことで信用を得ていく。
それ自体は悪くないのだが、本作では船の舵手である自分に拘り、現地に馴染む努力をせず、本国へ帰りたがるばかりの、ただの通りすがりである。これにアメリカンヒーロー風のお説教シャウトが加わると、どうにも感情移入できないイラっとくる傍観者になってしまう。
現実の三浦按針が、もっと魅力的な人物であっただろうことを思えば、この主人公の可愛げのなさは残念でならない。
シンプル&したたかなハリウッド大作
もちろん巨費を投じた、よくできたTVドラマです。なにしろポスプロ2年! そして10話で2億5000万ドル=360億円!という予算は北野武監督『首』の15倍以上です。現在の主流の映像文化を精密に研究して、それに合わせるべくカメラの操作も色調設計も、俳優のキャスティングも、すべてがチューニングされている(前作に比べて画面がヘンだという感想は、単に映像感覚が現在にアップデートされてないだけです)。それを見るおもしろさが、まず第一。
単なる外国人の視点だけではない、国内の政争と内紛をこまかくドラマ化しているのも、周到です。ここは予算関係ないはずだけど、日本の時代劇でこんなに陰翳にとんだ脚本はまず作れない。この面白さが第二ですね。
一方で、ハリウッド映画が延々とつくりつづけてきたアジア人蔑視…というか少なくとも「アジア人を異質なもの・珍奇なものとして見る」視線は、真田広之さんの奮闘にもかかわらず、しっかり残っています。
たとえば捕らえられた按針が、「こんな呪われた土地で死にたくない」「やつらの無気力な狂気には屈しない」とつぶやくところ。長年日本で布教をこころみたが挫折したイエズス会神父が、「日本人とゲームするのは無理だ。彼らのルールはあまりにも分かりにくく、彼らは決して本心を明かそうとしない」と吐き捨てるシーン。
日本に来たアメリカ人(とくに白人男性)と深くつきあったことのあるすべての日本人が聞き覚えのある言葉だと思いますが、このあたりは日本人・日本文化に対するまさに典型的なハリウッド流の視線なんですよね。そうした伝統的なハリウッド目線を、重厚正確な日本文化の映像(こまかく監修した日本の美術・衣装・大道具)と、たくみに張り合わせているのが、今回の『SHOGUN 将軍』の特徴で、これは真田さんたちが賢く選び取った戦略だと思います。
いずれにしても、これは「日本発のコンテンツがスゴい」ドラマでは全然なく、「一般観客にまったく馴染みのない日本の中世文化のドラマに巨費を投じてしまえるハリウッドがスゴい」ドラマ。映画だろうとTVだろうと日本の時代劇ではどうやっても撮れないショットの数々は、一見の価値があると思います。
クオリティは高く満足度も高かった
外国の制作する日本モノには
必ず「?」感が付きものだが
全体的に嘘っぽく無い仕上がりは
恐らく真田氏の努力も有ったはず。
昔を見せる「灯り」は違和感なく
セットや衣装を引き立てていた。
人物への撮影集点は対象者に
その周辺をボカす事で浮き立ち
演技をする人物をリアルに見せた。
この灯りやフォーカスについては
ほぼ全編に渡り統一されていて
内容に入りやすく好印象を持てた。
しかし演者は変わりないとして
お金なのか?技術力なのか?
なぜ日本で出来ないのか不思議で
不思議でならない。
一方、気になったのは綺麗な石垣で
整頓された作り物感ありありで
石を組み作り立てとしても
実物を知っているだけに
う〜ん、となったが些細な事か?
絶賛では無いが、枯山水の使い方
侘び寂びの表現と無の心は
素敵以外の何ものでも無く
セット、照明、衣装、演技と
歴史エンタメの世界を堪能した。
この日本には無い感性
日本では現せない作りには
感心すると同時に悔しくもある。
※
外国産の本格的な時代劇。(時代考証あり。ただし創作物として割り切って見ること)
私は1980年版も原作も見ていませんし大河ドラマも詳しくありません。昭和時代の民放の時代劇は好きで見ていましたが、現在は映像の解像度が良くなっているので人が切られた時などのリアル感が増していてそういう場面は苦手です。また、見たくない部分だけ早送りするというのがストリーミング再生だと難しくて、好きな場面を振り返る時に少し厄介ですが、使用している回線や時間帯の関係はあるのかな?
それから時代考証がされているもののやはり野外(ロケ地の植生や地形など)では違和感が少しだけありました。ただし私がよく見ていた時代劇は主に江戸時代中期〜後期であることと、現代の日本国内で1600年頃の面影の残る場所でこのような大規模な戦国モノが再現できるとは思えないので、こういうものだと割り切って見るようにしたら途端に「幻想的な風景」「壮大な雰囲気」と見られるようになりました。
今作はクラベル氏の原作に沿った内容で終わっているため続編撮影にはまず脚本作りから始めないといけないことも知りましたが、あの終わり方では主要人物にあまり面白みのある内容は残っていないような気がしますから本当は続編ではなく、徳川家康や三浦按針などのよく知られた名前が使われた内容の歴史モノが見たいです。
または真田広之さんが松竹や東映や東宝などで活躍するところも見たいです。
初めて戦国スペクタルにハマった!
映画.comさんに最終2話試写会に招待頂きました!
ありがとうございました!
自分は時代劇は好きな方ではないけれど、この「SHOGUN」にはハマった!
外国人のジョン・ブラックソーンの視点から描かれる戦国時代の日本の文化・風習...その異常さや美しさが自分がこのドラマにハマった理由だった。
9話は緊張の展開が続き、ラストは衝撃の展開!
10話は最後は大きな合戦で終わるかと思いきや、静かで美しいフィナーレ!
先の読めないストーリーに最後まで楽しめた!
登場人物だと特に浅野忠信演じる「樫木藪重」が印象的で、
登場から最終話まで目の離せない人物だった。
これがきっかけで浅野忠信にはさらに世界の映画・ドラマで活躍してほしい!
また「SHOGUN」のような予算を存分につぎこんだ戦国スペクタルを見たい!!
リチャード・チェンバレンの詰めの垢を煎じて飲め。
80年のリチャード・チェンバレン主演のSHOGUNが好き過ぎるので、他の視聴者と同じ目線では見れず斜めから見てる感じで語ります。
まずブラックソーン役がダメ。薄い。リチャード・チェンバレンにはまったく及びません。
前作・今作共にブラックソーンの目の前で侍が躊躇なく無辜の村民の首を刎ねるシーンがあるが、現ブラックソーンからはその驚きが響かない。前作の”侍の無慈悲さ”が伝わってこない。ここは演出の問題もああると思う。異文化の衝突的なカルチャーショック感がイマイチ感じられない。
鞠子もダメ。いかにも現代的な価値観の人間が作った強い女性という感じで、ビジュアルも現代人女性が着物着てるだけにしか見えない。女性陣のメイクも今風で、なんか戦国時代感からかけ離れている。お歯黒しろとまでは言わないけど、もっと当時に即した古風な感じにしてもよかったのでは?
真田広之もダメ。やっぱり真田氏に将軍は似合わない。雰囲気ではない。どっちかと言えば石堂役やった方が似合うのでは。96年のNHK大河で三成やっていてハマってたし。三船敏郎と比べるのは流石に酷なのでそこは言及しない。
さらに浅野忠信もダメ。最近”首”でも武将やっててまたかという感じ。海外作品にも出すぎ。新鮮味・驚きが無い。モータル・コンバットにも真田さんと二人して出てたし、日本人はこの二人ばかりやん・・・という感じ。前作の目黒祐樹やフランキー堺、金子信雄に高松英郎などなどが海外作品に出たという有難みが無い。
映像に関しては流石に凄い。迫力満点。海外の大作らしい絵作りで見ごたえがあります。
・・が、レンズどうなってんの?映像曲がってるし、常に四隅に影が落ちてる。チルトシフトってやつ?そんな事する必要ある?常に柱が曲がってるのが気になってしょうがなかった。ハンディカメラ的な手振れ演出とかも多用してるけどユラユラ揺れるのは正直いらない。とにかく雰囲気作りすぎて風景が日本じゃないみたい。
前作は100%ブラックソーン目線だったので、何この国!?びっくり日本!ゲイシャ!サムライ!という感じで其処が非常に面白いのですが、今回は趣が違い雰囲気も重苦しくクソ真面目に作ってるので、比べるのがそもそも間違ってますね。
と、前作が好きすぎるので比較して辛辣な事を述べていますが、海外作品でここまで出来たのは画期的でエポックメイキングだと思います。凄い作品です!
ディズニープラスというのが気に食わないですが、プレミアムプランとかドコモ経由など無料トライアルを適用する手段はいろいろとあるので、全話出揃ってから無料で一気見するのが良いかもしれません。
ショーグンミフネを真田広之に見ました。
ショーグンミフネを真田広之に見ました。
昔の将軍を思い出しました。その時の感動より感動しました。全話是非見たいです。
舞台挨拶の真田さんの撮影現場でのホスピタリティーの話は、感激しました。
映像のスケールは、TVドラマとは思えない迫力です。
Disney+は契約してないので地上波かBSで放映されるまで我慢します。
2月27日配信開始です。
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