SHOGUN 将軍

SHOGUN 将軍
SHOGUN 将軍
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採点

シリーズ紹介

真田広之が主演・プロデューサーを務め、ハリウッドの制作陣が圧倒的なスケールで戦国時代の日本を描くドラマシリーズ。1980年にアメリカで実写ドラマ化されたジェームズ・クラベルのベストセラー小説「SHOGUN」を、新たに映像化。「トップガン マーヴェリック」の原案を手がけたジャスティン・マークス、レイチェル・コンドウらハリウッドのクリエイターたちが、徳川家康や石田三成ら歴史上の人物にインスパイアされた、将軍の座を懸けた陰謀と策略が渦巻く物語を紡いだ。第76回エミー賞ドラマ部門で主要部門を含む最多25ノミネートを果たし、作品賞、主演男優賞(真田広之)、主演女優賞(アンナ・サワイ)など18部門を受賞。第82回ゴールデングローブ賞では、作品賞をはじめ、男優賞(真田広之)、女優賞(アンナ・サワイ)、助演男優賞(浅野忠信)の4部門を受賞した。

ジャンル:アドベンチャードラマ歴史・伝記

原題:SHOGUN 将軍
製作国:アメリカ

シリーズ

スタッフ・キャスト

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ドラマレビュー

4.0戦国時代にカトリックとプロテスタントの対立を描く

杉本穂高さん
2024年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

真田広之が全面的にプロデューサーとしてクオリティコントロールにも関わっているとのことで、非常に本格的な作りになっている。衣装もセットも豪華、絵作りが圧倒的にリッチだ。芝居の質も高いし、この予算規模で日本の時代劇をアメリカで作れるとは驚く。80年代にテレビドラマを制作した時も大きな人気を博した同原作は未読なのだけど(日本では絶版、再販してほしい)、西洋的な視点はたくさん入っている。イギリス人が日本に流れ着いて、その視点で物語が展開するので、珍しいものを観ているという感覚はどうしてもあるが、細部の描写にこだわりとリスペクトを感じさせる。
日本の時代劇ではなかなか出てこない発想も盛り込まれている。それは、日本の戦国時代を舞台に、カトリックとプロテスタントの対立を描いている点。当時は宗教戦争で2つの宗派が争っていた時代であることを反映しているわけだが、日本史だけでなく世界史の流れも汲んだ上で物語を構築している点が興味深い。

杉本穂高

1.0仕事の遅い人々の住む異世界にアメリカンヒーローが迷い込んだファンタジー

せきれいさん
2025年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

1975年のアメリカの小説『将軍』の実写化ドラマシリーズ作品。オランダ船に乗ったイギリス人が安土桃山時代の日本に漂着し、徳川家康に召し抱えられ、侍となった実話が元になっている。

大きな賞の受賞歴があり、ネットニュースでかなり話題になっていた作品だったので、楽しみにしていたのだが、正直楽しめなかった。以下、理由を列挙してみる。

第一に、話の展開が遅く、目的も行動も不可解。

三話ぐらいまでは、そこそこのテンポで話が転がっていくのだが、その後は戦争するのかしないのか、なんとも曖昧な状態で、思わせぶりな会話を中心とする陰気な展開が最後までダラダラ続く。

主人公が狙われる訳も、カトリック勢力の陰謀もどこへやら。白人主人公が文化の理不尽さに振り回され、現地に馴染む努力もせず、能力のアピールもせず、言いたいことを怒鳴ってイライラするだけの展開である。

お色気シーンやグロ描写も無理やり挟まっているが、ストーリー上必要とは思えず、演出側の趣味的なものを感じる。常に天気が悪いのも演出の好みを優先しすぎである。

史実で関ヶ原の前後というのは、面白いエピソードが山ほどあり、個人的に好きな時代の一つなのだが、このドラマでは内容が何故かスカスカである。

いっそハリウッドらしく、アクション映画風に大幅に創作して、白人が単身敵の本拠に乗り込み、ニンジャ、サムライ相手にドンパチやって壊滅させる話にすれば退屈させずに済んだのでは。

第二に、異世界といっていいほど変テコな世界観である。日本人の不可解さが大きなテーマになっていて、外国人からみてミステリアスに映る文化の紹介に異様な比重がかけられている。

例えば上官から命令されれば潔く切腹、名誉が傷つけられるぐらいなら切腹、相手に抗議するなら切腹、といった感じで、切腹や死生観の異様さがメインテーマであり、かなり大袈裟に描かれているのだが、誇張され過ぎて日本人から見ても変な世界である。

本心を言わず曖昧に誤魔化す部分も目立つ特徴で、本心を言わない代わりに、哲学っぽい言い回しや、よく分からない例えのラリーが続くのだが、こんなまわりくどい会話しかできない民族はバカみたいである。また、些細なことでいちいち自殺する民族もとっくに滅亡しているだろう。

16世紀の日本人は実用的な武器や知識に貪欲で、しなやかに逞しく生きている。決してWW2の日本軍のように根暗で頭が固く、閉鎖的な民族ではない。その辺の誤解の溝の大きさが、居心地の悪さとなって作品を楽しめなくしている。

第三に、主人公のキャラクター。なぜか現代物のアクション映画ヒーローのテンプレみたいな性格なのが気になるところ。すなわち、口が悪く、信念を曲げず、逆境にも弱みをみせないタフガイで、崖に落ちたり土砂崩れに巻き込まれた相手を救うことで信用を得ていく。

それ自体は悪くないのだが、本作では船の舵手である自分に拘り、現地に馴染む努力をせず、本国へ帰りたがるばかりの、ただの通りすがりである。これにアメリカンヒーロー風のお説教シャウトが加わると、どうにも感情移入できないイラっとくる傍観者になってしまう。

現実の三浦按針が、もっと魅力的な人物であっただろうことを思えば、この主人公の可愛げのなさは残念でならない。

せきれい

3.0シンプル&したたかなハリウッド大作

milouさん
2024年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

もちろん巨費を投じた、よくできたTVドラマです。なにしろポスプロ2年! そして10話で2億5000万ドル=360億円!という予算は北野武監督『首』の15倍以上です。現在の主流の映像文化を精密に研究して、それに合わせるべくカメラの操作も色調設計も、俳優のキャスティングも、すべてがチューニングされている(前作に比べて画面がヘンだという感想は、単に映像感覚が現在にアップデートされてないだけです)。それを見るおもしろさが、まず第一。

単なる外国人の視点だけではない、国内の政争と内紛をこまかくドラマ化しているのも、周到です。ここは予算関係ないはずだけど、日本の時代劇でこんなに陰翳にとんだ脚本はまず作れない。この面白さが第二ですね。

一方で、ハリウッド映画が延々とつくりつづけてきたアジア人蔑視…というか少なくとも「アジア人を異質なもの・珍奇なものとして見る」視線は、真田広之さんの奮闘にもかかわらず、しっかり残っています。

たとえば捕らえられた按針が、「こんな呪われた土地で死にたくない」「やつらの無気力な狂気には屈しない」とつぶやくところ。長年日本で布教をこころみたが挫折したイエズス会神父が、「日本人とゲームするのは無理だ。彼らのルールはあまりにも分かりにくく、彼らは決して本心を明かそうとしない」と吐き捨てるシーン。

日本に来たアメリカ人(とくに白人男性)と深くつきあったことのあるすべての日本人が聞き覚えのある言葉だと思いますが、このあたりは日本人・日本文化に対するまさに典型的なハリウッド流の視線なんですよね。そうした伝統的なハリウッド目線を、重厚正確な日本文化の映像(こまかく監修した日本の美術・衣装・大道具)と、たくみに張り合わせているのが、今回の『SHOGUN 将軍』の特徴で、これは真田さんたちが賢く選び取った戦略だと思います。

いずれにしても、これは「日本発のコンテンツがスゴい」ドラマでは全然なく、「一般観客にまったく馴染みのない日本の中世文化のドラマに巨費を投じてしまえるハリウッドがスゴい」ドラマ。映画だろうとTVだろうと日本の時代劇ではどうやっても撮れないショットの数々は、一見の価値があると思います。

milou

5.0クオリティは高く満足度も高かった

星組さん
2024年9月13日
スマートフォンから投稿

外国の制作する日本モノには
必ず「?」感が付きものだが
全体的に嘘っぽく無い仕上がりは
恐らく真田氏の努力も有ったはず。

昔を見せる「灯り」は違和感なく
セットや衣装を引き立てていた。
人物への撮影集点は対象者に
その周辺をボカす事で浮き立ち
演技をする人物をリアルに見せた。
この灯りやフォーカスについては
ほぼ全編に渡り統一されていて
内容に入りやすく好印象を持てた。
しかし演者は変わりないとして
お金なのか?技術力なのか?
なぜ日本で出来ないのか不思議で
不思議でならない。

一方、気になったのは綺麗な石垣で
整頓された作り物感ありありで
石を組み作り立てとしても
実物を知っているだけに
う〜ん、となったが些細な事か?

絶賛では無いが、枯山水の使い方
侘び寂びの表現と無の心は
素敵以外の何ものでも無く
セット、照明、衣装、演技と
歴史エンタメの世界を堪能した。

この日本には無い感性
日本では現せない作りには
感心すると同時に悔しくもある。

星組
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