御上先生

33%
67%
0%
0%
0%
採点

シリーズ紹介

ジャンル:オフィスドラマ日本青春

原題:御上先生
製作国:日本

シリーズ

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

ドラマレビュー

5.0稀にみる真摯なドラマ

琥珀糖さん
2025年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

文科省の官僚から私立高校へ出向した御上(みかみ=松坂桃李)が、
日本の教育現場の腐敗や矛盾を、受け持った高校3年生の生徒と共に
理想に向かい障壁を乗り越えていく姿を描く。

主人公の松坂桃李、
ライバル官僚の岡田将生、
麟徳学園理事長の北村一輝、
不倫教師役の常盤貴子、
生徒役の奥平大兼、
情報収集役の窪塚愛流、
ラスト回までじっと我慢した高石あかり、
そして御上に担任を奪われた副担任の吉岡里帆、
こうキャストを書き各々が適所適材で力を発揮すれば、
良いドラマが出来ないわけはない。
そしてロケ高校となった神奈川の聖光学園の素晴らしい景観と設備。

《2つの死・・・御上の兄の自死、公務員試験場での殺人、
・・・・この2つの死が残す取り返しのつかない傷。
死んではいけない、
殺してはいけない、
死ぬ生徒を救わなければならない・・
(現実として数少ない若者を、
(死なせる教育が、
(あってはならない)

役者たちの真摯な情熱、
それを100%引き出した《詩森ろば》の脚本。
詩森ろばの向日的で現実を決して歪めて見ない
《人間は良きことをするし、
《悪を正すことも出来る、
考えること、
思考を練る、
未来は開ける。
きっと世界は変わる、
それを信じよう、
変えられる。

琥珀糖

3.5蝶の翅を捥ぐ「御上先生」

LittleTitanさん
2025年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

知的

萌える

① Butterfly effectって何?
 主演の松坂桃李氏が番宣で言及した通り、"Butterfly effect"がテーマの1つ。Butterfly effectの詳細な定義はWikipedia等(和⋅英)に譲るが、簡潔に説明すると以下の通り。「蝶の羽ばたきが離れた地域の天候に影響する可能性を否定できない様に、些細な現象が予測不能な形で大事の遠因になり得る事」。
「御上戦線」において「遠因」は終盤に明かされた隣徳学院の不正入学であり、Butterfly effectの「結果」は初回の殺人事件。最終回の終盤で、御上が法廷を訪れ、殺人犯を含む「君」がいたから闘えたとモノローグが流れた事から、結果的に殺人者を産んだ入学不正を、放置できなかった事が御上にっと大きな動機づけだったと感じた。
🦋
②「入学不正」は「殺人」の原因か?
 Butterfly effectは「風が吹けば桶屋が儲かる」と似たような意味と説明される事も多いが、勘違いしてはイケないのは、「風が吹いたら桶屋は必ず儲かる」という意味ではなく、「風が負吹け桶屋が儲かる場合もあり得る」と言ってるだけ。「入学不正」から「殺人」までの過程をまとめると以下の通り。

1. 隣徳学院で不正入学が横行
2. 戸倉樹が自身の不正入学を知る
3. 担任⋅冴島悠子が戸倉を守ろうとする過程で、筒井に肉体関係を強要される
4. 冴島悠子が筒井と不倫したと校内紙が報道され、両人退職
5. 冴島悠子の家庭が崩壊
6. 冴島の娘⋅弓弦が国家公務員採用総合職試験会場で渋谷友介を刺殺

不正入学さえなければ冴島家は崩壊しなかった可能性は高い。ただ、不倫した母が家庭を出ていくと、娘は「必ず」精神崩壊して「必ず」通り魔事件を起こすものだろうか? 不正入学は確かに「遠因」の1つかもしれないが、直接的な原因なのだろうか? 統計学的evidenceがあれば別だが、母子家庭で育った身としては、両親が揃ってない家庭からは人殺しが出やすいだなんて偏見は嬉しくない。どちらかというと、母⋅悠子が夫のDVにあっていたことや、弓弦がチェ⋅ゲバラに心酔したことや、弓弦が歪んだ形で孤独を拗らせた事が主因に近い気がする。
🦋
③ Butterfly effectを気にしすぎたら蝶は飛べない
「御上先生」が殺人まで起こしたらか不正入学がイケないと訴えてるのなら、Butterfly effectを誤解している。Butterfly effectとは予想もできない波及効果が有り得るという寓話であり、人間の行動を縛る道具ではない。チョウが、自分が羽ばたいたら世界中の何処かで洪水が起きて、家屋が流されたり沢山の人死が出てしまうかもしれないなんて責任を負わされたら、空に跳びだせるだろうか?

LittleTitan
すべての映画レビューを見る(全2件)