ライオンの隠れ家

家族の絆をめぐるミステリーとしてなかなかに秀逸。自閉スペクトラム症の弟と二人暮らしの主人公。実直な性格で市役所の仕事にまい進している兄と、絵の才能が弟。そんな2人の元に5歳くらいの男の子が転がり込んでくる。ライオンと名乗るその子の身元がわからないが、かつて失踪した姉の子どもであることがわかり、姉はなぜこの子を主人公のもとに預けたのか、ライオンの身体にある虐待のアザは誰が付けたのか、姉の失踪理由など様々な謎が絡んでくる。
柳楽優弥が心優しい真面目な公務員役というのは結構珍しい。いつ暴発するのかなと緊張感を持ってつい見てしまうけど、本当にそういう感じではないらしい。でも合ってないとかではない、陰のある実直さが表現されていて、それが作品に奥行きを与えている。
尾野真千子がライオンの母親役だが、彼女のかつての出演作「Mother」のネグレクトしていた母親の像がちらつく。そういう役者のペルソナが巧みに活かされたキャスティングだなと思う。