エルピス 希望、あるいは災いのドラマレビュー・感想・評価
見応えがあった
クリックして本文を読む
予備知識なく、全10話を2話ずつ程度のペースで見始めたが、後半は止められなくて一気に見てしまった。
放映は2022年だったらしいが、奇しくも2023年の現実社会にアナロジーとなる出来事があると思った。
物語の中で、連続少女殺人事件は忖度とのせめぎ合いということで、ジョニー北川氏性加害問題を想起させる。また後半の女子大生性虐待もみ消し事件は政治家の闇という意味で、パーティー券代キックバック問題を想起させる。
最終話だったか、性虐待もみ消し事件の取材テープの放映を強行する浅川に対し、テレビ局を退社して政治家を目指しているフリージャーナリストの斎藤がスタジオに乗り込み説得を試みる。斎藤の反論により、浅川は性虐待もみ消し事件放映の強行を中止する代わりに連続少女殺人事件についての放映を斎藤に承諾させて、ストーリーはエンディングへと展開していく。
これはドラマで架空の話なので、作者と意見が相違するのは当然のことではあるが、個人的な意見としては、この斎藤の反論は、稚拙で受け入れられなかった。彼の主張は、まさに報道機関が担うべき社会的責務の筈だが、それを放棄することを主張しており、浅川がそれを受け入れた上で、ストーリーが展開するため、作品としては斎藤の主張が正当化されてしまっている。
斎藤は「こんなことをしたら大変なことになる」と滔々と述べるのだが、その大変なことこそが報道機関に課せられている使命だと思う。
次回作では、今回作の続編として、死刑から逆転した過程や大門副総理や斎藤のその後にまつわる報道におけるテレビ局の葛藤が見られると良いと思った。
全1件を表示