アンチヒーロー
シリーズ紹介
原題:アンチヒーロー
製作国:日本
シリーズ
スタッフ・キャスト
- プロデューサー
- 飯田和孝 [2024]
- 大形美佑葵 [2024]
- 演出
- 田中健太 [2024]
- 宮崎陽平 [2024]
- 嶋田広野 [2024]
- 脚本
- 山本奈奈 [2024]
- 李正美 [2024]
- 宮本勇人 [2024]
- 福田哲平 [2024]
- 法律監修
- 國松崇 [2024]
- 警察監修
- 大澤良州 [2024]
原題:アンチヒーロー
製作国:日本
明墨の人を喰ったキャラは魅力的。検察の不正を明かし無罪を勝ち取ったかと思えば、依頼人を陥れて弁護を放棄したり、目的が判然としない序盤も目が離せない。中盤で明らかになる目的が果たされる最終回も、なかなかトリッキーな展開で悪くない。総じて鑑賞し甲斐のあるドラマだった。
ただ、ドラマでは明かさなかった「真犯人」は設定されているが、本作の主題ではないので描かなかっというインタビューをみて一気に評価が下がった。確かに本作はミステリではなく、犯人探しが主題ではないのかもしれない。ただ、冤罪で12年も拘束された人がいる殺人事件の真相を明かさずにいられる制作陣こそが、自ら描いた事件を最も軽んじている。フィクションと分かっていても、感情移入してる視聴者を小馬鹿にしている。
法では裁けない悪を裁く、というプロットはエンタメの定番の一つ。このドラマでは、それを実行するのが、かつて自分自身が体制側にいて、法で裁けない悪の片棒を担いだ人物である点が、ポイントになっている。
自分のせいで、冤罪によって死刑判決を受けた人を救い出すために、違法スレスレのやり方で弁護活動をする男が主人公。しかも、本来なら無実にしてはいけない人をも無実にしていき、検察上層部の巨悪を追い詰めていく。二転三転するプロットで毎週飽きさせない脚本も良かったが、やはりキャスティングがいい。長谷川博己のうさんくさい感じが、「一体、この男は正義なのか悪なのか」と視聴者にわからなくさせる。対する実直そうな若手弁護士の北村拓海が少しずつ長谷川博己に感化されていくのも、スリルがある。
一見無関係な事件が線でつながり、大きな野望を描き出すさまが、回を重ねるごとにわかるようになってきて、それが緊迫感とカタルシスを生み出していく。4人態勢で書いた脚本は、なかなかに巧みに練られていたと思う。