愛の、がっこう。

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採点

ドラマレビュー

3.5木村文乃がいい!

杉本穂高さん
2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

『愛の、がっこう』は木村文乃がすごくいい。自信なさげな佇まいから、カヲル(ラウール)と出会い教える喜びに目覚めていく表情の鮮やかな変化をグラデーション豊かに表現。教師という立場と、愛を渇望する一人の女性との間で揺れ動く心の葛藤、本心とは裏腹な態度をとらざるを得ない苦悩を見事に演じきっている。強権的な父親に逆らえず自分を押し殺してきた愛実(木村文乃)が、カヲルを侮辱された際に思わず「彼は馬鹿じゃない」と叫ぶシーンは圧巻で、愛によって主体性を獲得していく様を確かな表現力で示している。

交わるはずのなかった二人が、漢字の個人授業をきっかけに「教える者」と「教えられる者」の立場を逆転させ、互いの魂を惹かれ合わせていく。カヲルの真意が計算なのか純粋さなのか読めないミステリアスな展開や、本心を探り合う展開もいい。社会的な立場や常識の壁を越え、傷ついた二人が互いを救済し再生していく姿を、木村文乃の繊細な表現力とラウールの野性的な魅力が説得力をもって描き出している。

杉本穂高
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