愛の、がっこう。
シリーズ紹介
原題:愛の、がっこう。
製作国:日本
シリーズ
スタッフ・キャスト
- 脚本
- 井上由美子 [2025]
- 音楽
- 菅野祐悟 [2025]
- 演出
- 西谷弘 [2025]
- 高橋由妃 [2025]
- 山田勇人 [2025]
- プロデュース
- 栗原彩乃 [2025]
原題:愛の、がっこう。
製作国:日本
『愛の、がっこう』は木村文乃がすごくいい。自信なさげな佇まいから、カヲル(ラウール)と出会い教える喜びに目覚めていく表情の鮮やかな変化をグラデーション豊かに表現。教師という立場と、愛を渇望する一人の女性との間で揺れ動く心の葛藤、本心とは裏腹な態度をとらざるを得ない苦悩を見事に演じきっている。強権的な父親に逆らえず自分を押し殺してきた愛実(木村文乃)が、カヲルを侮辱された際に思わず「彼は馬鹿じゃない」と叫ぶシーンは圧巻で、愛によって主体性を獲得していく様を確かな表現力で示している。
交わるはずのなかった二人が、漢字の個人授業をきっかけに「教える者」と「教えられる者」の立場を逆転させ、互いの魂を惹かれ合わせていく。カヲルの真意が計算なのか純粋さなのか読めないミステリアスな展開や、本心を探り合う展開もいい。社会的な立場や常識の壁を越え、傷ついた二人が互いを救済し再生していく姿を、木村文乃の繊細な表現力とラウールの野性的な魅力が説得力をもって描き出している。
特に最終回が本当によかった。
カヲルの気持ちが最後まで丁寧に描かれていました。
障がいを持つ人がいままでどんな言葉や態度を浴びてきて、自分ができなかったらどういう顔をされるか予想ができてしまう、すごく苦しくて相手の顔を見る前に拒絶してしまう。
障がいは努力すればなんとかなるという世界ではない。
丁寧に教えればわかってくれるという幻想を抱かせない。
お互い挫折したり離れたりしながら、それでも一緒に前を向いていたいと思う。
わかりやすいハッピーエンドを迎えるよりもとてもリアルで丁寧に描かれた作品だったと思います。
ホストとカトリック女子校の真面目な教師の道ならぬ恋。という安っぽい設定に不安になりながら観たら、その安っぽい魅力の期待にも応えつつ、内容は全然違っていた。さすが井上由美子。登場人物全員がクセが強く歪、だけど必死で生きている。そのみっともなさが愛しく眩しい。そして何歳になっても人は成長できるしやり直せる。とても気持ちの良い作品。