ヴェロニカ・マーズ シーズン1 : 特集
第2シーズン終了後、放映局の合併問題でシリーズ継続が危ぶまれたものの、ファンからの続行嘆願書により続編放映が決まった本作。その数なんと1万通以上! 何がそこまで人々を惹き付けるのか。青春学園モノ×ミステリーが融合した新感覚ドラマの魅力を徹底調査!
本作最大の見どころは、何といっても逆境をものともしない、タフなヒロイン像に尽きる。主人公ヴェロニカを襲う試練をざっと挙げてみると、親友リリーが何者かに殺され、保安官だった父がリリーの父ジェイクを誤認逮捕して失職。時を同じくして母リアンが失踪。さらにセレブな恋人ダンカンと気まずくなって別れたことで、学校内では孤立無援状態。挙げ句、パーティで何者かにレイプ……。「これでもか!」というほどの悲劇が降りかかる中、悲しみをエネルギーに変えて生きるヴェロニカのひたむきな姿には勇気がもらえるはずだ。
だが一方で、自身の出生の秘密に直面して涙したり、元カレの新しい恋に傷ついたりと、普通の女の子らしい弱さも合わせもっているのもまた魅力。雑学にも詳しく、芯の強さと行動力を“武器”に突き進むヴェロニカを、あえて“文系スーパー・ヒロイン”と呼びたい。
父の手伝いはもちろんのこと、リリー事件の真犯人を突き止めるべく“探偵”となったヴェロニカ。なぜか調査から手を引くよう命令する父には内緒で、独自に捜査を進める彼女は、何者かをかばって自供した獄中の犯人とついに接触し、真相へと近づいていく。
一方、ヴェロニカの探偵業の噂を聞きつけた学生たちが、次々と彼女にトラブル解決を依頼。その内容は、クレジットカード詐欺や偽造ID、行方不明の犬捜索といったどこか憎めないものばかり。そして依頼場所は決まって女子トイレというところがなんとも学園ドラマっぽい。
ヴェロニカの探偵方法は実に多彩だ。盗聴やピッキング、“コスプレ”潜入捜査、さらには親友ウォレスやウィーヴィル、親しくなった保安官を利用して極秘ファイルを盗んだりと、持ち前の勘と好奇心、そしてほんのちょっとの悪知恵を働かせて、事件を100%解決。そんな彼女の頼もしさが周囲の心を動かし、初めは孤独だったヴェロニカに徐々に友達が増えていく過程が感動的でもある。
若者たちが織りなす恋や友情などがライト感覚で楽しめる一方、レイプや暴力、家族問題、薬物問題といった青春の暗部がリアルに描かれ、等身大の若者たちの心の葛藤が浮き彫りに。また、ドラマの舞台はセレブリティと労働者階級の二極化が進む住宅街という設定。差別や見栄、不倫といった大人たちのドロドロした側面がリリー殺害事件の真相と絡み合い、絶妙なサスペンスに仕上がっている。
ヴェロニカを演じるクリステン・ベルは、1980年生まれの現在29歳。第1シーズン放送当時は24歳、役とは7歳差というからオドロキだ。本作でのブレイクをきっかけに、「40歳の童貞男」のスタッフが手がけるコメディ「Forgetting Sarah Marshall」やジャスティン・ロング、メグ・ライアンと共演の「Serious Moonlight」など主演映画のオファーが殺到し、「HEROES/ヒーローズ」シーズン2レギュラー(超能力者エル役)の座も射止めた。共演のマシ・オカとは熱愛のウワサも飛び出したが、現在のお相手はロマンチック・コメディ「When In Rome」で共演するダックス・シェパード。ケイト・ハドソンの元カレでもあるシェパードとは、イタリア・ローマ郊外のビーチでの2ショットもパパラッチされ、名実ともにヤング・ハリウッド・セレブの仲間入り!?
(平井万里子)