ザ・グローリー 輝かしき復讐のドラマレビュー・感想・評価
面白かった!
知人に激推しされて視聴。韓国の復讐モノで、暴力シーン多め。血まみれでエグい。復讐だから仕方ないのかもしれないけど、演技はみんな激しめでオーバーな感じ。とにかく虐めをしている連中のクズっぷりが凄まじく、ここまで描けるのすごいと思ってしまう。ストーリーは、単なる虐めのスクールカーストがどうのじゃなく、学歴社会や貧富の差、儒教的な子が親に逆らうことのタブー、警察と権力者の癒着、宗教の問題など、ニュースでたまに耳にしますが、韓国が実社会で抱える闇を感じました。あと、鑑賞中ずっと気になっていたのは、なんで誰も主人公の復讐を止めようとしないのか?登場人物がみんな復讐を応援するから違和感ありました。
日本のドラマなら「相手を許しなさい。復讐に燃えては自分も破滅してしまう。それより自分が幸せになることを一番に考えなさい」て言う人物が大抵出てくるんですよ。確かに、作中で復讐を正当化しているわけではない、というのはセリフやエピソードで示しています。でもずっとモヤモヤ…
途中、ドヨンが、囲碁を打つ広場(公園?)でヨジョンに「なぜドンウンの復讐を止めないのか」と尋ねるシーンはありますが、少し触れる程度で、鑑賞者の疑問が晴れるところまでは説明していません。
しかし、本当に最後のシーンで、それはやっと回収されます。
高校時代、屋上から転落死した同級生の、あの問題の殺害シーンの真相が初めて明かされます。被害者が「あなたは哀れな人ね。でも、私はあなたを許すわ」そう言うのです。逆上したいじめの主犯格は、彼女を突き落としてしまいます。
そうか。そうだったのか。
最初から被害者は許していたんだ。
それなのに尚、殺害された。
最後の場面を見て、ようやく納得できました。
同じ境遇のキャラクターでも、ドラマは色んな話に出来る。ひどい虐めや迫害を受けて、大恋愛して幸せになるとか。ビジネスで大成功して億万長者になって幸せになるとか。
でも、この、最後の場面のおかげで、復讐のドラマが立ち上がる根拠ができました。このドラマは、復讐劇でなければならない必然性があるのです。だって最初から被害者は許していたのだから。許しなさい、という選択肢は最初から無いのです。そう考えると、タイトルのグローリーもストンと腑に落ちます。この最後の場面の存在こそが、この作品がただの暴力シーンの刺激だけ、消費するだけ、使い捨てのドラマではなく、人間としての尊厳を取り戻すという輝かしい栄光を意味するタイトルが相応しい作品に昇格させているのです。
悪役を懲らしめる爽快さ、カタルシスは元より、囲碁を絡めたストーリー運びも本当に良く出来ていて、先が気になってどんどん続きを見たいと思わせる力も素晴らしかったです。長いので人物描写や心の動きを丁寧に描けたこともストーリーを面白くしている大きな要因だと思います。重くて暗くて、その一方で昔の少女漫画みたいなコテコテの展開や、え〜そんなことある?笑と突っ込みたいところもいっぱいありますが、製作陣の面白いモノつくるぞ!という勢いはしっかり感じますし、力作であることは確かです。パート2があることを信じて楽しみに待っています。
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