ファルコン&ウィンター・ソルジャーのドラマレビュー・感想・評価
スティーブの盾が“シンボル”だと言っていたけど、徐々にそれが“シンバル”にしか見えなくなってくる
サノスの指パッチンから5年が経過し、デシメーションされた人々が戻ってきた。やがてそれが原因で多くの難民を生みだし、5年前に戻そうという意見が台頭することになった。そうした「世界はひとつ、人はひとつ」という合言葉を使い、テロ組織が暗躍する。国連傘下(?)のGRC(世界再定住評議会)が国境を線引きしようとしていたことに対抗するものだ。GRCは言ってみれば、溢れている難民を追い返そうとする愚策を推進しようとしている巨大組織であり、多分、アメリカ政府直轄なんだと想像できる。
スティーブ・ロジャースは引退し、ファルコンことサム・ウィルソンに盾を託された。しかし、サムはその盾を政府に寄贈。新たなヒーローを求める国民の声にしたがって、3つの叙勲を受けていたジョン・ウォーカーという兵士が新キャプテン・アメリカとして君臨することになった。そんな折、指揮権の問題、スコヴィア協定の影響で、ファルコンもバッキーも新キャプテンのもとでテロリスト集団と戦うこととなるのだった。
しかし、その“フラッグ・スラッシャーズ”というテロ組織は、難民に薬品や物資を供給していて、血は流すものの訴えてる内容はまともなものであるため、SNS等を通じ世界中の人々から支持されていた。特に指パッチンで被害を受けた人々から・・・
全6話のうち、1話、2話とも激しい空中戦の映像で魅了させてくれるのですが、3~5話はかなり会話や地上アクション中心。しかし、コロナ禍で作られたこともあってか、難民問題、人種問題、貧困問題などを痛烈に批判し、世の中が分断されていることを皮肉っているような展開となった。特に大きいのが黒人差別の点だろうか、直接的なものは少ないけど、ファルコンが黒人ということもあり、アメリカ人の意識の奥深さも垣間見えてくるのです。ヒーローは白人じゃなきゃならない?!なんとなく途中で脚本も変更されている気もします。
また、スラッシャーズのリーダーであるカーリを初めとして、8人の血清を打たれたスーパーソルジャーの存在。スティーブやバッキーと同じように超人的な能力を持っている。しかも、残っている血清をも集め、さらに組織を強大にしようと画策。だけど、1個だけ新キャプテンが使っちゃう・・・副作用もある恐ろしい薬物という点では今のコロナワクチンにも通ずる。
『シビルウォー』との繋がりがいくつも存在し、特に悪役のジモ(ダニエル・ブリュール)と元CIA捜査官のシャロン(エミリー・バンキャンプ)が美味しいところ。スティーブと恋仲になりそうでならなかったシャロンだけど、ロス長官から盾とウィングを奪い、彼らに返還するなどしたため、国賊として追われ、逃亡生活をしているとのこと。スラッシャーズと敵対しているパワーブローカーとの関係も面白い。
なんやかんやで、第6話のファルコンのスピーチに感動してしまうほど、ちょっとダレ気味だった流れを一気に回復してくれた。小ネタも多くて、日本人のヨリ・ナカジマの伏線や隠された超人イザイヤといったキャラにバッキーの人物リスト、さらにそれぞれのカウンセラーのやり取りにも贖罪や悪夢といったテーマがあった。多すぎるかも。そして、最後にはタイトルが変化することや今後のMCUで活躍しそうなキャラの誕生も・・・お腹一杯。
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