LOST シーズン6 : インタビュー
■ダニエル・デイ・キム(ジン)「ソーヤーがジンに英語を教えるシーンが気に入っている」
※多少ネタバレあり
――ドラマで韓国語を話すことになると聞いたとき、正直どう思いましたか?
「ものすごく勇気のあることだと思ったね。アメリカのプライムタイムに英語を話さないレギュラーが出演するドラマなんて、『LOST』以前に存在しなかったから。韓国語はぼくが最初に覚えた言語なんだけど、まさか演技で生かす機会が来るとは想像してなかったよ」
――韓国語での演技はいかがですか?
「最初はとても大変だった。ぼくの家族は南部の出身なので強い訛りがある。標準的な発音とはずいぶん違うんだ。おまけに、英語的な訛りも取り除かなくてはいけないので、かなり苦労したよ。そのうえ、きちんと演技をしなきゃいけないんだからね」
――アメリカのTVドラマに、韓国人がレギュラーで出演するのも珍しいですよね。
「うん。振り返ってみても、たぶんいないよね。『M*A*S*H』は韓国を舞台にしていたけれど、韓国人を演じているのは日系か中国系だった。アジア系で有名なTV俳優はジョージ・タケイだけど、彼は日系だしね」
――あなたがこうして活躍することで、若い韓国系の俳優志望の人も勇気づけられますね。
「そう願いたいね。韓国系に限らず、すべてのマイノリティの若者が、“自分にもできる”って思ってくれたら、それほどうれしいことはないよ」
――あなたとジンの共通点はどんなところですか?
「家族を大事にして、忠節を尽くすところかな。愛するもののためには、自らが犠牲になることも厭わない、という」
――そういえば、「LOST」の終了後もハワイで暮らすことに決めたそうですが、それもご家族のためですか?
「うん。子供を育てるには最高の環境だと思うんだ。ここオアフ島にはアジア系が多く住んでいて、社会の一部となっている。だから、アメリカでもこの場所では人種が問題にならない。ぼくは生まれてからずっとそんな場所を探していて、やっとハワイに巡り合った。世界全体がここのようになってくれればいいなと思っている」
――「LOST」が終了することについて、どう思っていますか?
「番組が終了したら、いろんな感情に襲われることになるんだと思う。でも、今はサンとジンのエピソードの撮影の真っ最中で、仕事のことしか考えられないんだ。このシーズンで『LOST』が終わってしまうことは分かっているけれど、ゴールはまだ先だから、すべてが終わったときにたっぷりお祝いをするつもりだ」
――過去5シーズンでもっとも思い出に残っている場面はどれですか?
「いくつかあるんだ。まずは、シーズン1の最終話で、ジンがサンにさよならを告げる場面。あのイカダで出航する場面はとてもドラマチックで、いいよね。
ソーヤーがジンに英語を教える場面も好きだ。ダーマ・イニシアチブのバンのなかで、ビールを飲み交わしながら、英語のレッスンをやるところはものすごく気に入ってる。
それから、いま撮影している場面も、きっとあとでお気に入りになると思う。詳しいことは説明できないけれど(笑)」
――ジンとサンにハッピーエンドはあると思いますか?
「分からないな。ハッピーエンドが来て欲しいと思うときもあれば、そうならないほうが面白いんじゃないか、と思うときもある。いずれにせよ、脚本家チームはぼくが想像したものをはるかに超えた結末を用意してくれると信じている。これまでもずっとそうだったしね」
(小西未来)