エキストラ スターに近づけ! シーズン1 : 特集
■豪華スターが大勢出演!ブラックユーモア満載の英国発コメディ
★オーランド・ブルームやケイト・ウィンスレットの“イヤなヤツ”ぶりがスゴイ!
基本は“映画のエキストラの目から見た撮影現場”という疑似ドキュメンタリー仕様。そのうえで楽しいのが、人気スターたち自身が“スターの素顔”という設定で演じる“イヤなヤツ”ぶり。オーランド・ブルームは自分の人気を自慢して「『パイレーツ・オブ・カリビアン』の撮影現場では、ジョニー・デップは僕のファンに追い払われていたよ」と暴言。尼僧姿のケイト・ウィンスレットは、テレフォン・セックスで言うべきセリフを実演。ダニエル・ラドクリフは年上女性のナンパに励み、なにかというと「ママ~」と叫ぶマザコンぶりを発揮。スターの“イヤな素顔”を、スター本人が楽しそうに演じるという、一筋縄ではいかないギャグがこのシリーズの真髄だ。
他にベン・スティラー、サミュエル・L・ジャクソン、ロバート・デ・ニーロ、イアン・マッケラン、デビッド・ボウイ、コールドプレイのクリス・マーティンらが登場。
★人種差別ネタ、身体障害者ネタなど、ギリギリかつ知的なギャグが炸裂!
ギャグのネタもアブナいのが本作の特徴。だが、これらのギャグにも仕掛けあり。人種差別やゲイ差別、身体障害者など、良識のある人々が眉をひそめるようなネタがあちこちに登場、思わず目を覆いたくなる場面も多い。
しかし、実は本作が笑っているのは「無意識のうちにそうした差別をしてしまっている人々」。視聴者の差別意識をあぶり出し、果たしてこのギャグが笑えるのかを問いただす、鋭く知的なギャグなのだ。
★ゴールデン・グローブ賞はじめ英国と米国のTV賞を総ナメ!
人気ドラマの定番ジャンルといえば、恋愛、医療、家族、ミステリーもの。そのどれでもないのに、英国と米国のTV賞を総ナメしているのは、本作のクオリティの高さの証明。英国のアカデミー賞といわれるBAFTAのTV部門では、06年に3部門ノミネート、07年にも3部門ノミネートされ、リッキーがコメディ演技賞を受賞。米国のエミー賞では06年に4部門ノミネート、07年も4部門ノミネートで、TVコメディ主演男優賞をリッキーが受賞。そして米ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門では、08年に2部門ノミネート、栄えある最優秀TVシリーズ賞を受賞した。
★「The Office」でブレイクした才人、リッキー・ジャーベイスに注目!
本作の仕掛け人は、製作・脚本・演出・主演の4役を兼任する才人リッキー・ジャーベイス。どこにでもいるような小太りの中年男、なのだが、にっこり笑ったときにちらりと除く尖った八重歯がチャームポイント。どこにでもいそうなルックスで、「ああ、いる、いる」なイヤなヤツを演じるのが得意技だ。
61年英国レディング生まれの彼は、ラジオのDJ出身で、80年代にはSeona Dancingという音楽グループでシングル2枚をリリース。一時は、短命だったUKの人気バンド、スウェードのマネージャーをしていたという説もあるユニークな経歴の持ち主。が、彼が人々の注目を集めるのはコメディ俳優兼脚本家に転身してから。TVの脚本、出演を経て、脚本・演出・主演の3役を兼任したTVシリーズ「The Office」英国で大ブレイク。米NBCが「40歳の童貞男」のスティーブ・カレル出演でアメリカ版をリメイクし、リッキー製作にも参加し、この番組は全米で大ヒット。彼が次に着手したのが本作なのだ。
ジャーベイスは今や映画界にも進出。俳優としてすでに「ナイトミュージアム」や「スターダスト」に出演。この2作では脇役だったが、主演を務めたのが、全米でこの夏公開予定のデビッド・コープ監督によるコメディ「Ghost Town」。テア・レオーニらが共演する。そして映画監督業にも進出。新鋭マシュー・ロビンソンと共に共同監督、共同脚本、出演を務める新作コメディ「This Side of the Truth」を、ジェニファー・ガーナー、ロブ・ロウの共演で進めている。今後の動きを要チェックだ。
(平沢薫)