30 Rock シーズン1 : 特集

 「30 Rock/サーティ・ロック」は、ニューヨークのTV局を舞台に、ライブで放送されるバラエティ番組の製作現場を描く30分のコメディ。主人公は、仕事はできるが恋愛には縁がない女性放送作家のリズ・レモン。辛口なギャグが得意な彼女のキャラも強烈だが、周囲の人々も個性派揃いだ。番組に口を出すワンマン上司、自分勝手で問題ばかり起こす人気コメディアン、生き残りに必死なアラフォーの女性コメディアン、マイペースなアシスタントたちが繰り広げる、番組制作の舞台裏が描かれる。

 この番組のベースとなっているのは、実在の人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」。NBCで75年に放送が始まったこの番組は、90分間の公開バラエティ番組で、エディ・マーフィ、アダム・サンドラー、マイク・マイヤーズといった人気コメディ俳優を輩出したことでも知られている。こうした名物番組がどのように作られているのか、本作でその舞台裏を覗くのも楽しい。

 主人公を演じるティナ・フェイは、本作の番組クリエイターで、原案・製作総指揮・脚本を自ら担当している。彼女はドラマ内番組のモデルとなった「サタデー・ナイト・ライブ」のヘッド脚本家として活躍し、03年にエミー賞を受賞。その彼女が「サタデー~」を降板して、自分で新たに作った番組がこの「30 Rock/サーティ・ロック」なのだ。

 本作は07年から3年連続でエミー賞作品賞を受賞、09年にはエミー賞とゴールデングローブ賞の作品賞をダブル受賞。フェイ個人もエミー賞やゴールデングローブ賞の主演女優賞や脚本賞を受賞し、タイム誌の「もっとも影響力のある100人」やピープル誌の「もっとも美しい100人」に選出された。10年にはハリウッドのウォーク・オブ・フェームに名前が刻まれることが決定。今、アメリカでもっとも愛されている女性コメディアンなのだ。

 フェイと彼女が演じるリズ・レモンは、優秀な放送作家である点が共通しているが、私生活は別。主人公はシングルだが、フェイは本作の音楽も務める作曲家ジェフ・リッチモンドと01年に結婚し、子供がひとりいる。

 主演のティナ・フェイがまるで自分自身のような放送作家リズ・レモンを演じているのを筆頭に、コメディ俳優がコメディ俳優役を演じているのが本作の特徴。全編に散りばめられたセルフパロディが、本作の笑いにシニカルな魅力を添えている。

 例えば、身勝手な人気コメディアンを演じるトレイシー・モーガンは、役名もトレイシー・ジョーダンでほぼ同じ。ブルース・ウィリス共演のコメディ映画「コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら」など映画でも活躍しているのも本作のキャラと同じだ。私生活でも飲酒運転で逮捕されており、そんなところも本作とかぶる。

 そしてアレック・ボールドウィン演じる局の重役の離婚騒動も、彼自身のキム・ベイシンガーとの離婚騒動を連想させるもの。困った妻だが愛していないわけではないといった感じも、実生活を連想させる。ちなみに、ドラマ内ではその困った妻役をデビッド・リンチの元夫人イザベラ・ロッセリーニが演じている。

 この番組、業界人のファンが多いためか、とにかくゲスト出演が豪華。テニスのジョン・マッケンローやミュージシャンのシェリル・クロウ、ノラ・ジョーンズらの異業種出演もあるが、人気俳優も続々出演。シーズン3までに、ジェニファー・アニストン、ウーピー・ゴールドバーグ、スティーブ・ブシェミ、ブライアン・デネヒー、マシュー・ブロデリックらが登場している。

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