ケビン・アンダーソン : ウィキペディア(Wikipedia)

ケビン・アンダーソンKevin Anderson, 1986年5月18日 - )は、南アフリカ・ヨハネスブルグ出身の男子プロテニス選手。これまでにATPツアーでシングルス7勝、ダブルス1勝を挙げている。自己最高ランキングはシングルス5位、ダブルス58位。身長203cm、体重94kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。

選手経歴

ジュニア時代

アンダーソンは6歳でテニスを始める。学生時代には800メートル競走もしていた。12歳のときにはラファエル・ナダルとITF男子サーキットで対戦したことがあった。

2007年 プロ転向

アメリカのイリノイ大学に留学しNCAAでのプレーを経て、2007年にプロに転向。

2008年 グランドスラム初出場

4大大会では2008年全豪オープン男子シングルスで予選を勝ち上がり初出場し、1回戦でアレハンドロ・ファジャに7-5, 5-7, 7-6(8), 2-6, 5-7で敗れた。3月のテニス・チャンネル・オープンで予選から勝ち上がり決勝に進出。サム・クエリーに6–4, 3–6, 4–6で敗れ準優勝となった。マイアミ・マスターズでは2回戦で当時3位のノバク・ジョコビッチを7-6(1), 3-6, 6-4で破り初めてトップ10プレイヤーに勝利した。8月の北京五輪にも出場し、シングルス2回戦でニコラス・キーファーに4-6, 7-6(4), 4-6で敗れた。

2010年 グランドスラム3回戦進出

2010年全米オープン1回戦でソムデブ・デバルマンを6-3, 6-4, 6-3で破り初めて4大大会で初戦を突破し、2回戦でトマス・ベルッシを6-7(4), 6-4, 5-7, 6-4, 7-6(2)で破り3回戦に進出した。リシャール・ガスケに4-6, 6-7(3), 5-7で敗れた。

2011年 ツアー初優勝

2011年2月の地元のSAテニスオープンで2度目の決勝に進出。ソムデブ・デバルマンを4–6, 6–3, 6–2で破りツアー初優勝を果たした。この優勝でランキングを40位に上げトップ50に定着するようになる。8月のロジャーズ・カップでは2回戦で当時4位のアンディ・マリーを6-3, 6-1で破った。この年の11月に結婚した。

2012年 ツアー2勝目

2012年2月のデルレイビーチ国際テニス選手権では決勝でマリンコ・マトセビッチを6–4, 7–6(2)で破りツアー2勝目を挙げた。

2013年 グランドスラム4回戦進出

2013年全豪オープンの3回戦でフェルナンド・ベルダスコを4-6, 6-3, 4-6, 7-6, 6-2で破り、4大大会のシングルスで初めて4回戦に進出した。トマーシュ・ベルディハに3-6, 2-6, 6-7で敗れた。全仏オープンも4回戦に進出するもダビド・フェレールに3-6, 1-6, 1-6で敗れた。

2015年 全米ベスト8 トップ10入り

2月に行われたメンフィス・オープンは決勝まで進出し、第1シードの錦織圭に4-6, 4-6で敗れ準優勝。錦織に同大会3連覇を許す形となった。 6月のエイゴン選手権では第2シードのスタン・ワウリンカ、第7シードのジル・シモンなどを破り決勝に進出するも第1シードのアンディ・マリーに3-6, 4-6で敗れた。 続くウィンブルドン選手権では4回戦で世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ相手に2セットアップするも7-6(6), 7-6(6), 1-6, 4-6, 5-7で逆転負けした。 全米直前のウィンストン・セーラム・オープンでは決勝でピエール=ユーグ・エルベールを破り3年ぶりのツアー優勝を果たした。 全米オープンでは4回戦で第3シードのアンディ・マリーを7-6(5), 6-3, 6-7(2), 7-6(0)で勝利し自身初4大大会のベスト8進出。準々決勝では第5シードのスタン・ワウリンカに4-6, 4-6, 0-6で敗れた。10月12日付の世界ランキングで10位を記録し、南アフリカ共和国の選手としてはウェイン・フェレイラ以来となるトップ10入りを果たした。

2016年 怪我との闘い

怪我のため、全豪オープンの1回戦を途中棄権。2月のデルレイビーチ・オープンでも途中棄権し、結局5月までツアーを離脱した。その後も早期敗退が続き、全仏オープンではステファン・ロベール、ウィンブルドンではデニス・イストミンにそれぞれ初戦敗退を喫した。ロジャーズ・カップでは準々決勝進出を果たしたものの、昨年ベスト8に入った全米オープンではジョー=ウィルフリード・ツォンガに敗れ3回戦止まりとなった。そのポイント失効の影響もあり、年間最終ランクは67位まで下落した。

2017年 全米準優勝

全豪オープンは欠場して、シーズン序盤は早期敗退が続いた。全仏オープンではノーシードでの出場だったが2回戦でニック・キリオスに逆転勝利し、3回戦も勝ち進む。4回戦はマリン・チリッチに1セットを握られ、その後途中棄権したものの、四大大会では2年近く遠ざかっていたベスト16という結果を残す。ウィンブルドン選手権でも3回戦を勝ち上がり4回戦へ進出。4回戦では今大会セミファイナリストサム・クエリーとの試合となり、フルセットまで縺れ込む熱戦となったものの敗退した。

シティ・オープンでは3回戦でTOP10の一員である第1シードドミニク・ティームを破る。準々決勝ではユキ・バンブリに勝利。準決勝では第8シードのジャック・ソックに勝利。決勝では第5シードアレクサンダー・ズベレフに敗退したもののこの大会を準優勝で終える。ロジャーズ・カップでは2回戦でパブロ・カレーニョ・ブスタに勝利。3回戦ではサム・クエリーに勝利。しかし準々決勝ではまたもズベレフとの対戦、ストレートで敗退しベスト8となった。

迎えた全米オープンでは、第28シードとして出場。3回戦までを全てストレートで勝利し4回戦でパオロ・ロレンツィに勝利し、2015年以来の四大大会並びに全米オープン準々決勝へ駒を進める。準々決勝では地元アメリカのサム・クエリーとの対決を制す。準決勝ではパブロ・カレーニョ・ブスタに1セットを握られるものの、4-6, 7-5, 6-3, 6-4で逆転勝利し四大大会では初の決勝進出。決勝では世界ランキング1位、第1シードのラファエル・ナダル相手に3-6, 3-6, 4-6のストレートで敗退したが四大大会初の準優勝という成績を残した。シーズン開幕時のランキング67位から、2017年最終ランキングは14位。

2018年 ウィンブルドン準優勝 ATPファイナルズベスト4 世界5位

年始のタタ・オープンでは準優勝。全豪オープンでは初戦敗退。2月のニューヨーク・オープンでは準決勝で第5シードの錦織圭にフルセットで勝利、決勝は第2シードのサム・クエリーに勝利しツアー4勝目を挙げる。大会後の世界ランキングでトップ10復帰を果たした。メキシコ・オープンでも決勝に進出したが、第6シードのフアン・マルティン・デル・ポトロに敗れ準優勝となった。BNPパリバ・オープン、マイアミ・オープンではどちらもベスト8の成績を残す。ムチュア・マドリード・オープンで、マスターズ1000で初めてベスト4に進出するも、準決勝は第5シードのドミニク・ティームに敗れた。

ウィンブルドンでは準々決勝で第1シードのロジャー・フェデラーに2-6, 6-7(5), 7-5, 6-4, 13-11で逆転勝利、準決勝で第9シードのジョン・イスナーに7-6(6), 6-7(5), 6-7(9), 6-4, 26-24で歴代2位の試合時間となる6時間36分の死闘を制し、ウィンブルドンで初の決勝進出を果たす。決勝では第12シードのノバク・ジョコビッチに2-6, 2-6, 6-7(3)のストレートで敗れ、グランドスラム初優勝とはならなかった。7月16日付の世界ランキングで自己最高の5位を記録し、32歳で初のトップ5入りを果たす。

ロジャーズ・カップでは、第5シードのグリゴール・ディミトロフに勝利し準決勝進出したが、ジョコビッチなどのトップ10選手をこの大会で既に3人破った若手ステファノス・シチパスに敗れた。前年度準優勝した全米オープンでは、第5シードとして出場し3回戦で第28シードのデニス・シャポバロフを破るも、4回戦で第9シードのティームにストレートで敗れた。10月のエルステ・バンク・オープン決勝で錦織圭に勝利しATP500で初優勝。

レースランキング6位で初出場を果たしたATPファイナルズは、ラウンドロビン第1戦でティーム、第2戦で錦織に勝利し、第3戦でフェデラーに敗れるも2勝1敗の2位で準決勝進出、準決勝でジョコビッチに2-6, 2-6で敗れた。年間最終ランキングは6位と初めてトップ10でシーズンを終える。

2019年 ツアー6勝目

年始のマハラシュトラ・オープンでは決勝でイボ・カロビッチを7-6(4), 6-7(2), 7-6(5)で破り、キャリア6勝目を挙げた。

全豪オープンでは1回戦でアドリアン・マナリノを破るがフランシス・ティアフォーに敗退したが、肘の故障により、約2か月間のツアー離脱。 復帰戦のマイアミ・オープンではベスト16入りしたが、準々決勝でロジャー・フェデラーに敗れた。クレーコートシーズンは肘のリハビリのためクレーシーズン全大会欠場を発表。

ウィンブルドン選手権では3回戦でギド・ペラに敗れた。右膝の故障のため、9月12日に同部位の手術を受けたこととシーズンの終了を自身のSNSで報告した。年間最終ランキングは91位まで急落した。

2020年 ATP杯初出場

ATPカップでは母国南アフリカ共和国代表として復帰。予選でのグループステージでフランスのブノワ・ペール、チリのクリスチャン・ガリンを破るがセルビアのノバク・ジョコビッチに敗れ、ラウンドロビン敗退。

全豪オープン2回戦ではテイラー・フリッツに2セットアップからの逆転で敗退。その後は右膝の半月板の手術を受けた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは1回戦でカイル・エドマンドを破るが、2回戦でステファノス・チチパスに敗れた。全米オープンでは1回戦で第5シードのアレクサンダー・ズベレフに敗れた。全仏オープンでは3回戦ではアンドレイ・ルブレフに敗れた。パリ・マスターズでは2回戦でダニール・メドベージェフ戦で途中棄権。膝の怪我による影響もあり、年間最終ランキングは81位。

2021年 ツアー7勝目 ツアー通算350勝

全豪オープンでは1回戦で第9シードのマッテオ・ベレッティーニにストレートで敗れた。マイアミ・オープンでは1回戦でダミル・ジュムールに敗れた。ミレニアム・エストリル・オープンではフランシス・ティアフォーらを破り、ベスト8入り。しかし、準々決勝ではマリン・チリッチとの対戦で1セット目終了後に棄権。全仏オープンでは1回戦で權順宇に敗退。ウィンブルドン選手権2回戦では第1シードのノバク・ジョコビッチにストレートで敗れた。

テニス殿堂選手権にワイルドカードで出場。ジャック・ソック、アレクサンダー・ブブリクらを破り、決勝進出。決勝でジェンソン・ブルックスビーを7–6, 6–4で破り、ツアー7勝目を挙げた。約1年半ぶりのツアー優勝を果たしたことで世界ランキングを113位から74位まで上げた、ツアー通算350勝を達成した。全米オープンでは1回戦でイジー・ベセリーにフルセットの末に勝利。2回戦では第11シードのディエゴ・シュワルツマンにストレートで敗れた。BNPパリバ・オープンの3回戦ではガエル・モンフィスに敗れた。パリ・マスターズでは予選でユーゴ・ガストンに敗れて、シーズン終了。年間最終ランキングでは80位。

2022年 現役引退

全豪オープンでは1回戦で第23シードのライリー・オペルカに3-6, 4-6, 6-7(3)のストレートで敗れた。3月のマイアミ・オープンが現役最後の出場となり、5月3日に自身のSNSを通じて現役引退を表明した。予選を通過し、本戦1回戦にてに敗れ、現役引退となった。

2023年 現役復帰

7月、現役引退をしてから約1年、最後のツアー優勝となったテニス殿堂選手権にて現役復帰をすると発表した。そして1回戦でを6-3, 6-2、2回戦でを6-3, 7-6(6)で下して復帰早々、ベスト8進出を果たす。準々決勝ではウゴ・アンベールに2-6, 4-6で敗れた。

プレースタイル

203cmの高身長から打たれる高速サーブが武器。 アンダーソンのような所謂ビッグサーバーと呼ばれる高身長の選手は、低い打点のグラウンドストロークを苦手とすることが多い。 彼もその中の1人だったが、昨今はグラウンドストロークの技術が向上し、フォアハンドを軸としたラリー戦も得意にしている http://www.tenniszine.net/archives/984。

主要大会決勝

グランドスラム決勝

シングルス:2(準優勝2回)

結果大会サーフェス相手スコア
準優勝 2017年 全米オープン ハード ESP ラファエル・ナダル 3-6, 3-6, 4-6
準優勝 2018年 ウィンブルドン SRB ノバク・ジョコビッチ 2-6, 2-6, 6-7(3-7)

ATPツアー決勝進出結果

シングルス: 20回 (7勝13敗)

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大会グレード
グランドスラム (0–2)
ATPファイナルズ (0–0)
ATPツアー・マスターズ1000 (0–0)
ATPツアー500 (1–4)
ATPツアー250 (6–7)

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サーフェス別タイトル
ハード (6–10)
クレー (0–1)
芝 (1–2)
カーペット (0–0)

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結果No.決勝日大会サーフェス対戦相手|スコア
準優勝 1. 2008年3月9日 USA ラスベガス ハード USA サム・クエリー 6-4, 3-6, 4-6
優勝 1. 2011年2月6日 RSA ヨハネスブルグ ハード IND ソムデブ・デバルマン 4-6, 6-3, 6-2
優勝 2. 2012年3月4日 USA デルレイビーチ ハード AUS マリンコ・マトセビッチ 6-4, 7-6(7-2)
準優勝 2. 2013年1月12日 AUS シドニー ハード AUS バーナード・トミック 3-6, 7-6(7-2), 3-6
準優勝 3. 2013年4月14日 MAR カサブランカ クレー ESP トミー・ロブレド 6-7(6-8), 6-4, 3-6
準優勝 4. 2013年7月28日 USA アトランタ ハード USA ジョン・イズナー 7-6(7-3), 6-7(2-7), 6-7(2-7)
準優勝 5. 2014年2月23日 USA デルレイビーチ ハード CRO マリン・チリッチ 6-7(6-8), 7-6(9-7), 4-6
準優勝 6. 2014年3月1日 MEX アカプルコ ハード BUL グリゴール・ディミトロフ 6-7(1-7), 6-3, 6-7(5-7)
準優勝 7. 2015年2月16日 USA メンフィス ハード (室内) JPN 錦織圭 4-6, 4-6
準優勝 8. 2015年6月21日 UK ロンドン UK アンディ・マリー 3-6, 4-6
優勝 3. 2015年8月29日 USA ウィンストン・セーラム ハード FRA ピエール=ユーグ・エルベール 6-4, 7-5
準優勝 9. 2017年8月6日 USA ワシントン ハード GER アレクサンダー・ズベレフ 4-6, 4-6
準優勝 10. 2017年9月10日 USA 全米オープン ハード ESP ラファエル・ナダル 3-6, 3-6, 4-6
準優勝 11. 2018年1月6日 IND プネー ハード FRA ジル・シモン 6-7(4-7), 2-6
優勝 4. 2018年2月18日 USA ニューヨーク ハード (室内) USA サム・クエリー 4-6, 6-3, 7-6(7-1)
準優勝 12. 2018年3月3日 MEX アカプルコ ハード ARG フアン・マルティン・デル・ポトロ 4-6, 4-6
準優勝 13. 2018年7月15日 GBR ウィンブルドン SRB ノバク・ジョコビッチ 2-6, 2-6, 6-7(3-7)
優勝 5. 2018年10月28日 AUT ウィーン ハード (室内) JPN 錦織圭 6-3, 7-6(7-3)
優勝 6. 2019年1月5日 IND プネー ハード CRO イボ・カルロビッチ 7-6(7-4), 6-7(2-7), 7-6(7-5)
優勝 7. 2021年7月18日 USA ニューポート USA ジェンソン・ブルックスビー 7-6(10-8), 6-4

ダブルス: 4回 (1勝3敗)

|結果|No.|決勝日|大会|サーフェス|パートナー|対戦相手|スコア
準優勝 1. 2012年2月19日 USA サンノゼ ハード(室内) GER BAH マーク・ノールズBEL グザビエ・マリス 4-6, 6-1, [5-10]
準優勝 2. 2012年8月5日 USA ワシントンD.C. ハード USA サム・クエリー PHI トレト・ユーイGBR 6-7(7-9), 7-6(11-9), [5-10]
優勝 1. 2014年3月1日 MEX アカプルコ ハード AUS マシュー・エブデン ESP フェリシアーノ・ロペスBLR マックス・ミルヌイ 6-3, 6-3
準優勝 3. 2014年10月26日 ESP バレンシア ハード (室内) FRA ジェレミー・シャルディー NED ジャン=ジュリアン・ロジェROU ホリア・テカウ 4-6, 2-6

成績

グランドスラム成績

大会 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 通算成績
全豪オープン1R1R1R1R3R4R4R4R1RA1R2R2R1R1RA13–13
全仏オープンQ2Q31R2R3R4R4R3R1R4R4RA3R1RAA19–11
ウィンブルドン1RQ11R2R1R3R4R4R1R4RF3RNH2RAA20–12
全米オープンQ1Q13R3R1R2R3RQF3RF4RA1R2RAQ223–11

大会最高成績

大会成績
ATPファイナルズSF2018
インディアンウェルズQF2013, 2014, 2018
マイアミQF2011, 2018, 2019
モンテカルロ2R2013
マドリードSF2018
ローマ3R2013, 2015
カナダSF2018
シンシナティ3R2015, 2016, 2018
上海QF2015
パリQF2014
オリンピック2R2008
デビスカップPO2011
ATPカップ RR 2020

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/02/28 02:20 UTC (変更履歴
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