パトリシア・コーンウェル : ウィキペディア(Wikipedia)

パトリシア・ダニエルズ・コーンウェル(Patricia Daniels Cornwell、1956年6月9日 - )は、検屍官ケイ・スカーペッタをヒロインとするシリーズで一躍有名になった米国女流推理作家。

『検屍官』は、アメリカ探偵作家クラブが授与するエドガー賞 処女長編賞と英国推理作家協会が授与するCWA賞 最優秀処女長編賞を受賞。その後同作はシリーズ化、日本でも大ベストセラーとなる(日本での売り上げは2016年で1300万部を越える)。

略歴

フロリダ州マイアミ生まれ。誕生名はパトリシア・キャロル・ダニエルズ。ハリエット・ビーチャー・ストウの子孫にあたる。テネシー州のキング・カレッジ(King College)からノースカロライナ州のデイヴィッドソン・カレッジ(Davidson College)に移り、同大学で英文学を学び卒業する。卒業後にデイヴィッドソン・カレッジの教授チャールズ・コーンウェルと結婚する。1989年に離婚した。

1979年から『シャーロット・オブザーバー』紙で記者として働き始め、その後警察担当になる。

1984年からバージニア州のリッチモンドにある検屍局に最初はテクニカル・ライターとして、その後はコンピュータ・アナリストとして勤務する。同時期にボランティアとして警察でも働く。この時代に得た経験が、その後の彼女の小説に大きく貢献する。

1991から1992年まで、FBI捜査官のマーゴット・ベネットと親密な関係にあった。コーンウェルが作品執筆のためにFBIアカデミーで取材しているときに、知り合ったことがきっかけだった。このとき、マーゴットは夫と別居中だった。

取材で知り合ったハーバード・メディカルスクールの精神分析学助教授ステイシー・アン・グルーバーと2006年に再婚した。現在、マサチューセッツ州コンコード在住である。

検屍官シリーズを通して切り裂きジャックに関心を抱き、莫大な私費(広報によれば当時のレートで7億円)を投じて独自に取材(もっとも執筆前の時点で出版社から原稿料として10億円が保証されていたらしい)。発表した『真相 "切り裂きジャック" は誰なのか?』において、比較的近年になって唱えられるようになった説であるが犯人は英国で高名な画家であったウォルター・シッカートであるという説を取上げ、この説を証明しようとして大きな反響を巻き起こした。評論家の山田五郎はシッカートの事績が知られている英国で特にこの説への批判が強いとした上で、山田自身も、コーンウェルは最初からシッカートが犯人と決めつけていて、彼女の主張は強引としている。

作品

検屍官ケイ・スカーペッタ シリーズ

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|- !#||邦題||原題||刊行年USA||刊行年月Japan||出版社Japan||訳者||ISBN Japan |- |1||検屍官||Postmortem||1990年||1992年1月||rowspan="24"|講談社文庫||rowspan="15"|相原真理子||ISBN 4-06-185069-5 |- |2||証拠死体||Body of Evidence||1991年||1992年7月||ISBN 4-06-185188-8 |- |3||遺留品||All that Remains||1992年||1993年1月||ISBN 4-06-185313-9 |- |4||真犯人||Cruel and Unusual||1993年||1993年12月||ISBN 4-06-185570-0 |- |5||死体農場||The Body Farm||1994年||1994年12月||ISBN 4-06-185836-X |- |6||私刑||From Potter's Field||1995年||1995年12月||ISBN 4-06-263121-0 |- |7||死因||Cause of Death||1996年||1996年12月||ISBN 4-06-263393-0 |- |8||接触||Unnatural Exposure||1997年||1997年12月||ISBN 4-06-263659-X |- |9||業火||Point of Origin||1998年||1998年12月||ISBN 4-06-263937-8 |- |10||警告||Black Notice||1999年||1999年12月||ISBN 4-06-264736-2 |- |11||審問||The Last Precinct||2000年||2000年12月||[上] ISBN 4-06-273045-6[下] ISBN 4-06-273046-4 |- |12||黒蝿||Blow Fly||2003年||2003年12月||[上] ISBN 4-06-273907-0[下] ISBN 4-06-273908-9 |- |13||痕跡||Trace||2004年||2004年12月||[上] ISBN 4-06-274947-5[下] ISBN 4-06-274948-3 |- |14||神の手||Predator||2005年||2005年12月||[上] ISBN 4-06-275267-0[下] ISBN 4-06-275268-9 |- |15||異邦人||Book of the Dead||2007年||2007年12月||[上] ISBN 978-4-06-275915-1[下] ISBN 978-4-06-275936-6 |- |16||スカーペッタ||Scarpetta||2008年||2009年12月||rowspan="9"|池田真紀子||[上] ISBN 978-4-06-276530-5[下] ISBN 978-4-06-276531-2 |- |17||スカーペッタ 核心||The Scarpetta Factor||2009年||2010年12月||[上] ISBN 978-4-06-276837-5[下] ISBN 978-4-06-276838-2 |- |18||変死体||Port Mortuary||2010年||2011年12月||[上] ISBN 978-4-06-277141-2[下] ISBN 978-4-06-277142-9 |- |19||血霧||Red Mist||2011年||2012年12月||[上] ISBN 978-4-06-277435-2[下] ISBN 978-4-06-277436-9 |- |20||死層||The Bone Bed||2012年||2013年12月||[上] ISBN 978-4-06-277744-5[下] ISBN 978-4-06-277745-2 |- |21||儀式||Dust||2013年||2014年12月||[上] ISBN 978-4-06-293011-6[下] ISBN 978-4-06-293012-3 |- |22||標的|| Flesh and Blood||2014年|| 2015年12月 ||[上] ISBN 978-4-06-293089-5[下] ISBN 978-4-06-293090-1 |- |23||邪悪|| Depraved Heart||2015年|| 2016年12月 || [上] ISBN 978-4-06-293546-3[下] ISBN 978-4-06-293560-9 |- |24||烙印||Chaos||2016年|| 2018年12月 ||[上] ISBN 978-4-06-293816-7[下] ISBN 978-4-06-293817-4 |- |25||||Autopsy||2021年|||||||| |- |26||||Livid||2022年|||||||| |}

警察官アンディ・ブラジル シリーズ

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|- !#||邦題||原題||刊行年USA||刊行年月Japan||出版社Japan||訳者||ISBN Japan |- |1||スズメバチの巣||Hornet's Nest||1997年||1998年7月||rowspan="3"|講談社文庫||rowspan="2"|相原真理子||ISBN 4-06-263818-5 |- |2||サザンクロス||Southern Cross||1999年||1999年8月||ISBN 4-06-264643-9 |- |3||女性署長ハマー||Isle of Dogs||2001年||2001年12月||矢沢聖子||[上] ISBN 4-06-273324-2[下] ISBN 4-06-273325-0 |}

捜査官ガラーノ シリーズ

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|- !#||邦題||原題||刊行年USA||刊行年月Japan||出版社Japan||訳者||ISBN Japan |- |1||捜査官ガラーノ||At Risk||2006年||2007年8月||rowspan="2"|講談社文庫||rowspan="2"|相原真理子||ISBN 978-4-06-275813-0 |- |2||前線||The Front||2008年||2008年12月||ISBN 978-4-06-276222-9 |} 捜査官ガラーノ・シリーズの2作は2010年にテレビ映画化された。

Captain Chase シリーズ

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|- !#||邦題||原題||刊行年USA||刊行年月Japan||出版社Japan||訳者||ISBN Japan |- |1||||Quantum||2019年||||||||| |- |2||||Spin||2020年|||||| |}

その他

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|- !#||邦題||原題||刊行年USA||刊行年月Japan||出版社Japan||訳者||ISBN Japan |- |1||パトリシア・コーンウェルの食卓||Food to Die For||2001年||2003年2月||講談社||rowspan="2"|相原真理子||ISBN 4-06-211035-0 |- |2||切り裂きジャック(文庫改題:真相 "切り裂きジャック" は誰なのか?)||Portrait of A Killer;Jack The Ripper Case Closed||2002年||2003年1月(文庫は2005年6月)||講談社(講談社文庫)||ISBN 4-06-211583-2(文庫:[上] ISBN 4-06-275103-8[下] ISBN 4-06-275135-6) |}

関連項目

  • ウォルター・シッカート

外部リンク

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