谷島正之 : ウィキペディア(Wikipedia)

谷島 正之(たにしま まさゆき、1967年4月24日 - )は、日本の映画プロデューサー。アスミック・エース所属、映像事業本部・映像事業部・副部長。

プロフィール

1991年、専修大学経済学部経済学科、卒業。

在学中は、マスメディア研究愛好会に所属し、8mmフィルム映画や同人誌製作を行う。第88回 谷島正之(Masayuki Tanishima)氏 | クリエイターズステーション89年から、日本全国の大学の約150の映画研究会が加盟している学生映像連盟シネック(1978年発足)の活動に参加。第12代(1990年)の代表を務める。その活動の中で知り合った映画プロデューサー・原正人に師事し、彼が社長を務めるヘラルド・エース株式会社で、90年9月よりアルバイト勤務を行い、91年に入社。入社当時は、単館アートシアターの草分け的存在として、同年『ニューシネマ・パラダイス』(88)が大ロングランを記録し、一時代を築いていた。その一方で、最も感銘を受けたのは、同社のもう一つの柱である日本映画製作においてだった。特に実相寺昭雄監督の『歌麿・夢と知りせば』(77)や黒澤明監督の『乱』(85)等に見られる独特の着眼点や、それを創り出す機能やクリエイティビティに感化され、入社した。

その後、エース・ピクチャーズ、アスミック・エース・エンタテインメントと、会社形態が変わり、現アスミック・エース(J:COM傘下)に所属中映画プロデューサー 谷島 正之さん|クリエイティブビレッジ

宣伝業務

1991年にアスミック・エースに入社し、宣伝部に配属された。初年度はインドネシア映画『チュッ・ニャ・ディン』を皮切りに、ニール・ジョーダン監督作『スターダスト』、アンジェイ・ワイダ監督作『コルチャック先生』、ジュネ&キャロ監督作『デリカテッセン』、ピーター・グリーナウェイ監督作『プロスペローの本』など、ヨーロッパ映画中心のラインナップと共に、恩地日出夫監督作『四万十川』、熊井啓監督作『ひかりごけ』など、洋邦問わず、宣伝業務に従事。

主な宣伝作品

1992年
・インドシナ
1993年
・めぐり逢う朝 ・オーソン・ウェルズのオセロ
・レザボア・ドッグス
・ウェディング・バンケット
・可愛いだけじゃダメかしら
1994年
・林檎の木 ・イヴォンヌの香り
1995年
・恋人たちの食卓 ・Undo
1996年
・明日を夢見て ・ロスト・チルドレン
・スワロウテイル ・花の影
1997年
・バスキア ・P・グリーナウェイの枕草子
1998年
・不夜城
1999年
・アイ ウォント ユー
2000年
・雨あがる
2001年
・蝶の舌 ・テルミン
2002年
バーバー ・ドニー・ダーコ

主な宣伝プロデューサー作品

1992年、『地獄の黙示録』のドキュメンタリー映画『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』で、初めて宣伝プロデューサーとして全体プランニングを手掛ける。1993年、アメリカ・ユタ州でロバート・レッドフォードが主催する「サンダンス映画祭」に参加、洋画買付けを経験。そのフランス映画『カルネ』により、翌1994年宣伝プロデューサーを務め公開、当時のレイトショー映画の興行記録を樹立。

1994年
・ミナ ・みんな〜やってるか!
1995年
・愛の報酬/シャベール大佐の帰還
・私立探偵濱マイク/罠
1996年
・クリーン,シェーブン
1997年
・ノーマ・ジーンとマリリン
1998年
・オスカー・ワイルド
・ミミ ・ドレス ・ザ・ブレイク
1999年
・オフィスキラー
・海の上のピアニスト
2000年
・ミュージック・オブ・ハート
・カノン ・恋の骨折り損
2001年
・楽園をください ・幼なじみ
・耳に残るは君の歌声
2002年
・ザ・リング
2003年
・ピノッキオ ・茄子 アンダルシアの夏
・ミシェル・ヴァイヨン
2004年
・花咲ける騎士道
・ソウ ・約三十の嘘
2005年
・ザ・リング2
2006年
・アンジェラ ・ソウ3
2012年
・のぼうの城

製作業務

2005年より、宣伝プロデューサーと共に製作を兼ねる。同年、源孝志監督作『大停電の夜に』で、企画の段階から参加し、アソシエート・プロデューサーとして、企画・製作・宣伝を行った。

2006年、製作部に異動し、製作アソシエイトチームの統括として、社内外の製作作品の企画に携わる。共同プロデューサーを務めたアメリカ・日本・カナダ合作のホラーオムニバス映画『デス・ルーム』(TRAPPED ASHES/日本未公開/国内ビデオ発売作)は、ジョー・ダンテ、モンテ・ヘルマン(第三話「キューブリックの恋人」)、ショーン・S・カニンガム(第二話「日本の縛霊」)というジャンル映画系ベテラン監督たちが大挙参加し、日本ロケ(伊豆・修善寺)も敢行。中でも第一話「豊胸死術の女」を担当したケン・ラッセル監督の遺作映画となった。

2007年、蜷川実花監督デビュー作『さくらん』を、製作・宣伝の両面から参加。

2008年、小泉堯史監督作『明日への遺言』で、プロデューサー・アシスタント、犬童一心監督作『グーグーだって猫である』で、共同プロデューサーを務める。

2011年、福島県いわき市のフラガールたちの震災後の姿を追ったドキュメンタリー作品『がんばっぺ、フラガール!~フクシマに生きる。彼女たちのいま~』で、共同プロデューサー。

2012年、蜷川実花監督二作目となる『ヘルタースケルター』(蜷川実花監督)も、『さくらん』同様、製作・宣伝の両面から参加。

プロデューサー業務

2007年、角川モバイルというプラットフォームとのコラボレーションにより、『きまぐれロボット』(07/辻川幸一郎監督)を製作。本作は配信映画の先駆けとして、第13回AMDアワード「優秀賞」を受賞。また星新一原作の実写初作品としても脚光を浴びた。

2008年、ベストセラー小説の映画化『西の魔女が死んだ』(長崎俊一監督)で、長編映画初プロデュース。

2009年、3D実写長編作『戦慄迷宮3D』(清水崇監督)。本作は、日本はもとよりアジア圏における初のデジタル3D実写長編映画であると共に、『アバター』よりも2か月前に公開(2009年10月17日日本公開)し話題となる。本作は同年の第66回ヴェネチア国際映画祭に新設された「3D部門」で、5分間の3Dフッテージ特別上映を行い、翌10年、同映画祭・特別招待作品としてインターナショナル・ヴァージョンにて上映された。

2009年、日本映画にして全編英語(日本公開時は日本語字幕スーパー対応)作品『鉄男 THE BULLET MAN』(塚本晋也監督)を世界マーケットを視野に入れ製作。09年「Comic-Con2009」(米サンディエゴ)にて全世界同時製作発表(7月23日)を行い、次ぐ第66回ヴェネチア国際映画祭「コンペティション部門」正式出品を果たし、ワールド・プレミア(9月6日)を行った。その後、第42回スペイン・シッチェス・カタロニア国際映画祭に出品し「名誉賞」受賞(10月7日)、第14回釜山国際映画祭・正式出品によりアジア・プレミア(4月11日)、翌10年、第9回ニューヨーク・トライベッカ映画祭・正式出品により北米プレミアを果たす(4月25日)。

2010年、清水崇監督の3D作品第二弾『ラビット・ホラー3D』(清水崇監督)を製作し、撮影監督にクリストファー・ドイルを招聘(撮影補:福本淳/3D撮影監督:宇井忠幸)。11年、第68回ヴェネチア国際映画祭・特別招待作品としてワールドプレミア上映(9月11日)。

2014年、壇蜜・初主演による連続TVドラマ『アラサーちゃん 無修正』(TX系金曜深夜)の企画を担当。同年、キティちゃんでお馴染みのサンリオとのコラボレーションにより極彩色3Dミュージカル・ファンタジー映画『くるみ割り人形』を製作。アーティストの増田セバスチャン監督デビュー作。78年に製作されたサンリオの“アナログ人形映画”のフッテージを元に、デジタル技術により、まったく違った作品に作り変えるという試みを行った。

2015年、園子温監督による『リアル鬼ごっこ』を第19回モントリオール・ファンタジア国際映画祭・コンペティション部門へ正式出品し、「最優秀作品賞」「最優秀女優賞」「審査員特別賞」の主要3部門受賞。続いてスペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭で「最優秀作品賞」「特殊効果賞」をW受賞。

園版と同時に、配信オリジナル・スリラードラマとして「リアル鬼ごっこ」のエピソード0に迫る『リアル鬼ごっこ ライジング』を新進気鋭の同年代若手監督、大畑創(エピソード1『佐藤さんを探せ!』)、内藤瑛亮(エピソード2『佐藤さんの逃走!』)、朝倉加葉子(エピソード3『佐藤さんの正体!』)と製作。

同年、GYAO!初のオリジナル配信ドラマ『女子の事件は、大抵トイレで起こるのだ。』を、『凶悪』の白石和彌監督、リアル女子演劇で話題となった根本宗子脚本で製作。本作は、全13話による配信版(各13分)と共に、劇場版として2部作【前編:入る?】(71分)、【後編:出る!】(61分)の劇場公開も行い、新宿ピカデリーの記録「7日間連続舞台挨拶・連日完売」を主演女優の蒼波純が樹立。

過去の作品を4Kリマスター化する技術作業もプロデュース。2015年、フィルム撮影作である『さくらん』、『博士の愛した数式』の4K版を、オリジナル・ポジから製作。2016年、2005年から2006年に製作され放送されたTVアニメーション『ハチミツとクローバー』(羽海野チカ原作)の全36話+未放映2話の4K版を企画・製作し、2016年12月21日、4Kリマスタリング版による初ブルーレイ発売。

2016年、大友啓史監督との6年越しの企画・製作作品『3月のライオン』(羽海野チカ原作、白泉社)の「2部作」撮影を3月26日から7月10日まで行う。公開は東宝とアスミック・エースの共同配給により2017年【前編】3月18日、【後編】4月22日より公開「3月のライオン」撮影レポ、主演・神木隆之介は「原作ファンがもっとも望んだ俳優」

主なプロデューサー作品

2004年

・約三十のゴンゾウの嘘(渋谷和行監督) - 企画・プロデュース

2005年

・大停電の夜に(源孝志監督) - アソシエート・プロデューサー

・大停電の夜に〜ナイト・オン・クリスマス(日向朝子監督) - 企画プロデューサー

2006年

・デス・ルーム(ジョー・ダンテ / ケン・ラッセル監督他) - 共同プロデューサー

2007年

・きまぐれロボット(辻川幸一郎監督) - 企画・プロデュース

・さくらん(蜷川実花監督) - アソシエート・プロデューサー

2008年

・西の魔女が死んだ(長崎俊一監督) - プロデューサー

・明日への遺言(小泉堯史監督) - プロデューサー・アシスタント

・グーグーだって猫である(犬童一心監督) - 共同プロデューサー

2009年

・戦慄迷宮3D(清水崇監督) - プロデューサー

・鉄男 THE BULLET MAN(塚本晋也監督) - プロデューサー

2011年

・ラビット・ホラー3D(清水崇監督) - プロデューサー

・がんばっぺ、フラガール!フクシマに生きる。彼女たちのいま(小林正樹監督) - 共同プロデューサー

2012年

・ヘルタースケルター(蜷川実花監督) - アソシエート・プロデューサー

2014年

・アラサーちゃん 無修正(テレビドラマ) - 企画

・くるみ割り人形(増田セバスチャン監督) - プロデューサー

2015年

・リアル鬼ごっこ(園子温監督) - プロデューサー

・リアル鬼ごっこ ライジング(大畑創 / 内藤瑛亮 / 朝倉加葉子監督) - 企画・プロデュース

・女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。(GYAO!配信版&映画版/白石和彌監督) - プロデューサー

・さくらん【4K版】(07/15) - 4K化プロデューサー

・博士の愛した数式【4K版】(06/15) - 4K化プロデューサー

2016年

・ハチミツとクローバー【4K版】(アニメーション 05~06/16) - 4K化プロデューサー

2017年

・3月のライオン【前編】【後編】(大友啓史監督) - プロデューサー

・愛のむきだし【最長版 ザ・テレビショー】(園子温監督) - 企画プロデュース

2018年

・アストラル・アブノーマル鈴木さん (YouTube版&映画版/大野大輔監督) - 企画

・放課後ソーダ日和 (YouTube版&映画版/枝優花監督) - 企画

・ねこホスト (YouTube独占コンテンツ/寺内康太郎監督) - 企画

2019年

・セレクト女子~優柔不断な私にドロップキック~ (YouTube独占コンテンツ/<a href

・麻雀放浪記2020 (白石和彌監督) - プロデューサー

2020年・ゾッキ(竹中直人・山田孝之・齋藤工監督/2021年公開)- 企画

著作

  • 「3D世紀/驚異!立体映画の100年と映像新世紀3D世紀/驚異!立体映画の100年と映像新世紀」(ボーン・デジタル刊/共著)
    700本を超える古今東西の3D作品と、800点を超える3D映画ポスタービジュアルにより、あらゆる3D映像に関する事を「歴史」「製作」「技術」という3つの側面から完全網羅した650ページに及ぶ書籍。
    日本はもとより世界的にも著名な3D映画・技術評論家の大口孝之が3D映像・映画の「歴史」を400ページ、映像会社IMAGICAに所属する3Dスーパーバイザー灰原光晴が3D映像「技術」に関して50ページを執筆。谷島正之が3D映像「製作」という側面から、“新世紀3D元年”と言わる2009年、アジア圏初のデジタル3D実写長編映画が、どのように発想され、企画され、製作されたのか?という映画製作の裏側と、究極の体感映画とは何かについて200ページを執筆。2Dを超えるリアルな世界、その映像創造の神秘と楽しさを書き記す。
  • 「デジタル時代の映像クリエイターデジタル時代の映像クリエイター」(キネマ旬報ムック/キネマ旬報映画総合研究所・編/キネマ旬報社刊/2011年7月11日発売)
    3D映画、携帯ムービー、デジタル上映、SNS・・・映像コンテンツ変革の新時代に“勝ち抜くヒント”が満載!(書籍帯より)
    2009年9月から開催された映画プロデューサー&プロデューサー養成講座の講義を採録したものや、本書の為に書き下ろしたもので構成されている。(中略)様々なジャンルのクリエイターが、デジタル時代における、それぞれの創作活動について語っている。クリエイター、プロデューサーを志す方々のサジェスチョンになることを願っている(本書「はじめに」より)
    行定勲監督(第2章「映画監督が作った携帯ムービー」)、FROGMAN(第3章「フラッシュ・アニメ『鷹の爪』が成功するまで」)などが参加しているムック本。第8章「日本初3Dとアナログ威力の体感映画企画」の23ページを採録&執筆。章題の様に、『戦慄迷宮3D』と『鉄男 THE BULLET MAN』の企画・製作について書き記す。

外部リンク

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