安野モヨコ : ウィキペディア(Wikipedia)

安野 モヨコ(あんの もよこ、1971年3月26日 - )は、日本の漫画家。株式会社カラー取締役。東京都杉並区出身、多摩市育ち。血液型O型。関東高校(現・聖徳学園高校)卒業。別名義に安野 百葉子(読み同じ)。

夫は映画監督の庵野秀明。同じ漫画家の小島功は伯父にあたる中野渡純一『漫画家誕生 169人の漫画道』(新潮社、2006年、ISBN 4103013516)246ページ。

来歴

高校在学中の1989年、『別冊少女フレンドDXジュリエット』7月号に『まったくイカしたやつらだぜ!』が掲載されデビュー。その後連載を持つまでは、安野がファンレターを送り、返事が来たのがきっかけとして、岡崎京子のアシスタントを務める『季刊Prints21 No.76 2005年秋号』。

1995年から『FEEL YOUNG』で『ハッピー・マニア』の連載を開始(1998年7月にフジテレビ系でドラマ化)。『ハッピー・マニア』がドラマ化された同年5月より、『VoCE』にてイラスト&エッセイ作品『美人画報』の連載を開始。

2002年3月26日に庵野秀明と結婚。新婚生活を題材にしたエッセイ漫画『監督不行届』を発表する(2014年にアニメ化)。

2005年6月、少女漫画誌『なかよし』に連載された『シュガシュガルーン』で第29回講談社漫画賞児童部門を受賞。同年7月よりテレビ東京系でアニメ化された。

2006年5月、夫の庵野が設立したアニメ制作会社・株式会社カラーの取締役に就任会社概要スタジオカラー。社名は安野の命名によるヱヴァンゲリヲン新劇場版制作日誌、2007年2月12日(インターネットアーカイブ参照)。

2006年8月からは『週刊文春』にて、食べ物を題材としたエッセイ『くいいじ』を連載(2007年10月連載終了、2009年11月単行本化)。

2006年10月、『モーニング』にて連載中だった『働きマン』がフジテレビ系『ノイタミナ』枠でアニメ化。同作は2007年10月に日本テレビ系でドラマ化された。

2007年2月、『イブニング』で連載された『さくらん』が、蜷川実花監督により実写映画化された。同年4月より、『朝日新聞』日曜版にてショート漫画『オチビサン』連載開始。

2008年3月、体調不良による休養のため『オチビサン』以外の漫画連載を休業することを発表する。

2009年は安野の漫画家生活20周年にあたり、様々な企画が催された(デビュー20周年記念活動の項参照)。

2012年4月6日、夫の名をつけた小惑星「庵野秀明」に続き、火星と木星の軌道の間にある小惑星が「安野モヨコ(Moyocoanno)」と命名される安野モヨコ(Moyocoanno)という名前の小惑星が誕生コミックナタリー 2012年4月12日。

2013年11月から『FEEL YOUNG』にて、『鼻下長紳士回顧録』で5年8か月ぶりに連載復帰(2018年3月連載終了)。同作は2020年、第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した。

2016年11月、株式会社カラーの10周年記念として、書き下ろし漫画『おおきなカブ(株)』を公開。後に自身の公式サイトで全ページを公開したほか、カラーのスタッフによりアニメ化され、公式YouTubeチャンネルで無料公開された(株式会社カラー khara inc.official)。

2017年7月、『FEEL YOUNG』2017年8月号に『ハッピー・マニア』の続編となる『後ハッピーマニア』を単話掲載。2019年10月号(2019年9月)より連載化。

2020年、世田谷文学館でデビュー30周年を記念した『安野モヨコ展 ANNORMAL』を開催。

2021年7月、伊勢丹新宿店本館6階催物場で開催の「大正ロマン百貨店DX」のイベント公式アンバサダーに就任。

人物

  • ペンネームは夢野久作『ドグラ・マグラ』の登場人物「呉モヨ子」、および作家・安野光雅の名前から取って名付けられた。
  • 自画像はロンパースを着た女児。『監督不行届』でも自身をモチーフとした「ロンパース」として登場する。
  • 趣味は読書で、「今でも毎日必ず3回は読書の時間を作ります」と語っている。好きな作家として、内田百閒岡本綺堂谷崎潤一郎、寺田寅彦安野モヨコオフィシャルサイト内プロフィールページ永井荷風夢野久作、澁澤龍彦ら大正・昭和の作家を挙げている。好きな漫画に『バジル氏の優雅な生活』、好きな小説に『流れる』、好きな映画に『股旅』「allcinema」「股旅」を挙げたことがある。
  • 子供の頃から甘い物が苦手で、駄菓子屋で買うのは「よっちゃんイカ」と「都こんぶ」だった。大人になってからも自宅に砂糖を置いておらず、料理の際にはみりんや蜂蜜を使う。南瓜が食べられるようになったのは最近のことという安野モヨコ『くいいじ』(文藝春秋、2009年、ISBN 4163708707)。
  • 成田三樹夫を好きな俳優の一人に挙げており、『働きマン』の主要キャラクターの名前は、成田を含む『仁義なき戦い』シリーズのキャストの名前に由来している。ただ、それについて特に意味は無いと語っている。
  • 高校の同級生に元プロ野球選手の江藤智がおり、1学年上にはMr.Childrenの桜井和寿田原健一中川敬輔がいる。

デビュー20周年記念活動

2009年に様々なアーティスト活動が行われた。

  • 5月 - 初の個展となる《安野モヨコ展》を大阪のギャラリー・センティニアルにて開催。
  • 6月 - 『季刊Prints21 No.91 2009年秋号:安野モヨコ デビュー20周年記念号』が刊行。
  • 7月 - 化粧品ブランド・シュウ ウエムラと安野のコラボレーションによるコレクション“Tokyo Kamon Girls”が全世界で発売シュウ ウエムラ公式サイト内「アーティストコラボレーション シュウ ウエムラ×安野モヨコ」。表参道ヒルズにて特別展覧会も開催されたシュウ ウエムラ公式サイト内「Tokyo Kamon Girls特別展覧会」。また、“Tokyo Kamon Girls”の中のSAKURAKOという女の子をイメージした作品『夜の提灯』も制作された『VoCE』2009年8月号に掲載。『蔦と鸚鵡 -安野モヨコ紙版画集-』に収録。。
  • 同月 - デザインを一新した『ハッピー・マニア』新装版の刊行がスタート。
  • 10月 - 東京初となる個展《安野モヨコ展 レトロモダンな世界》が弥生美術館3階にて開催。同美術館1、2階に展示された《『少女の友』展》との同時開催だった。安野は幼い頃から蕗谷虹児中原淳一、松本かつぢらのファンであり、『少女の友 創刊100周年記念号』『少女の友 創刊100周年記念号 明治・大正・昭和ベストセレクション』実業之日本社、2009年、ISBN 4408107565には安野のインタビューが掲載されている。
  • 同月 - 個展の展示作品を収録した『蔦と鸚鵡 -安野モヨコ紙版画集-』『蔦と鸚鵡 -安野モヨコ紙版画集-』実業之日本社、2009年、ISBN 4408107816が刊行。表題の通り、作品のところどころに鸚鵡のモチーフが描かれている。『VOGUE NIPPON』2009年6月号に掲載された作品にも『鸚鵡師 IA』というタイトルが付けられていた。
  • 11月 - 『くいいじ』上下巻が発売。

単行本リスト

漫画

  • 超感電少女モナ(1994年、講談社) 短編集。
  • TRUMPS!(1994年、別冊少女フレンド、講談社)
  • PEEK A BOO!(1995年、講談社) 短編集。
  • ハッピー・マニア(1995年、FEEL YOUNG、祥伝社) 1998年、フジテレビ系でテレビドラマ化。
  • ジェリー イン ザ メリィゴーラウンド(1997年、CUTiE、宝島社) 1998年、テレビ東京系でテレビドラマ化。
  • パトロール・QT(1997年、別冊少女フレンド、講談社)
  • 脂肪と言う名の服を着て(1997年、週刊女性、主婦と生活社)
  • チェイシング・エイミー(1998年、青山出版社)
  • ラブ・マスターX(1998年、CUTiE comic、宝島社)
  • エンジェリック・ハウス(1999年、Amie、講談社)
  • カメレオン・アーミー(1999年、祥伝社) 短編集。
  • ジェリービーンズ(1999年、CUTiE、宝島社) 後になかよしプレミアムKC(講談社)から単行本発売。
  • ツンドラ ブルーアイス(2000年、YOUNG YOU、集英社)
  • 花とみつばち(2000年、週刊ヤングマガジン、講談社)
  • ベイビーG(2001年、CUTiE、飛鳥新社)
  • さくらん(2001年、イブニング、講談社) 2007年、映画化(監督:蜷川実花、主演:土屋アンナ)。
  • シュガシュガルーン(2003年、なかよし、講談社) 第29回講談社漫画賞児童部門受賞。2005年、テレビ東京系でアニメ化。
  • 働きマン(2004年、モーニング、講談社) 2006年、フジテレビ系ノイタミナ枠でアニメ化。2007年、日本テレビ系でテレビドラマ化。
  • 監督不行届(2005年、FEEL YOUNG、祥伝社) 2014年、テレビ東京系でアニメ化。
  • オチビサン(2008年、朝日新聞、朝日新聞出版) 2023年、NHK総合でアニメ化。
  • バッファロー5人娘(2013年、CUTiE comic、祥伝社/コルク) - 未完であるが出版している。
  • 鼻下長紳士回顧録(2013年、FEEL YOUNG、祥伝社)
  • 後ハッピー・マニア(2020年、FEEL YOUNG、祥伝社) - 「ハッピー・マニア」(1995年)の続編。「このマンガがすごい!2021」オンナ編2位受賞。

エッセイ、画集

  • 美人画報(1998年、VoCE、講談社)
  • ハッピーマニア イラスト集(1999年、祥伝社)
  • 日記書いてる場合じゃねぇよ(2001年、PARCO出版)
  • 美人画報ハイパー(2001年、講談社)
  • 安野モヨコ対談集 ロンパースルーム(2003年、ロッキング・オン)
  • 美人画報ワンダー(2003年、講談社)
  • 蔦と鸚鵡 安野モヨコ紙版画集(2009年、実業之日本社)
  • くいいじ(2009年、文藝春秋)
  • オチビサンのひみつのはらっぱ(2014年、講談社)
  • 還暦不行届(2023年、祥伝社)

その他関連本

  • 花とみつばち Memorial モテバイブル(2003年、講談社)
  • さくらん オフィシャルガイドブック(2007年、講談社)
  • 働きマン Make It Beauty!(2007年、講談社)
  • 働きマン 明日をつくる言葉(2007年、講談社)
  • 働きマン 仕事人に聞く(2007年、講談社)
  • 働きマン Make It Healthy!(2007年、講談社)
  • 文藝別冊「総特集 安野モヨコ」(2003年、河出書房新社)
  • プリンツ21 2005年秋号 特集・安野モヨコ(2005年、プリンツ21)
  • プリンツ21 2009年秋号 特集・安野モヨコ(2009年、プリンツ21)

メディア出演

  • AERA(2003年5月5日、朝日新聞出版)
  • 情熱大陸(2004年2月22日、TBS)
  • プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル(2021年3月22日、NHK総合)
    • BS1スペシャル「さようなら全てのエヴァンゲリオン〜庵野秀明の1214日〜」(2021年4月29日、NHK BSP) ※上記番組の再編集版
  • ボクらの時代(2022年4月17日、フジテレビ)- 伊藤理佐二ノ宮知子と対談

その他

アニメ

  • よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)(2016年) - 原作・脚本・キャラクターデザイン
  • 3月のライオン(2016年)- 第1シーズン第11話エンドカード

映画

  • キューティーハニー(2004年) - キャラクターデザイン
  • 恋の門(2004年、松尾スズキ監督作品) - 旅館経営者夫婦役で夫・庵野と共にカメオ出演
  • 日本沈没(2006年、樋口真嗣監督作品) - 学者の娘夫婦役で夫・庵野と共にカメオ出演
  • シン・エヴァンゲリオン劇場版(2021年) - キャラクターデザイン

参考文献

  • 『文藝別冊 KAWADE夢ムック:総特集 安野モヨコ』河出書房新社、2003年、ISBN 430997659X
  • 『文藝別冊 KAWADE夢ムック:総特集 庵野秀明』河出書房新社、2004年、ISBN 4309976794
  • 『季刊Prints21 No.76 2005年秋号:特集 安野モヨコ』プリンツ21、2005年
  • 中野渡純一『漫画家誕生 169人の漫画道』新潮社、2006年、ISBN 4103013516
  • 『季刊Prints21 No.91 2009年秋号:安野モヨコ デビュー20周年記念号』プリンツ21、2009年

外部リンク

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