2024年 第96回 アカデミー賞特集(2024年) 全部門ノミネート・監督賞

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映画.com 第96回アカデミー賞特集

2024年3月10日(現地時間)に開催されるアカデミー賞授賞式。最新情報をお届け!

Nominate - 全部門ノミネート作品 -

監督賞

winnerアイコンジュスティーヌ・トリエ

フランス出身。パリ国立高等美術学校を卒業後、2006年の学生運動を追った「Sur place」(07)や仏大統領選挙の日々を記録した「Solférino」(09) などのドキュメンタリー映画を制作し、フランス映画界の気鋭の女性監督として早々に注目を集める。劇映画とドキュメンタリーの手法をミックスした長編監督デビュー作「ソルフェリーノの戦い」(13)が国際的に高い評価を得て、第2作「ヴィクトリア」(16)、第3作「愛欲のセラピー」(19)と長編作品を発表。

長編4作目「落下の解剖学」(23)は第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女性監督として史上3人目となるパルムドールを受賞、ゴールデングローブ賞最優秀脚本賞にも輝き、第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞の5部門にノミネートされた。

winnerアイコンマーティン・スコセッシ

シチリア系イタリア移民の家に生まれる。ニューヨークのリトル・イタリーで少年時代を過ごし、ニューヨーク大学で映画を専攻する。卒業後は母校の講師を務めながら、様々な映画関係の仕事をこなし、72年低予算映画の帝王ロジャー・コーマンがプロデュースした「明日に処刑を…」で商業映画監督デビュー。翌年「ミーン・ストリート」が評判となり、76年「タクシードライバー」でカンヌ映画祭パルムドールを受賞、主演のロバート・デ・ニーロとともにアメリカ映画の新世代を代表する存在となる。以後、「レイジング・ブル」(80)、「キング・オブ・コメディ」(83)、「グッドフェローズ」(90)、「カジノ」(95)とデ・ニーロとともに傑作を連発した。

近年のアカデミー賞では、「ギャング・オブ・ニューヨーク」(02)や「アビエイター」(04)で監督賞にノミネート。香港映画「インファナル・アフェア」のリメイク「ディパーテッド」(06)で作品賞と監督賞を受賞。自身初の試みとなった3D映画「ヒューゴの不思議な発明」(11)でも、アカデミー賞技術部門で5部門を受賞した。

第63回エミー賞ドラマ部門最優秀監督賞を受賞したHBOのTVシリーズ「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」(10~14)、自身の監督作では歴代最高の世界興収を記録した「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(13)、長年念願だった企画を実現させた遠藤周作原作の「沈黙 サイレンス」(16)などを経て、19年にはデ・ニーロとの黄金コンビを復活させたNetflixオリジナル映画「アイリッシュマン」を発表し、9度目となるアカデミー監督賞にノミネートされた。

winnerアイコンクリストファー・ノーラン

英ロンドン出身。子どもの頃から8ミリで撮影を始め、1989年に短編「tarantella」が公共放送サービスで放映される。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで英文学を専攻する傍ら、16ミリ映画を製作。初長編作品「フォロウィング」(98)がトロントなど各国の映画祭で高い評価を受け、続く「メメント」(00)でインディペンデント・スピリッツ・アワードの監督賞と脚本賞を受賞する。

アメコミヒーローのバットマンを新たに描いた「バットマン ビギンズ」(05)、「ダークナイト」(08)、「ダークナイト ライジング」(12)の3部作は、重厚でリアリスティックな世界観でアメコミ映画の新たな潮流を築き、興行面でも大成功を収めた。そのほか「インセプション」(10)、「インターステラー」(14)、「TENET テネット」(20)などオリジナル脚本の超大作を手がけ、実話の映画化に挑戦した「ダンケルク」(17)でアカデミー監督賞に初ノミネートされた。

伝記映画「オッペンハイマー」(23)で、2度目のノミネートにして同賞を受賞。同作は作品賞ほか7部門でオスカーを射とめた。妻は映画プロデューサーのエマ・トーマス、弟は「ダークナイト」などの脚本を共作した脚本家のジョナサン・ノーラン。

winnerアイコンヨルゴス・ランティモス

ギリシャ・アテネ出身。アテネの映画学校で映像演出を学ぶ。2005年、初の長編監督・脚本作「Kinetta(原題)」を発表。続く不条理コメディ「籠の中の乙女」(09)でカンヌ国際映画祭のある視点部門でグランプリを受賞、アカデミー外国語映画賞にノミネートされ、独特の世界観と映像美で一躍国際的に注目を浴びる。長編監督第3作「Alpis(英題:Alps)」(11)はベネチア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。初の英語作品「ロブスター」(15)はカンヌ国際映画祭審査員賞に輝き、アカデミー脚本賞にノミネートされた。同作に主演したコリン・ファレルと再タッグを組んだ「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(17)でカンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞。英国王室の愛憎劇を描いた「女王陛下のお気に入り」(18)はアカデミー賞9部門にノミネートされた。

winnerアイコンジョナサン・グレイザー

英ロンドン出身。シネフィルの父に影響を受けて映画に親しみ、ノッティンガム・トレント大学で舞台芸術を学ぶ。卒業後は舞台制作や映像制作の仕事に就き、BBCの番組も手がける。1993年、自身の短編映画を3編発表し、ロンドンのCM製作会社に所属。ギネスのCMや、レディオヘッド、ジャミロクワイのMVの監督を手がけるようになり、97年にはMTVのディレクター・オブ・ザ・イヤーを受賞する。

英国ギャングの世界を描いた「セクシー・ビースト」(00)で長編監督デビュー。ニコール・キッドマン主演作「記憶の棘」(04)の後はMVの世界を中心に活動し、スカーレット・ヨハンソン主演の異色SFスリラー映画「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」(13)が9年ぶりの長編監督作となった。

そのさらに10年後に長編第4作目「関心領域」(23)を送り出し、同作でカンヌ国際映画祭のグランプリを受賞。第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞など5部門にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞した。

Photo:Getty Images/ロイター/アフロ