ジョン・カーペンターレトロスペクティブ開催 「ニューヨーク1997」「ゼイリブ」「ザ・フォッグ」4Kレストア版で上映

2021年11月25日 18:00


「ニューヨーク1997」
「ニューヨーク1997」

ハロウィン」(1978)、「遊星からの物体X」(82)などSF・ホラー作品でカルト的な人気を誇るジョン・カーペンター監督の特集「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」が2022年1月7日から開催されることがわかった。81年の劇場公開から40年ぶりにリバイバル上映が実現する「ニューヨーク1997」、「ゼイリブ」(88)、「ザ・フォッグ」(80)を、初の4Kレストア版で上映する。また、荒木飛呂彦押井守らカーペンターのファンを公言する著名人からのコメントが公開された。

40年以上にわたってシリーズが続く伝説的ホラー映画数々の名作を生み出し、多くの映画ファンに愛される名匠カーペンター。80年代に頭角を現した映画監督として、スティーブン・スピルバーグジョージ・ルーカスと並んでハリウッドに名を刻みながらも、独自のB級路線を突き進む映画界の異端児だ。

「ゼイリブ」
「ゼイリブ」

J・J・エイブラムスクエンティン・タランティーノロバート・ロドリゲスエドガー・ライト、日本では黒沢清監督、ゲームデザイナー・小島秀夫らが、自身の作品でカーペンターへのオマージュを捧げており、近年の「イット・フォローズ」(14)、「サマー・オブ・84」(17)、「IT イットTHE END“それ”が見えたら、終わり。」(19)、「レディ・プレイヤー1」(18)、そしてNetflixドラマ「ストレンジャー・シングス」など80年代映画へのノスタルジーが込められたヒット作の数々にもカーペンターオマージュシーンが見つけられる。

ニューヨーク1997」は犯罪率400パーセントを越えたニューヨークを舞台に、元特殊部隊の囚人スネーク・プリスキン(カート・ラッセル)が、体内に埋め込まれた時限爆弾の解除と引き換えに、監獄のギャング達の人質となった大統領を救出するSFアクション。「ゼイリブ」は、主人公に全米人気プロレスラーのロディ・パイパーを起用したSFスリラー。「ザ・フォッグ」は100年前の怨みを晴らすために霧と現れた亡霊が住民を襲うホラー作だ。

なお、2021年12月31日には、ヒューマントラストシネマ渋谷で、3作品を一挙上映する年越しイベントも行われる。「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」は、1月7日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺にて3週間限定公開。

「ザ・フォッグ」
「ザ・フォッグ」

▼コメント全文

荒木飛呂彦 (漫画家)
現在観返しても、昔から考えても、ジョン・カーペンター作品は本当に革進のSF・ホラーエンターテインメントなのだ!と改めて思う。
それはロックだ。その登場人物たちも音楽も現在へ受け継がれている世界観も。

押井守(映画監督)
この三本より「要塞警察」が好きなんです。
セーター姐さんがリボルバーを片手でリロードするシーンが最高です。
ジョン君が演奏してる単調なシンセも脳に焼き付いてます。

奥浩哉 (漫画家)
ジョン・カーペンター監督は僕の漫画人生でも特別な影響を与えてくださりました。
カーペンター監督の作品群のようなオリジナリティがありユニークで刺激に富んだエンタメ作品を漫画を一生描いて行けたら嬉しいです。

柄本佑(俳優)
dear ジョン
早く新作撮りなさい!と、思わず声を張り上げたくなります。傑作「監禁病棟ザウォード」以来毎年のように「ジョンカーペンター 新作」と調べては、なんの情報も得られず。と、そんなある時新作が!!ジョン、新作「録って」たんですね、、、。映画撮らんと何枚アルバム作ってんですか!?聞きましたよ!笑っちゃったよ!どっから聞いてもカーペンター節!最高かよ!!でもねジョン。そろそろスクリーンでも観たいので宜しくです!大大大好きなカーペンターの傑作3本!見逃す手はありませんぜ!ジョンはいつだって我々観客へのサプライズを忘れない、粋な男です。

●マキヒロチ(漫画家)
ジョン・カーペンターをまだ観たことのない若者よ、ぜひゼイ・リブを映画館で観て欲しい。そしてこんな時代だから色んなものを疑って自分で考えていこう!

三宅唱(映画監督)
小さい頃、父から「ピンチの時に笑うのがアメリカ映画だ。ピンチの時は笑え」と教わった。その後ジョン・カーペンターの映画を見たとき、これだ、と思った。しんどい時は、あの不敵な笑みと「ニューヨーク1997」のテーマ曲を思い出すことにしている。

●宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト)
カーペンターを通過してきた監督とそうじゃない監督。映画に対する覚悟が違うので、作品を観れば一目で(一聴で)わかる。この10年、「通過してきた監督」が確実に増えていることを考えても、このレトロスペクティブは時代の要請に応えるものだろう。

樋口泰人(映画評論家、boid主宰)
わたしたちにはジョン・カーペンターがいる。そう思っただけで胸が熱くなる。心が躍る。明日がどうなろうとも今ここを蹴飛ばしてこの不毛な社会を終わりにさせたいと思う。それでいい。そのとき誰もが自由で平等で傷だらけで、そして喜びに溢れているはずだ。カーペンターはいつもそんな勇気を注入してくれる。つまりジョン・カーペンターの映画を観ることは、わたしたちの今を未来に変えることである。難しいことはなにもない。ただ映画館に足を運ぶだけでいいのだ。

●鷲巣義明(映画文筆家)
私にとって、永遠のヒーローはスネークだ。
それは未来になっても変わらないし、あの世に逝っても変わらない。
反体制、反権力に生き、偽善や汚い理不尽さを忌み嫌う彼にとって、隔絶された無法世界は、スネークこそが生き抜くべき世界かもしれない。
マッチョなヒーローが力で悪を押し潰していた時代に、自分の信念をもって生きる彼の虜になった。
彼の最大の武器は、この信念にある。
途轍もなく遠い存在だが、遥か後ろから彼を追いかけたくなる。
スネークは、私にとって人生の教科書なのだ。
スネークの信念を、「ニューヨーク1997」から感じ取れ!

●山崎圭司(映画ライター)
若手時代からカーペンターの映画は「クール」だった。ただし、その意味は「無機質で冷たく」「興行的成功を逃す一因」と評されたこともあったように思う。今、彼の映画は絶対的に「クール=カッコイイ」だ。うつろう言葉の価値を踏み越え、堂々と屹立する傑作たち。無法の暴力地帯に舞うヘリから差す一条のライトビーム、真夜中の海岸線を鋭利に裂く白い霧、そして洗脳異星人の野望を砕く大爆発の閃光。闇と光を眩く操る孤高の語りべ、娯楽の匠カーペンターの手仕事を見よ!

柳下毅一郎(映画評論家)
あのころ、カート・ラッセルの眼帯が、ワイヤーフレームの3DCG(風特撮が)、シンセサイザーのテーマ音楽が、首筋に埋めこまれた爆弾が、絶対にスネークにはなれないハリー・ディーン・スタントンが、くわえタバコが、映画タイトルの前につく「John Carpenter's」の一言が、どれほど胸を騒がせてくれたか、今ではとうてい伝えられない。

●白石知聖(アパレル個人ブランド“マクラウド”代表。マッドマックス・コンベンション主催)
私が初めて劇場で観たカーペンター作品は「ニューヨーク1997」でした。主人公スネークは行きあたりばったりで、ドジで、派手な立ち回りもしませんが、立ち姿、ちょっとした仕草、セリフまわしがとにかく格好良かったのです。N.Y.刑務所の世界観、大半を占めるナイトシーンと音楽が醸し出すムードも抜群で、エンドテーマが耳に残っている中、劇場を出た時のあの多幸感たるや。最終上映だったので、もう夜9時過ぎ。劇場から駅への道のり、人通りの途絶えたアーケード商店街を、スネーク気分になって“心の中で”片足を引きずりながら駅へ向かったのでした。高校1年でした。久々の劇場体験が叶うなら、再びそれをやっちゃうでしょうね。

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