“奴隷”として漁船に放り込まれたカンボジアの少年の心の変容描く「ボヤンシー」8月7日公開

2020年7月28日 12:00


「ボヤンシー 眼差しの向こうに」ビジュアル
「ボヤンシー 眼差しの向こうに」ビジュアル

[映画.com ニュース] 第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に出品された映画「BUOYANCY」(原題)が、「ボヤンシー 眼差しの向こうに」の邦題で8月7日公開される。

ベルリン国際映画祭の観客投票で3位に入り、さらにエキュメニカル審査員賞を受賞。現地でも話題となり、昨年のアカデミー賞ではオーストラリア代表作品として外国語映画賞に選出された本作は、オーストラリア人監督のロッド・ラスジェンの長編デビュー作。監督自身が長年にわたり取材した奴隷労働の現実をフィクションに落とし込み、全編クメール語とタイ語で描かれ、迫真に迫った映像で今なお残る奴隷労働の事実を突きつける。

主人公でカンボジアの貧しい田舎からタイへ働きに出た14歳の少年チャクラを演じたサーム・ヘンは、奴隷として陸から遠く離れた船の上で絶対的な権力を持つ船長のもとで働きながら徐々に人間性を失っていく姿を壮絶に演じている。

カンボジアの田舎の決して裕福ではない家族。14歳のチャクラは、将来を期待されている兄とは違い、労働の担い手としか扱われない自分の境遇に納得がいかない。お金を稼ぎたいチャクラは、友人から“有給の仕事”を斡旋するというブローカーを紹介してもらい、誰にも相談することなく、単身、家を出る。チャクラは同じ境遇の数人たちとともに密かに国境を越え、タイに入国する。しかしそこで待ち受けていたのは、ブローカーによる“身売り”だった。他のカンボジア人やビルマ人とともに“奴隷”として漁船に放り込まれ、劣悪な環境下で労働を強制される。非人間的な環境と拷問の恐怖に怯える14歳の少年の心は摩耗し、人間性は失われ、破壊的な人格が芽生え始める。

ボヤンシー 眼差しの向こうに」は、8月7日からイオン系列劇場で全国公開。

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