ビートルズ、ストーンズ、ツイッギー… マイケル・ケインが語る“スウィンギング・ロンドン”

2019年1月4日 19:00


60年代の英国カルチャーを語ったマイケル・ケイン
60年代の英国カルチャーを語ったマイケル・ケイン

[映画.com ニュース] イギリスの名優マイケル・ケインが、プロデュースとプレゼンターを務め、1960年代のカルチャー“スウィンギング・ロンドン”にフォーカスを当てたドキュメンタリー「マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」が1月5日公開する。デビッド・バッティ監督がケインをはじめ、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フーといった大物ミュージシャン、モデルのツイッギー、ファッションデザイナーのマリー・クワントといった時代を彩るキーパーソンたちに、6年がかりで50以上のインタビューを敢行。ケインが、本作への参加経緯や、当時の文化が今の時代に与えた影響などを語った。

--このドキュメンタリーに深く関わった理由を教えてください。

「一番の動機は、これは実際にわたしが経験したことであり、ここで語られていることをすべて知っていたから。きっかけは、わたしの友人であるプロデューサーのサイモン・フラーと話すうちに、ある日彼が、『60年代についてのドキュメンタリーを作らないか?』と、思いついたことだった。『君が言ったことに沿って作るようなものにしたらどうだろう。デビッド・バッティという優れた監督がいるから』と。だからこの映画自体が、アクシデントによって生まれたようなものなんだ。それこそこの映画が描いている60年代みたいに、仲間が集まって意気投合して、面白そうだ、やろうぜ、というノリで実現したものなんだよ」

--60年代といえば、あなたは「アルフィー」や「ミニミニ大作戦」など、すでにスターの階段を駆け上がっていらっしゃいました。当時のことで、最も印象的なことはなんですか。

「わたしはとてもラッキーだったんだ。パーフェクトなタイミングに恵まれたという点でね。というのも、それ以前は労働者階級のアクセントをもった俳優の役などなかった。でも戯曲家のジョン・オズボーンが『Look Back in Anger』(1956)という戯曲で初めて、労働者階級のキャラクターを主人公にした。そして今度はビル・ノートンが、やはり労働者階級のヒーロー、アルフィーを書き、わたしが映画でその役を演じることになった。そしてアカデミー賞にまでノミネートされた(作品賞、主演男優賞を含む5部門ノミネート)。まったく想像もしていなかったことだよ。イギリスのコックニー訛りを持った労働者階級の俳優が、突然アカデミー賞にノミネートされるなんて。だが僕らは物事を変えた。僕らが望んだからとも、変えざるをえなかったからとも言える。それ以前は何もできなかったし、どこにも行くところがなかったからね。イギリスのレストランは正装で行かなければいけなかったから、わたしたちはお呼びじゃなかったんだ。フィッシュアンドチップスを食べて、パブで飲むしかなかったんだ」

--ポール・マッカートニーマリアンヌ・フェイスフルジョーン・コリンズ、ツィギーら、さまざまなスターにインタビューをしています。しかし、声だけの出演にした理由を教えてください。

「もちろん、今はもうみんなだいぶ年齢を経ている。わたしとデビッドは、観客を60年代の世界にとどめたかった。もし彼らに画面に出てもらったとしたら観客は、だいぶ老けたなとか、こんなに変わったなどと思って、気をそがれるだろう(笑)。わたしたちは60年代の世界を保つために、画面には当時の映像を映そうと思った。でも、実はこれをTVシリーズ化しようという考えもあるんだ。だから残りはTVシリーズを観てもらいたい(笑)」

--インタビューで最も印象的だったのは誰ですか。

「全員と知り合いだが、それほど親しいわけではなかった人もいる。一番印象的だったのは、ポール(・マッカートニー)だね。彼とは以前、そんなに話したことはなくて、彼のバックグラウンドについてもそれほどよく知っていたわけではなかった。とてもざっくばらんに語ってくれたよ。わたしはこれまで人にインタビューしたことがなかったから、どうやって進めればいいかと考えたが、自分が面白いと思うことは観客にも面白いはずだと思った。それでインタビューというよりは会話のような感じになっている」

--今日の社会に60年代カルチャーはどんな影響を与えたと思いますか。

「すべてのベースになっていると思うし、人々はいまだに当時のカルチャーに惹かれていると思う。ビートルズ、ローリング・ストーンズ、スウィンギング・ロンドン、みんなあの時代に生まれたものだ。ワーキングクラスを描いた本や映画なども。わたしたちが、いまの世界のベースを作ったとも言える。今日のコミュニケーション手段である、コンピューターや携帯はなかったけれど、そのかわりに対話があった。さまざまな人々がいろいろなところから集まってきて、そこからアイディアが生まれ、多くのことが起こった。とくにあの時代の大きな遺産の1つは、ポピュラーカルチャーを生み出したことだ。それ以前はカルチャーというものは、上流階級のものだった。でも60年代を境に、それはみんなのものになったんだ」

マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」は、1月5日から東京・渋谷のBunkamura ル・シネマほか全国順次公開。

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