入江悠監督&柄本佑「見るとざわつく映画」 伝説的傑作「動くな、死ね、甦れ!」を語る

2017年10月17日 14:00


入江悠監督と柄本佑
入江悠監督と柄本佑

[映画.com ニュース] ビターリー・カネフスキーの伝説的傑作「動くな、死ね、甦れ!」のHDリマスター版公開を記念し10月16日、渋谷ユーロスペースで入江悠監督と俳優の柄本佑によるトークイベントが行われた。

カネフスキー監督54歳での実質デビュー作で、少年時代を過ごした旧ソ連の炭鉱町・スーチャンを舞台に、ストリートチルドレンのパーベル・ナザーロフを主演に抜擢し、鋭敏な自身の少年時代の記憶をもとに、不良ぶる12歳の少年ワレルカと幼なじみの少女ガリーヤとの淡い恋を鮮烈な映像で描きだす。1990年、第43回カンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞し、世界を驚嘆させた。

入江監督、柄本ともにシネフィルとして知られるふたり。柄本は今回3度目の観賞だったそうで、「見た後ざわつく映画。すぐに言葉にするのは難しく、本当は背中を丸めて帰ったほうがよいのかもしれないけれど……」と作品の力に圧倒された様子で「『大人は判ってくれない』を思い出すけれど、風土のせいなのか、硬く感じた」と感想を述べる。

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入江監督も「トリュフォーの方が開放感がある。こっちは日本の兵隊がインサートで入ってきたり、ラストの線路のシーンでも、(主人公と少女の)二人にさわやかな光線があたっているのに閉塞感がすごい」とその意見に同意し、「見終わった後の衝撃がすごい作品。群馬のミニシアターで真夏に見ましたが、どう帰ったのか覚えていないほど」と初観賞時のエピソードを披露。そして、「荒削りな力のある作品では、(ジョン・)カサベテスなどがあるけれど、これは誰とも似ていない。あの芝居はどうやっているのか聞きたい。こんなに主人公たちの変化がみられる映画はない」とコメントした。

その後、本作のように少年少女を主人公とした“子供映画”に話題は移り、柄本は心に残った作品として「大人は判ってくれない」「エル・スール」「NAGISA なぎさ」「ションベン・ライダー」などを挙げる。柄本家ではDVDでの作品鑑賞は映画観賞としてみなされないという、“掟”を入江監督に暴露され、その映画英才教育法に観客は驚いていた。

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