古川雄輝&間宮祥太朗、同世代の熱たぎる「ライチ☆光クラブ」で見せた存在感

2016年2月14日 12:00


“光クラブ”のメンバーとなった古川雄輝、間宮祥太朗
“光クラブ”のメンバーとなった古川雄輝、間宮祥太朗

[映画.com ニュース] 力と美を手に入れようとした少年がたどる宿命――古屋兎丸氏が残酷かつ耽美的に紡いだ漫画「ライチ☆光クラブ」の発表から10年、内藤瑛亮監督、野村周平主演で実写映画化が実現した。古川雄輝間宮祥太朗が強烈な存在感を見せた、悲しくも美しいグランギニョルが幕を開ける。

1985年に演劇として発表された「ライチ光クラブ」。その後、古屋氏によって「ライチ☆光クラブ」として漫画化された。今もファンを増やし続けている光クラブの求心力――メンバーとなった古川と間宮は「非常に独特の世界観で、一人一人のキャラクターが立っているからこそ、人気があるのかな」(古川)、「エッジが利いている作品という印象はもちろん、ゼラやジャイボや魅力的なキャラクター性など目を引く部分はたくさんあると思いますが、宗教犯罪やいじめの延長の殺人事件などに深く突っ込んだテーマを感じて。根底にある鋭い社会風刺のような、センセーショナルな作品の持つパワーがすごく魅力的」(間宮)と惹かれていった。

絶対的な存在として組織に君臨するゼラと、ゼラに異様な執着を見せる美少年ジャイボ。ふたりはキスシーンなど濃厚な演技で少年たちの歪んだ関係に挑んでいるが、「距離感がすごく良かったと思っています。役に対する話し合いもなく、ふたりのシーンではお互いに何を考えているのか分からないドキドキがありました」(間宮)。古川も「目指しているポイントは一緒だと思うので、特に話し合わなくても本番では成り立つのかなという気がしていました。ゼラとジャイボだけではなく、お互い役のことを話し合わなくても、そこでキュッと集まれば光クラブができているという状態だったのかな」と話す。

古川は「間宮くんがジャイボで良かった」と信頼をのぞかせ、「ジャイボはゼラが性の処理を頼んでいる相手なので、ジャイボに求める最大の要素は色気だったんですが、間宮くんは男性から見ても色気が出ているのですごく良いなと思っていました。見た目だけではなく話し方も大人っぽくて周りを見ている。ふだんの服装もオシャレだし、そういうものも含めて色気のある人だなと。それはジャイボをやる上で重要だなと思っていました」。

「とにかく古川君演じるゼラを愛することだけを考えた」という間宮は、「想像をはるかに超えて、絶対的なゼラがギュッと入ってきたので、最初のシーンが印象的だった」とゼラとの出会いを語る。「古川くんはすごく鮮烈でしたね。古川くんはゼラのイメージがあまりなかったんですが、現場に入ってすぐの撮影で、ゼラが王座の前でみんなを見下ろして話し始めた瞬間に『来た!』と一気に引き込まれたんです。古川くんの声の響きや存在感を目の当たりにした時に、僕の中で絶対的なゼラができました」。

画像2

間宮に「気持ち良さそうだった」と言われるまでに、悪役を演じきった古川。念願かなっての「狂気的な悪役」を手に入れ、「やりたかった役にめぐり合えて、役者として引き出しが増えました。30歳を前にして、いろいろな役に挑戦することがすごく大切だなと思っています」と手ごたえ。「引き続き悪役をやっていたい(笑)」とにやりとし、「(悪役の魅力は)出し切れる感じですかね。普通の少年を演じる難しさとはまた違う難しさがあるし、自分にあまり回ってこない役ほどやりたくなるもの(笑)。シリアルキラーをやりたいですね」と新境地開拓を誓う。さらに「同世代の方々と一緒にお芝居できたこと」にも充実感をにじませ、「若手が集まれたことは良かったと思います。テクニカルな部分より、『どういうスタンスでお芝居しているんだろう』『どういう思いでこの仕事をしているんだろう』という人間性に注目します」と話した。

時間を共有しながらも、ゼラへの思いが交わることのないジャイボ。間宮は、「撮影している時は自分の中にジャイボの抱えているものや苦しさを持っていたので、今自分から離れていくジャイボに愛おしい感情があふれています。ジャイボはジャイボとして真っ当に生きて、自分の気持ちにウソをつかずどんな手段を使ってでもゼラを愛そうとした純粋さがすごく愛おしい」と目を細める。「女性がジャイボに感情移入して泣いてくれればいいな」と思いを込めながらも、「人によって見方も感想も全然違うと思いますし、見てくれた人が感じたこともひっくるめて作品になると思っています。ジャイボを演じたことで、僕に対する印象がどう変わるのかも楽しみのひとつ。同世代のエネルギーや熱を帯びているので、作品の奥に隠れたこの世代の役者たちが向き合ったということが伝われば嬉しいです」。

そして「『学校のカイダン』のような絶対的な支配者だったり、飛び道具的な役だったり(笑)、嬉しいことに本当にいろいろな役がきますね。常に驚きを感じていられれば、色も濃いものから薄味のものまでどんな役でもやりたいです。自分の幅を狭めたくないですし、応援してくれるファンの方や監督、スタッフのみなさんにどんなイメージでも持ってもらえたら一番嬉しく思います」と力を込めた。20代のエネルギーに満ちた「ライチ☆光クラブ」でぶつかり合った古川と間宮から目が離せない。

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