雪国青森から灼熱のインドへ 日本人初のボリウッドダンサー関本恵子氏に聞く
2014年7月25日 13:20

[映画.com ニュース]ボリウッド屈指の人気俳優サルマーン・カーン主演のアクション映画「ダバング 大胆不敵」が7月26日公開する。同作の続編「DABANGG2(原題)」と、8月公開の「バルフィ!人生に唄えば」に出演している、日本人初のボリウッドダンサー関本恵子氏が、プロダンサーになるまでの道のり、そしてインド映画の魅力を語った。
色鮮やかな衣装に映える小麦色の肌に白い歯、長い黒髪というエキゾチックな美ぼうは、まさにボリウッドダンサーといういでたちだが、出身は青森県弘前市。灼熱のインドという対照的な土地に渡ったわけだが、「祭り好きなんです。ねぶたとかみんなでワーッと騒ぐんですから」と雪国の故郷との意外な共通点を挙げる。
10代後半で訪れた短期留学先のバンクーバーで初めてインド映画に出合った。アーミル・カーン(「きっと、うまくいく」)主演の「Fanaa(原題)」のダンスシーンに魅了され、ボリウッドダンサーになりたいと強い思いを抱く。「インドの中国に近い地域には、私のような顔の人もいるんです。たくさんいるダンサーの中に、(日本人の)私がいてもわからないだろうって思ったんです(笑)」
それまでダンス経験は一切なかったが、家族の心配を振り切り22歳で渡印。3カ月間インド各地をめぐり、その後1年間ラジャスタンのダンス学校に通う。ダンス学校修了後、日本へ帰国する飛行機が遅延し、そこで偶然知り合ったというインド人歌手にムンバイの演技学校を紹介され、本格的なボリウッド留学をスタート。東京国際映画祭でも上映された2012年の「火の道」で念願の映画ダンサーデビューを叶えた。
人に恵まれ、とんとん拍子でチャンスをつかんだが、もちろん苦労もあった。「学校では外国人が自分を含め3人だけだったので、ヒンディー語で苦労して泣いたこともありました。旅行と定住することはまったく違いますし、ムンバイという都会で暮らす大変さもあります。言葉、文化、宗教、食べ物と何から何まで違う世界なので、自分の中に受け入れることが大事。やっぱり郷に入れば郷に従えですね」と振り返る。
(c)Eros International Ltd.インド映画の一番の魅力はやはりカラフルな色使い、音楽とダンスだと断言する。「『ダバング 大胆不敵』は正統派のザ・インド映画です。家族愛や兄弟愛、恋愛、日常の中にいる神様の存在などインドらしいドラマが2時間の中にぎゅっとつまっています」と見どころを紹介。三枚目の警官を演じるサルマーン・カーンのコミカルなキャラクター、肉体美にも注目だという。「男女の掛け合いなど、それぞれのシーンの踊りには意味があるので、ぜひ周りのダンサー全体も見てみてください」とダンスシーンの楽しみ方も解説してくれた。
現在は日本とインドを行き来して過ごす生活を送る。「時々ベリーダンスと間違えられますし(笑)、日本にとってまだまだインドは身近な国ではないと思うんです。これがボリウッドだ! ということをもっともっと日本の皆さんに知ってほしいんです」と両国の架け橋としての使命感を持っている。「大好きなボリウッドにはこれからもずっと携わっていきたいですし、私のような日本人が出演していることで興味を持っていただけたらうれしいです」と笑顔で語った。
家族のコネが強力だというインドの芸能界事情や、スター俳優たちが気さくに接してくれる一方で、時間制約がゆるく、撮影のドタキャンはざらだというボリウッド映画の裏話も熱く語ってくれた関本氏。歌と踊りで盛り上げるトラディショナルな作品以外に、「マダム・イン・ニューヨーク」「バルフィ!人生に唄えば」などドラマ性の高い作品も世界的な注目を集めており、多民族、多言語国家インドならではの豊かな作品群から目が離せない。「ダバング 大胆不敵」は7月26日からシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国で公開。
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