劇場公開日 2023年10月20日

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「ガザの連日の地獄のような有り様と、本作を関連づけて観るようにという神の恐ろしい御業なのかもしれません」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ガザの連日の地獄のような有り様と、本作を関連づけて観るようにという神の恐ろしい御業なのかもしれません

2024年2月12日
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鑑賞方法:映画館

キラーズオブフラワームーン

本作の中盤、唐突に「フリーメイソン」という言葉が登場します
フリーメイソンの支部の中で「第何階梯の会員として貴様に制裁を与える」とかの台詞があります
それがデカプリオが尻を大きな板で叩かれるシーンです

仰け反るほど驚きました
呆気にとられました
タブーを破っている!

あなたはどれだけフリーメイソンの事をご存知でしょうか?

米国、いや世界中の映画を遥かな過去から現在に至るまでフリーメイソンというワードがでるものはまず有りません
タブーの中のタブーだったのです
誰もその理由は言いませんし、そんなタブーなど無いように振る舞っているようで、その地雷を踏んだ映画監督もプロデューサーは誰一人もいません

フリーメイソンとは何でしょう
メイソンとは石工のことです
欧州では石工職人は中世以前から城などを作る為の専門職で、国境を越えて自由に移動していくので彼らの組合がフリーメイソンと呼ばれたのが始まりだそうです
そうした成り立ちからユダヤ人の組織でした
近代になってイスラエル建国のシオニズム運動と結びつけられて陰謀論の的になってしまいました

いわくその民族が世界を牛耳るための秘密組織だとかとか
もちろん、そんな戯言をいうと人から距離を置かれることになるでしょう

実際はロータリークラブとかライオンズクラブのような、地方の名士が会員になるような組織と変わらないのかも知れません
しかし、その実態は誰も良く分からないし、誰もそれを語ろうとはしません
つまり暗黙のタブーなのです
だから本作の評論に於いても、誰もこのことに触れません
ただ「凄い名作だ!スコセッシの最高傑作だ!」としか語りません
特に海外ではフリーメイソンの事には一切触れらません

そして日本では、フリーメイソン自体が日本人には良く知られていないからという事のも加わり、まるでそんなシーンなどなかったかのようになっています
フリーメイソンを扱うこと自体がタブーであることすら分かってないのです

東京タワーのそばに麻布台ヒルズという日本一高いビルが新しく出来たそうです
麻布台という地名でヒルズというからさも高台に建ったかのように思いますが、実はあそこは窪地です
東京タワーから飯倉の交差点にでて、神谷町の地下鉄の駅に向かうその途中の左側の昼でも暗い谷間の下だつたののです

それはさておき、その飯倉の交差点の手前にメソネッド38MTビルというビルが建っています
何の変哲もないオフィスビルのように見えます
前庭に黒い石に何かの紋章が表示されています
コンパスとL形定規が組み合わさって真ん中にGと書いてある図案です
その下には英語で「東京メソニックセンター」と書かれてあります
それを見てピン!とくる人はそう無いと思います
メソニックとは、日本語で石工職人のことです
つまりフリーメイソンの東京支部という意味なのです
その紋章はフリーメイソンの紋章そのものなのです
Gとはギルドのことです

フリーメイソンはこのように実在する存在です
日本にもしっかりと根を下ろしています

そして連日のイスラエルとガザでの血なまぐさい紛争
それは2023年10月7日にハマスが突然音楽祭を銃撃して数百人を殺害し、人質を百人近くも連れさったことから始まりました
そもそもなぜハマスがそんなテロ行為をするのか?
それはイスラエルがパレスチナは2千年前はユダヤ人の土地だったという理由でイスラエルを建国して、そこに2千年の間住んでいたパレスチナ人を追い出したからです

本作の公開は2023年10月20日世界同時公開でした

何か地下の水脈でつながっているかのように恐ろしい符合です
神の見えざる手が人間を動かしているのかも知れないと思うと慄然します

本作の救いの無い物語の内容に、フリーメイソンへの唐突な言及を入れることの意味を考えるべきです

スコセッシの明らかな強い意志で入れたシーンだと思います
あのシーンは3時間半の上映時間を少しでも短縮しようとするなら普通真っ先にカットするべきシーンのはずです
物語の展開になにも関係無いのですから

そしてハエがデカプリオ演じる主人公の周囲を飛び交う演出の意味

米国そのものが、この物語の主人公だと3時半かけてスコセッシは述べているのだと思います

単に米国の先住民の100年昔の話では無く、現在進行形のことなのだというメッセージだったのだと思います

本作の公開直前のガザ紛争の勃発
それは神がスコセッシをして、その意味を教えるために本作を撮らしめたのかも知れません
そしてそのシーンを入れることで、より分かりやすいようにヒントとして入れさせたのです
つまりオセージ族の連続殺人事件とガザの紛争、それは同じことなのだという神からのメッセージだったように思うのです

ガザの連日の地獄のような有り様と、本作を関連づけて観るようにという神の恐ろしい御業なのかもしれません

あき240