枯れ葉のレビュー・感想・評価
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二人の内面に触れることができる素敵な作品
叙情的な雰囲気が印象的で、言葉と体の裏にある心情がスクリーンを通して伝わります。
あと映画にでてくる言葉も特徴的でしたね。
短くありきたりな言葉だけど、クスッとしたり、切なくなったりしました。
それが表情や雰囲気と合わさり、唯一無二の世界観が作り上げられています。
苦しく複雑な世界。切なくなることもあるが、優しく暖かいものが確かにある。そんな素敵な映画です。
ロシアがウクライナに侵攻してます!
まさにカウリスマキ。中年の肉体労働者とスーパーの店員(途中から工員に転職)の恋。ラジオから聞こえてくるニュースはロシアのウクライナ進攻(執拗に繰り返し繰り返し流される。もしかしてフィンランド人カウリスマキはこれをやりたくてこの映像を撮った?)。流れてくる音楽や映像のなかで映される映画(ポスター)が今じゃない、1960年代?アンサが自宅で過ごす様子を映す画像はまるでエドワード・ホッパーの絵画のよう(無機質で古臭くて-50年代?-僕にはとても心地よいわけです)。ストーリーは極めてシンプルで(アル中男なんてあり得ないという人には拒絶だろうけど)底辺で足掻く男と女のハッピーエンドな恋愛。ぐっときました。これまで観たカウリスマキの映画のなかで一番好きかも。
寒そうな空気感でした
久しぶりのアキ・カウリスマキ監督映画。「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」以来、大ファンになっていました。81分という短さもいいですよね。
登場人物がみんな無表情なのが可笑しいし、カラオケバーのMCが老婦人だったり、美声自慢の友達がめっちゃ歌下手だったり、ずっと可笑しかったです。
でも、アルコールガバガバとタバコプカプカ、これって20年くらい前?と思ったら、ウクライナ戦争を伝えるラジオに「えっ⁉︎令和?」となりました。工事現場でタバコ吸ったりアルコール入れて重機操作は絶対ダメでしょうと、安全管理の仕事をしていたから、ここは笑えなかったな。
それに、食事に呼ばれて「お酒はこれだけ?」「ベッドが狭い」くらいしか発語せず、アルコール依存を指摘されると黙って出て行くなんてなぁ。少ないセリフでも、もっと可愛いげのあることを言ってくれないと応援する気にはなれなかったです。女友達の意見には大いに同意しました。
でも、映画館(名画座?)のポスター、デートで観た映画、電話番号を書いたメモを失くすエピソード、ロッカー室の綺麗な色のコート、レトロ感満載のラジオ、ラジオから流れる音楽、めっちゃ可愛いワンコ、路面電車など、寒そうな空気感含めて好きでした。
ラストシーンは、チャップリンの遺作(?)と同じだったような(遠い曖昧な記憶で確かすみません)。
ほんのり良い
初カウリスマキでフィンランド映画はほぼ初見。
ヘルシンキの労働階級ってこんなに貧しいのかとひたすら驚き。建物やら機械やらカラオケバーやらやたら古びている。
情報ソースがラジオで、アンサはパソコンもスマホも持ってないとは。ウクライナ紛争のニュースがなければ完全に昭和の時代?と思ってしまう。
ホラッパもその日暮らしでお金ないのにタバコと酒の消費はすごい。吸い殻バカスカ捨てる姿も気になってしまう細かい日本人…
アンサとホラッパはお互い気になるけど、名前も知らず、スマホもお互い使わないので無駄にすれ違い激しく、「君の名は」(佐田啓二岸恵子)か!と叫んでしまいそうな昭和感。
登場人物はみんな無表情だが、ときおりボソッと吐く冗談に一寸笑う。ホラッパの友人のセリフがいちいち可笑しかった。
アンサが野良犬を引き取って暮らし始めてから、彼女の優しさが垣間見えて、ストーリーに血が通ってきたような印象。
(ところで使ったお皿をキッチンの下の袋扉みたいな所に突っ込んでたがあれはどうなるの?)
ホラッパは踏んだり蹴ったりの人生だがエンディングには少しだけ明るい未来が見えてきて、応援したくなった。
無表情+寡黙な登場人物と、ある種淡白なストーリーの合間を縫って奏でられる音楽は多種多様且つ雄弁で、豊かな彩りを添えている。竹田の子守唄が、流れてきたのには驚いた。
全体としてすごく心を動かされるわけでもないが、観て良かったとほんのり思わせる作品だった。
「名前は?」「チャップリン」「ワンッ!」
シンプル、とゆうより殺風景な風景、相変わらず無愛想な人々、壁際の会話‥。赤や青の差し色でおしゃれなインテリアや洋風。クスッと、あるいはニヤッと笑ってしまうシーンに楽しませてもらいました。アキカウリスマキ監督、また、次回作も作ってくださいね!
音楽もよかったですねー🎵女の子のバンドの音楽(マウステテュトットとゆう姉妹デュオだとか)、チープで、可愛くて、好きです。
つつましく、たくましく
基本的なストーリーは古典的。
しかし、人物に魅入ってしまい、途中でもどかしくなってしまうこの感覚、見せてくれる映画です。
老いが見え始める年と、ラジオから流れるウクライナ情勢。自分も50を過ぎ、共感maxです。
つつましく、それでもたくましく生きて行くことに勇気をくれる映画でした。
パーフェクトデイズと並び、つつましく生きる勇気を与えてくれる映画です。
小さな幸福の時間が過ごせたと感じられる
全てが少しずつ疲弊した世界を舞台に、始まりそうで、なかなか始まらない大人のラブストーリー。
どこかほんの少しずつユーモラス。
いいかげんお酒はやめなさいと思い、終始、どうか上手くいってと祈りながら見守る。
ちょっとだけ見せてくれるヒロイン(という言葉にいささか照れる)の笑顔に癒される。
観終わると、なぜか小さな幸福の時間が過ごせたと感じられる。
ラジオに流れるウクライナ戦争の惨状は、映画に残されたささやかな抵抗の記録だった。
枯れ葉よ
アキ・カウリスマキの新作。例によって中年の冴えない男と女の物語だが、今回は、どちらも美形。仕事を無くし、恋も無くす。しかし又ふたりが寄り添うように戻って行く所がグーと来た。これはある意味「歌謡映画」。
ようやく出会えたささやかな幸せ
ロシアとウクライナの戦争が続く時代。
労働者の生活はより厳しくなっていた。
終始、笑顔を見せなかった主人公が
ささやかな幸せを見つける。
戦争のニュースで疲弊し、この世を信じられなくなった時に、
現れた一筋の光に見えただろう。
彼は愛のために、自分を犠牲にした。
世界も何か変わるのではないかと思わせられるラストだった。
人々には生きていかないといけない現実がある。
その中で何を大切にするか、思い知った映画だった。
希望を見失っても絶望はしない。なぜならそのに光は差すから。ラジオか...
希望を見失っても絶望はしない。なぜならそのに光は差すから。ラジオから流れるウクライナ情勢、カウリスマキは映画をつくらずにはいられなかったのかも。
音楽愛、映画愛にもあふれた素晴らしい作品。ジャームッシュゾンビ笑。
いつものやつ
よくこんなつまらない内容のないような貧乏くさいもの延々と作っているよな〜と
だけど画面に惹かれるセンスが鏤められていて、いやセンスの塊とわかるんだけどね
これがくせになっちゃって面白がってハマってる人はあたしだけじゃないんだなと満員の観客席で薄笑い
あ、初めてアキ・カウリスマキ観たのもここジャックアンドベティだった…「ルアーブルの靴みがき」
アキカウリスマキにしたら朝飯前みたいなシンプルな中年のロマンスなんだけどね
ではどうして彼が引退を撤回してまでこのシンプルなひと作品をサクッと作ったのかをはたと考えた
それはロシアがウクライナに対してあってはならない戦いを仕掛けたことを記しておかなければという使命だったのではないかな…
今回の1番のツボはデートの映画が「デッド・ドント・ダイ」だったことwww
あと「妹です・・・・宗教上の」のセリフwwwそして彼女が着ていた水色のコート
お正月に『パーフェクト・デイズ』とこの作品を続けて観たんだけど
どちらも大好きな監督であり
日本人の心情をよくご存じの本当に素敵なふた作品でした♡
自分には合わなかった感じの作品。 本年度ベスト級。
評価も高いし集客も多目。
本作の監督の作品ははじめて観たけど全く自分に合わず。
というか素直過ぎるストーリーに満足度は低め。
生意気なレビューで申し訳ありませんm(._.)m
良作を彷彿とさせる美しい映像は素晴らしかった。
捻りの無いストーリーに感動も共感も無し。
コメディ映画の認識で鑑賞するも、そんな雰囲気も無かった。
お酒を飲みながら仕事をする男。
理不尽な理由でスーパーを外国され仕事を転々とする女。
こんな2人のラブストーリー。
なんの捻りも無いストーリーはストレスフリーなんだけど、何だか物足りない(笑)
だけど映像は一級品って感じ。
映像や音で何が起こるのかが解りやすい親切設計。
かなり古くさい映像なんだけど、ラジオから流れるウクライナ情勢のニュースが不思議な感じ。
本作の監督の事を詳しく調べたくなった。
ラストシーン。
歩く速度がちょっと早くね?
と思ってしまいました( ´∀`)
人生のハーフタイムぐらいの男女、 いちど出会って惹かれるものの、な...
人生のハーフタイムぐらいの男女、
いちど出会って惹かれるものの、なかなか巡り合えずにやきもきする、可愛らしい物語。
新作のはずですが、古き良き薫りといいましょうか
まるで昭和のようなラジオ、連絡先をメモ紙で渡したもののすぐに紛失、とか、
往年の傑作のような匂い、いい味だしていました。
上着を貸してくれ。大事な会合があるんだ。
フィンランド、ヘルシンキ。ラジオから流れる多くのウクライナのニュースのおかげで、現代の話だということはわかる。だけどどこか懐かしい。そんな古めかしい町で、無口で常に生活に不満を抱えている様子の二人が出会う。シリアスそうな空気の中にあるズレた間や会話は、なんだかシュール。北欧のセンスなんだろうな、こういうの。時代に取り残されたこの停滞感、日本で言えば北海道のかつて栄えた地方都市のようだ。旅をするにはノスタルジックで萌えるけど、ここで暮らすのはしんどい。恋の仕方だって、レスポンスのいい現代では耐えられないもどかしさ。そのもどかしさこそ、恋の妙味という向きもあろうが、僕にはなんだか物足りない。
アル中男とレジ打ち女性のラブストーリー
2024年初映画館をこれに…失敗😵💧
仕事中でもアルコールを飲むことで、定職に就けないアル中オヤジと、レジ打ちで賞味期限切れの商品を持ち帰ったことでクビになり収入が途絶えた中年女性の話(場所は北欧 フィンランド?)
二人はとあるバー🍸✨🍸で知り合い、電話番号を女性→男性で紙で渡すが男性はそれを失くしてしまう…
男性はバーや、映画館(ゾンビモンを二人で観ていた)で彼女を待ち続けるが…
男性はそのストレスもあってか益々アルコールにのめり込む…
彼女の為にアルコールを断ち、彼女にそれを電話で伝えた後に電車🚃に跳ねられ、男性は意識不明に…
時間も短く、シチュエーションもあまりにも安っぽく、満足感は得られなかった
労働者でも恋愛したっていいじゃない!
ヘルシンキの片隅でひっそり労働の日々を過ごす男女。少し昔の日本なら、絶望自動車工場やヨイトマケの唄の世界。昔ユーミンが「商業学校に通っているような人には聴いてほしくないない」と言ったとか言ってないとか、、、とにかくそんな一見絶望的な世界の片隅に歌と恋愛という素晴らしい花を添えるのがカウリスマキの極上の技。この世は絶望的だけど絶望する必要はない、なぜなら人生はドラマのように素晴らしいという優しいメッセージにあふれています。
個人的には主人公と友人のやり取り「なぜ酒を飲む?憂鬱だから。なぜ憂鬱なの?酒を飲むから」は身につまされます。あと挿入歌のスパイス・ガールズの曲がこの映画にピッタリはまっていて素敵です。
何度でも観る価値がある映画だと思います。
温もりを求める二人の姿
必要最小限の言葉のやり取りで紡がれる中年低所得者同士のパートナー探しの展開は、どことなく大戦前ヨーロッパ不況時代を描いた、欧州の諸作品を思い出す。
あと、白黒時代の日本映画っぽくもあり。
新しいけど懐かしい作品に仕上がっていました。
フィンランドだと、ロシアのウクライナ侵攻のニュースは我が事のような関心で、庶民にもラジオで状況を伝えられるのだな、と。
そこから時代の怖さ・寂しさを感じさせられ、だからこそ酒に逃げたり、誰かの温もりを追ったりするんだなとも思わされました。
現実のアル中はどんなに更生したふりをしても、すぐにアルコールに手を出すから、物語のキャラであっても嫌悪感を最初に覚えるのだけれど。
この作品はそういうリアリティよりも、精神性に軸足があったように感じたので、案外嫌じゃなかった。
傑作とまではいわないが、かなりの佳作でした。
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