劇場公開日 2023年8月4日

  • 予告編を見る

「はこぶねは何処へ向かうのか。」はこぶね 与さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0はこぶねは何処へ向かうのか。

2023年8月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

『はこぶね』とは何なのだろうか。
観終わったばかりの自分には理解しようがなかった。ただこの映画は心にずっと残り、何気なく過ごす日常の中で、ふと情景を思い出すのだと思う。
時間を掛けて『はこぶね』が何なのかいつか解る時がくるのだと思う。もしくはこの映画そのものが、映画監督としてデビューした大西諒監督を未来に運ぶ『はこぶね』かもしれません。
後天的に目が見えなくなることほど、絶望することはありません。今までやれたことが出来なくなる絶望を胸に納め表に出さない役を、木村知貴さんが大変繊細に演じていました。
また痴呆症の祖父の言動や叔母の心無い言葉に揺れる心情を、不協和音のような音楽がよく表現していました。
それでも人に迷惑をかけず前向きに生きる彼の生き方を観て、自分の生き様が弱く恥ずかしくなる。自分の抱えている絶望などはちっぽけで、明日からまた普段通り頑張って生きようと思う映画でした。
東京ではテアトル新宿のみで上映されています。なかなか観ようと思っても見れない映画です。未来の巨匠になるかもしれない監督の初長編映画をスクリーンで観ることは、一期一会だと思います。是非ご鑑賞ください。

与