夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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優しくなりたい
受け止めれる人になりたい。
ストレスが蔓延してる昨今で擦り潰されていく人達。様々な理由から"普通"が出来なくなる。
生き辛いのだと思われる。
彼の台詞が印象的だった。
「自分の体はどうにもならないけれど、あなたの体の事はどうにか出来るような気がする」
ほんの少しの思いやり。
その人の全てを背負う事は出来なくても、近くで見守る事は出来る。
人と人との関わり合い方の定義みたいだ。
ずっと同じな訳はない。急激な変化はなくとも、ゆっくりゆっくり変わっていける。
自分の手が伸ばせる範囲が穏やかになっていくのであれば、それを平和と呼ぶ日も来るかもしれない。
愛を説くこともなく、代償を求められるわけでもない。ほんの少しだけ、寄り添ってあげるだけでいい。それが増えていけばいい。
抗えない人は一定数いる。
向き合うにあたり何も背負わなくていい。
ただ、ほんの少し歩み寄る。それだけでいい。
そんな事を、気づかせてくれた作品。
本作が優れている点は、好意は描くけども恋愛を描かない点だと思われる。
処方箋が恋愛に由来される事はないのだ。
それにより人物を特定する事なく、広い範囲に発信できる。誰にでも出来る事なんだと教えてくれる。
日常を重視した新たなリアリズム
こんな映画を私は待っていた。
先日、職場の同僚(群発頭痛持ち)からこの作品を勧められ、私(腸過敏性症候群持ち)は久しぶりに映画館へ出かけてこれを観た。鑑賞後、とても心地良い感動を得ることができた。さらに、いろんなことを考えるきっかけにもなった。その同僚に感謝したい。
私はこの映画を観ている途中から《小津安二郎》《定点観測》そして《ネオ・レアリズモ》というキーワードが頭の中に次々と浮かんできた。
まず、三宅監督と撮影の月永氏による《やや低めで近めの画角》と《ごく自然な感じの構図》のカメラワークに注目した。その技法は、観る者がまるで登場人物とその場に一緒にいるかのような感覚にさせてくれて、人の心の機微を映し出すためにとても効果的だった。さらに、16mmフィルムによって温かみのある映像に仕上げたこともその効果をより一層高めた。小津安二郎に勝るとも劣らない絶妙なカメラワークであると思うのは、私だけだろうか。
また、栗田科学という会社を一つの定点にして、登場人物たちの交流が《定点観測》によって柔らかな雰囲気の中で見事に描かれていた。その描き方は、NHK 『ドキュメント72時間』を彷彿させる。特別な人々ではなく、ごく普通の市井の人々の心の中にこそ、それぞれの様々な人生の物語があるということに改めて気付かせてくれた。
さらにこの物語は、市井の人々の日常で始まり、劇的な展開もなく、モンタージュ技法等を用いた過激な演出もないまま、日常で終わる。そのような穏やかなストーリーにも関わらず、観終えると思わず涙が出る。私は、ネオ・レアリズモの代表作であるヴィットリオ・デ・シーカ監督『自転車泥棒』を思い出した。市井の人々の日常を重視した新たなリアリズム“Neo-Daily Realism”をこの作品によって三宅監督は生み出したのではないだろうか。藤沢さんが山添くんに譲った白い自転車を思い浮かべながら、この作品は新しい映画の夜明けだと私は確信した。
鑑賞後に同映画のパンフレットを購入した。そのインタビュー記事の中で、私が強く共感した次の言葉を引用したい。
「大げさなことじゃなくても日常にも素晴らしい瞬間がある」(三宅監督)
「外に出た時、見える風景がすべて、自分にとって出会えてよかったと思う風景に変わっていく」(松村北斗)
とても充実した内容のパンフなので、是非購入をお勧めしたい。
最後に、藤沢さんが山添くんの髪を切るシーンなど、絶妙な距離感でさりげなく助け合っていくという、難易度の高い役柄を見事に演じた上白石萌音と松村北斗の演技力に心から拍手を送りたい。
日常に隠れてるもの
他者には見えない自身が抱え続ける問題との向き合い方を、同僚たちとの社会生活の中で寄り添いながら過ごす何気ない日常を描く。
とても穏やかな作品で、多少なれどだれしも感じたことのある孤独感や疎外感といった日々の中に埋もれる寂しさと誰しもに起こり得る病を通して、日常に隠れてる喜びと大切さを思い返させてくれた。
ちょっとできずきているかな?
PMSはとてもよくわかるし、自分もイライラして人に当たってしまって自己嫌悪に陥ったりとかあるので、
それとどう向き合って生きていくのか興味があってみに行きました。
パニック障害もわかりみ。一時期、電車に乗るのに緊張して心臓がバクバクしてやばかった時がある。
まあ、3駅だったから耐えたけど、長距離だとしんどいだろうなあ、、
パニック障害を持つ同僚が、本読んでPMSを分かろうとしてくれるのとかはとてもいい。
仕事中、様子見て外に連れ出したりとか、、
いくら自分がそうだからって、そこまでしようとする人いるのかな、、
私の元友達がADHDで、どういうものか知らなくていろんなことを知ろうとして調べたりしたし、分かろうともした。夜中にまでも電話に付き合った。
でも向こうは私の心の病気には寄り添ってくれなくて、そのままブロックされた。
現実はこんなもん、、
こんな周りの人がみんな理解してくれて、その中でうまくやっていくとか、夢の世界。
なので後半はちょっと冷めてみてしまった。
友情とも恋とも違うストーリーはよかった。
萌音ちゃんの演技もとてもリアルでした!
月経前症候群(PMS)を抱えた若い女性・藤沢さん(上白石萌音)は入...
月経前症候群(PMS)を抱えた若い女性・藤沢さん(上白石萌音)は入社しばらくしてオフィスで症状を発症し、処方された薬の影響で大事な会議の準備作業中に眠り込んでしまった。
結果、退職。
転職した先は、東京の郊外にある児童向け科学キットを作っている町工場。
雰囲気もよく、彼女の症状に理解もあるので、もう何年か仕事を続けることが出来ている。
職場の新人・山添くん(松村北斗)は元々大手のメーカーのオフィス勤務だったようで、いまの職場のまったりとした雰囲気にやりがいを見出せないのか、まるでやる気をみせない。
そういうこともあってか、PMSの症状がひどくなった藤沢さんは、怒りを爆発、矛先は山添くんに向けられたのだが、山添くんもパニック障害を抱えていることがわかってきて・・・
といった物語で、藤沢さんと山添くんを中心にして、周囲のひとびととのやりとりを描いています。
悪いひとは出てこない。
同僚もほとんど良いひとばかり。
いいひとばかりだけれど、会社の社長(光石研)も山添くんの元上司(渋川清彦)もなにかしらの事情・心の疵を抱えている。
そういうひとたちだから、相手のことを思いやれるのかもしれない。
大きな出来事は起こらない。
最後に移動式プラネタリムという珍しい装置が登場するぐらいで、小さな天蓋に映し出される星々とそこに重なる藤沢さんのナレーションが美しい。
藤沢さんの読む解説文は、社長の弟が遺した言葉をもとにした天空・宇宙に対する思いが込められたもので、宇宙の尺度からみれば人間なんてちっぽけ。
だけど、ちっぽけで儚いからこそ尊い。
そんな大きく広大な宇宙を小さな小さなテントの内側に映し出している。
そのことが面白い。
全編やさしさに溢れた映画だけれど、その功績はロケーションの魅力に負うところが大きいでしょう。
東京の郊外・城南地区を舞台にしているが、実際のロケ地はそのまんまではない。
いくつかの場所は、設定に近い場所で撮られているようだが。
が、それら複数のロケーションが違和感なくつながれ、まさしく東京の郊外といった雰囲気を出していました。
これは、簡単そうで簡単じゃあないんだよなぁ、と思った次第。
とてもいい映画
予告で気になってて鑑賞
月に一度、PMSでイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのとある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまいます
ですが、転職してきたばかりだというのに、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめ、生きがいも気力も失っていました
職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこ別な気持ちが芽生えていく二人
いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはではないかと思うようになります
というのがあらすじ(HPより)
何か大きな事件があったりどんでん返し起こったりすることはありませんが素晴らしい映画です😊
ちょっとした笑えるシーンもあって一つ一つのシーンがよかったです!
最初は心を開かなかった山添くんも徐々に開いていく感じもわかってよかったです!
そして藤沢さんの自宅に忘れ物を届けに行くシーンは生きることに少しだけ前向きになってるようにみえて良かったと感じました…
ほんとすっと心にしみるような温かくて素晴らしい映画でした!
ありがとうございました☺️
大袈裟な善意や共感なんて要らないのだ
鑑賞をずーーっと躊躇していた作品。
本日本命の「ゴールドボーイ」が面白かったら観ようかな。。と、ギリまで悩んだが、↑が面白かったから観ました。
実は、以前の職場で私が任された新入社員の女の子が「強迫性障害」で、対応にとても!
苦労した経験があります。
(強迫症って言ってたかな?)
本作の主人公が抱えている「生きづらさ」に共通している部分がありそうで、あの時の感情が蘇りそうで複雑だった。
共感出来ないと♪冷たい人〜と言われ
そーお〜♪だし、もし、今の自分も、
否定的な感情しか抱かなかったら。。
自分に失望しそうで正直言って怖かった。
自分の経験上、その彼女については、その症状がひどくなると、不安やこだわりが度を越してしまうから、人間関係や仕事、生活の全てに支障をきたしてしまい、生きづらそうだな。。とは思えた。
だけど。仕事って生モノで。
今確実にやらなくてはならない案件や、会議・打ち合わせなど、時間的縛りがあったり、社外の人への対応など、神経をすり減らす事が多いのに、、
これ以上大変なことを増やしてくれるなよ
( ; ; )と。。
否定的な感情があった事も事実です。彼女も頑なだったし。私も泣いたよ。
そして、本作の藤沢さん(萌音ちゃん)同様、会社にもその事を伏せていたため、周りのみんなも対応に困った。
自分ではど〜しよ〜もない「生きづらさ」と共存している人々に対し、こちらはどんなヘルプが出来るのか。
それを知るためには、当事者からある程度は説明してほしい。
デリケートな問題だから言い出しにくいのは理解する。
だけど、仕事だからね。お金を頂く以上はその分はしっかり働かなくてはいけません。冷たいでしょ〜か( ; ; )
だから、症状が出てしまった藤沢さんや山添君(松村君)に対し、栗田の人々がただただ心配して優しくしていたけれど、やはり、当事者が説明している描写は欲しかった。
こちらも理解したいと思っているよ。
社会の一員としている以上、誰だって皆んな何かしら抱えているし、しでかすし、そもそもが「お互い様」なのだから。。
そして本作が描く「生きづらさ」も、それってその人の個性だからね。
パニック障害、PMS、飛びすぎかもだけど、トランスジェンダーの問題とかも、当たり前に話せる世の中になれば、皆んな生きやすくなって良いのにねと思った。
まぁ、現実には栗田科学の様にはいかないにしても、
(おやつばかり食べてもいられないしw)
職種や環境も違うけど、1人1人が今の自分の周りを見つめ直してみてさ、少しずつ変わっていけたら良いのにね。
私はPMSの症状はないけれど、生理前には無性に何か食べたくなるし、
(藤沢さんのポテチ流し込みもソレ?w)
いつも以上に掃除したくなるし、
(巣籠もり準備?w)
生理中は腰もお腹も痛いし、あの不快感は慣れるものではない。
着る服も気を使うし、それこそ映画も行きにくい。
妊娠、出産は女子がするから、毎月の生理は男子にあげたいわ。
人と比べにいく事だからこそ、生理についてだって、同じ女同士でもかなり感覚がちがうと思う。
生理休暇に否定的な女性もいるもんね。
PMSへの理解が進むにはまだまだハードルが高そうだ。
そして症状が出た時の、自分の心と体が思い通りにならない事の恐怖、薬の副作用など、怖いだろうなと。不安が伝わってきました。辛いよね。
本作を通じて様々な生きづらさを感じている人々に寄り添えるきっかけになれば良いなと思う。
「クジラ」じゃないけど、声にならない声を聞いてあげたいし、声をあげられる環境作りの大切さも改めて感じた。
藤沢さんと山添君の関係性、距離感がとてもよかった。
お互い似たような悩みがある者同士として心の奥で理解し合えていたのかもしれないが、
「そ〜ゆう人」って位のライトな感覚で付き合っていて、悲観的になり過ぎていなかった。
困っていそうだったら声をかける、
辛そうだったら助ける、
当たり前の事を当たり前にしているだけなのに、心に響いたのは、私が人として未熟だからなのかなと反省。。
山添君がはじめてジャンパーを着たシーン、藤沢さん語りのプラネタリウム、山添君の元上司の涙。
静かながらも心に沁みたシーンでした。
萌音ちゃん、村松君の自然体な演技がリアルで良い。
大袈裟な演出がなかったのが効いていた。
ほっと、優しい気持ちになれる映画
冗談を言い合える関係って素敵だな、と思う。
自分が大切に想う人がその人のペースで、今よりも少し幸せになってくれるなら……
そう願いたくなるような映画でした。
炭酸の音が響いた時、藤沢さんの様子を気にしている自分がいた。
その瞬間に観客という立場から、少し彼女に歩み寄れたのかもしれない
山添くんがヘルメットを買った後も、少し窮屈なサドル位置で自転車を乗り続けているのは
それ自体が藤沢さんの思い出だからなのかな? と妄想した。
上白石萌音さんは感情の出発点を表現するのが上手いんだなぁと思った。
日常を覗いている感じ
2回見ました。
終始淡々としていて物語っぽくなく、カメラワークも合間ってどちらかと言えば2人の日常を覗かせてもらってる感じ。
フィルムっぽい画質なので見てて温かい印象で、出てくる登場人物も全員優しいです。
映画にしてはセリフが少ない方なのかな?と思いますが、だからこそ想像の余地があって楽しいです。
終盤に出てくるメモ?で、"夜明けは人々に希望を与えるけど、夜がなかったら外の世界に気づけなかった"のような言葉が出て来ますがそれがすごく好きです。
パニック障害もPMSも辛いけど、だからこそ見ること出来た世界が彼らにはあったのかも…と。終盤で山添くんはそれに気づいたのかもしれないですね、、。
あとは細かい部分のこだわりを感じて、例えばちゃんと炭酸の音うるさくなっていたり、山添くんの部屋が異様に暗かったり、洗濯バサミ開かなくてイライラするのもリアルで良かったです。
温かい映画で大好きです!また見たい、、
世界は救わない...でも社員を救うヒーロー
上白石萌音の推し事のつもりが、何もかも想像以上だった。そもそも、大きな起伏が無いのに2時間近く興味を維持できる映画に憧れがあったが、本作はまさにその典型だった。加えて、PMSとパニック障害の社員を包み込む社長や上司を、自死遺族として描いた事に激しく共感した。
✨
1. 日常ドラマへの憧れ
お金を払って劇場で鑑賞するのだから、世界の危機を救うようなスペクタクルを期待したい気分は自分にもある。しかし、しばしば連続ドラマやアニメで、大した事件が何も起きない1日が描かかれているのに、もの凄くのめり込んで観れる回がある。大きな起伏なしに視聴者を惹きつける演出力に感嘆する。映画で言えば「となりのトトロ」がかなり近いが、メイちゃんの失踪は結構な起伏かもしれない。
本作でも、PMSで退社する冒頭や駅や会社でパニック障害の発作が起きる場面は一種の起伏だが、殆どの時間が淡々とした日常描写に割かれる。しかし、それこそが生きづらさを抱えた2人が居場所を見つけた事の象徴にもなっている。藤沢美紗も山添孝俊も、症状が出ていない時には仕事をこなせる。ただ、症状が出て場合の対処を周りが知らないと、大事になってしまう。ともすると、社員が歯車として無駄なく機能して利益を追求する企業に、彼らの居場所はないのかもしれない。一方で、会社を潰したくは無いが、社員に無理はさせない栗田科学だから居られるのかも。ただ、山添はそこでやり甲斐をみつける。腰掛けのつもりで、社員に向上心が無いと馬鹿にしていた栗田科学に残ること決意する。そのキッカケが自死した社長の弟が遺した「熱意」なのも感慨深い。
登場人物も大きくは成長しない。それでも、藤沢美紗はイライラを洗車で解消する術を学び、山添も他者を思いやる術や居場所をみつける。地球や世界を救わなくても、生きづらさを抱えた2人が平穏な日常に辿り着いた事が何よりの勝利に思えた。
🌙
2. ヒーローは栗田社長と上司の辻本
最も苦しいのは、PMSとパニック障害で居場所を奪われた当事者であり、その現実に向き合わざる得ないのも当事者だろう。しかし、当事者が実績のない若い被雇用者である場合、自力で居場所を確保するのは難しそう。本作では、上司の辻本が山添を見守り、栗田科学が居場所を提供する。象徴的なのは、辻本と栗田社長が自死遺族の集いに繋がっていた事。自分も高校生の頃に、肉親を自死で失った。遺族が受ける衝撃は並大抵ではない。泣き叫ぶ家族にかける言葉はない。自死した肉親にかけた言葉や態度が全て遠因に思え、罪悪感と自己批判に苛まれる。肉親と同じ自死手段がドラマ等で流れると家族は固まり、家族の心の動きが心配で仕方ない状態は1年以上続いた。衝撃は時間が癒すが、何かできたかもしれないという悔恨は生涯残るだろう。
だから、PMSとパニック障害の社員に対する寛容さには合点がいく。厳しさも必要な時はあるが、不安的さを伴う相手には、対応によっては与えてしまいかねない悪影響に思いが及ぶ。PMSもパニック障害も、人によって症状の詳細や強さは違うだろうから、誰にでも当てはまる正解はない。それでも、発作が出た際に慌てず騒がず、無理をさせずに休ませるべきなのだろう。無論、利益も上げなければ企業は持続できない。社員に極力無理をさせないで、会社を潰さずに継続するのは、結構な無理問答。弟を失った悔恨に突き動かされる栗田社長の挑戦は応援したくなる。
やさしい気持ちになれる映画
過度な演出に頼りすぎることなく、全体を通してとても丁寧に描かれているように感じました。良かったです。
「愛」とか「友情」とか「責任感」とかそういう大層な(?)名前のついた理由からじゃなく、自然と相手を思いやれる・・・。そういう世界があることを思い出させてくれました。(栗田科学のみなさん+山添くんの元職場の先輩ありがとう!)
私自身、今ちょうど体調的にも精神的にも少しつらいな、疲れたなと感じ始めていたところだったのですが、この映画を見た後、ちょっと心が軽くなった感じがしました。なぜなのかはっきりした理由はわかりませんが・・・。
あと、12000年後にこと座のベガが北極星になるんですね。知らなかった。勉強になりました~。
持ちつ持たれつ、お互いがお互いを自由に。
PMSに悩まされる藤沢さんと
パニック障害に悩まされる山添くん。
生きたいとは思わないけど死にたくはない。
そんなふうに思いながら生きていくのは
とてもつらくて毎日が退屈で苦行。
電車に乗れず行動できる範囲が狭く世界も狭い。
ひとりの世界に閉じこもるような山添くん。
普段は温厚で人当たりが良さそうな藤沢さんは
月経の前になるとまるで人が変わる。
ちょっとしたことですごく怒る。
炭酸水を開ける音にさえ怒る。
そんな2人が徐々に心を開いていって
お互いがお互いの世界を広げてあげるような話。
そのきっかけになったのは…
山添くんの髪の毛を藤沢さんが切ってあげたこと。
なのではないか?と個人的に思っている。
このシーンはゆるいオーダーを受けて
あとは北斗さんと萌音さんのアドリブだったのか?
と思うくらいに自然だった。すごく面白かった。
北斗さんの笑い方がほんとに弾けていました。
山添くんはPMSを理解しようと
パニック障害のかかりつけのクリニックで
本を借りて読んでみたり…
藤沢さんは電車に乗れない山添くんの
行動範囲が広がればと乗らない自転車をあげたり…
あたたかな人間関係がおだやかに築かれていく。
観ていて心が和やかになっていきます。
山添くんと藤沢さんが勤めている
中小企業の方々もすごくアットホーム。
一緒に働く方にも2人は恵まれていたと思う。
僕も昔、中小企業に勤めていたんだけれど
なんだかとても懐かしかったな。(余談)
生きても死んでもどっちも良さそうな山添くんが
希望を見出して「すごくないですか⁈」って
前職の上司に仕事の話をしていたシーンは
僕もその上司と泣いていました。
出会う人、出会う環境よって、
人は変われる。生き方が変わる。
山添くんと藤沢さん以外の登場人物も
重い問題を抱えているのだけれど
みんなで支え合って生きているという描写が
しっかりとあって全体を通してあたたかな作品です。
エンドロールがこれまた良かったです…
山添くん、これからもゆったりと生きてね。
藤沢さん、辛くなったらまた戻ってきなね。
そう、声をかけたくなりました。
あっと言う間の2時間
好きな演者さんが沢山出ているので楽しみにしていた。
激動な展開などはないけど、
現実世界に存在していそうな
空気感と役者のみなさんの演技のうまさ。
セリフじゃなくて本当に会話になっているのが素敵でした。全ての人が色んな背景を背負って日々生きてることを再確認。
悲しい、嬉しい、良かった。
とかに仕分けできない涙が溢れた時が多々あった。
もしかしたら明日私がこうなるかも…
もしかしたら身近な人が同じ病状かも…
もしかしたら職場の同僚が陰では悩んでいるかも…
というような怖さ、不安の涙だったのかもしれない。
山添くんは、過去にトロフィーを貰ったり仲間とのキラキラ写真を飾っていたり、多分大手の企業に就職して順風満帆ないわゆる勝ち組だったんだろうな。
藤沢さんは、お母さんの愛情表現が自分と似ていて
色んな感情になった。よかれと思って送ってくれる大量の食材。嬉しいんだけどね。本当に。でも生野菜はすぐに加工したり食べないといけないんだ。
大きすぎた手袋を、大丈夫なのにジャストサイズに直して送ってくれる。嬉しいんだよ。分かってるんだけど私には執念に感じてしまった。。。
でもそんな人でも
何かのキッカケで症状と付き合う人生が始まる。
山添くんの暗い部屋のカーテンを開けてくれる人がいて良かったな。と思えた。
心地いい余韻が残る作品
藤沢さんと山添くんはお互いの病気(障害)のよき理解者となっていくけれど二人がそうなれたのは周りの人たちの程よい距離感と優しさもあってのことだと感じた
印象的だったのはまず山添くんの表情の変化
はじめは思うようにならない自分の心と身体に常に不安げな表情で周りの人のことが目に入らないくらい自分にいっぱいいっぱいでいわゆる空気の読めない人だったのが藤沢さんと話すことで徐々に心の余裕ができていって表情が柔らかくなっていくのを松村北斗が見事に演じていて演技というよりは山添くんそのものじゃないかと思えるくらい自然な変化だった
あと周りに気を使いすぎて頻繁に会社にお菓子の差し入れを持ってくる藤沢さんに対して住川さん(久保田麿希)のセリフで「こういうことが決まりになっちゃうのは良くないから」といった後に「でも私ここの大福好きよ」って言ったのがものすごく優しくて心に響いた
あと山添くんの元上司の辻本さんが山添くんがプラネタリウムの企画を嬉しそうに話して今の仕事が楽しいっていうのを聞いて「本当に良かった」って涙ぐんだたのも印象的だった
辻本さんはお姉さんが自死で亡くしているから山添くんのことをすごく心配して気にかけていたからのほっとしたうれし涙だったのかな
山添くんの彼女が藤沢さんに「あなたのような人が近くにいてくれて安心した」って言うのも素敵だなって思った
普通なら嫉妬の感情も沸く展開なんじゃないかと思うのに彼女なりの寄り添い方なんだと感じた
観終わった後ずっとそれらの場面や言葉を思い出しながら温かい気持ちでいられる作品でした
生クリーム
松村北斗君目当て
上白石萌音さんとの共演
朝ドラ思い出す笑
PMSで悩む女性と
パニック障害で悩む男性の話し
この二人が恋愛関係になるのかと思っていたら、全くならず
最初は嫌いあっていたが、徐々に同僚として仲良くなる
部屋に一緒にいるけど、男女の関係にならない
とても良い距離感の友人みたいな関係だ
たんたんと時間が進む
会話の間合いや
この舞台になった会社の方々が問題を抱えている若者を、あたたかく対応してくれている環境がとても良い
素敵な会社だ
色々みんな抱えて生きているが、大丈夫だよと思える映画🎦
合わなかった、微妙
主題はよくありそうで、展開はあえて作らないような作品。
個人的にはこういう類いのテーマはたまに見るが本作ははまらなかった。
この間観賞した正欲や、是枝作品のほうが好み。
2回目以降は副音声でも楽しめる
松村北斗さん上白石萌音さんの2人の演技力が凄い!
男女の内容なのに、恋模様は一切なし。
松村北斗さんのパニック障害のシーンは
ホントにパニック障害が起きてるかのような演技。
上白石萌音さんのPMSが発症してるシーンの目はホントに発症してるかのような演技。
社長役の光石さんがいつも2人を優しく見守ってる。
見終わったあとはココロがホッコリします。
三宅監督、松村北斗さん、上白石萌音さんが副音声で裏話トークされていて、笑ってはいけないシーンなのに、クスクス笑ってしまう裏話が多いので楽しめます。
何も起きないことが逆に意味のある作品
題材的にもキャスト的にもあまり興味がもてなかったのですが、評判のよさを知って見てきました。
本当に見てよかったです。序盤にいくつか引っかかることがあったのですが、それが逆に後半に物語に活きてくる展開が多く、脚本や見せ方の巧みさに唸りました。
中盤から後半にかけて、何も起きないことが逆に不穏に感じ、悲劇的なラストを予想すらしたのですが、そんなことはなく、何も起きずに淡々と終わることがテーマ的にも意味のあるもので、他にはない味わいのある映画でした。
時間差で面白かったと感じました
原作未読です。
映画観終わった直後は正直、炭酸のシーンと山添くんの性格が段々とよくなってるって印象しか残らなかったです。
PMSのイライラとパニック障害の演技はリアル感あるなぁと感じました。身内にいるので、止めたくても止められない気持ちが同じくらい伝わってきました。
3日間くらい経って、時間差であれ、やっぱ面白かったなって感じました。登場人物みんな優しくて、主人公が1番イライラしてる物語ってあんま観ない設定だなと思い、また観たくなりました。時間を見つけてまた足を運ぼうと思います。
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