ホワイト・ノイズ

劇場公開日:

解説

「マリッジ・ストーリー」「フランシス・ハ」のノア・バームバック監督が、アダム・ドライバーを主演に迎えて描く風刺的な人間ドラマ。

原作は、アメリカの作家ドン・デリーロによる同名小説。化学物質の流出事故に見舞われ、死を恐れるあまり錯乱してしまった大学教授が、家族とともに命を守るため逃走する。現代アメリカに生きる家族が死を身近に感じる環境に置かれたことで、愛や幸福といった普遍的な問題に向き合っていく姿を描く。

主演は、「スター・ウォーズ」シリーズのカイロ・レン役で広く知られ、「マリッジ・ストーリー」でもバームバック監督とタッグを組んだアダム・ドライバー。共演には、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品のジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシン役でおなじみのドン・チードル、バームバック監督の公私にわたるパートナーでもある、「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ。2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。Netflixで2022年12月30日から配信。一部劇場で同年12月9日から公開。

2022年製作/136分/G/アメリカ
原題または英題:White Noise
配信開始日:2022年12月30日

その他の公開日:2022年12月9日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第80回 ゴールデングローブ賞(2023年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ) アダム・ドライバー
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一部劇場にて12月9日(金)より公開、Netflix 映画「ホワイト・ノイズ」12月30日(金)独占配信開始

映画レビュー

4.5ディザスター映画の衣を着た中年とっ散らかりコメディ。

2022年12月31日
PCから投稿
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村山章

3.5この壮大な濁流を泳ぎ切ったことを評価したい

2022年12月31日
PCから投稿

ドン・デリロの小説を映画化する。そう聞くだけで「出口なし」の企画だと分かる。これまで着実に良作を重ねてきたバームバックはこの難解な濁流をどう泳ぎ渡ろうというのか。冒頭では彼らしい家族の食卓の描写が重ねられ、小説が書かれた1985年そのままの時代の空気を刻印する。かと思えば、近隣で予期せぬ大事故が起こり、放出された化学物質をめぐって多くの住民たちが避難する事態に見舞われる。情報、知識が枯渇する際、人はどう考え、受け止め、生きるのか。そしてこの世で最も得体がしれず難解で、しかしあらゆる人々に確実に訪れる「死」の恐怖と我々はどう向き合うべきか。コロナでロックダウンを迫られた現代に本作が生まれたのは偶然ではないだろう。大混乱の描写といい、答えなき問題との格闘といい、従来のバームバックとは一線を画した怪作。が、難解さだけで終わらず、あのコミカルで楽しいエンドクレジットを添えるところが何とも彼らしい。

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牛津厚信

3.0多分小説だと機能している

2023年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

全体的にストーリーが掛け違えられてしまったような感覚があり、映画として今一つ。

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mikyo

4.0シニカル

2023年4月24日
iPhoneアプリから投稿

主人公は、ナチスの指導者ヒトラーと、ファシズムに熱狂する群衆心理を専門としている。「人は不安なとき、神秘的な人物に惹かれがちだ。」
ヒトラーが憑依したような彼の演説を学生たちは賞賛する。

群集心理の愚かしさをを理解しながら、いざ危険な事故によってパニックになると、家族とともに群衆のなかに混じり、周りの人々と同じ行動をとってしまうのが現実。

危険な現場から少しでも遠ざかろうとする群衆は、人間が「死」の不安から少しでも逃れようとする本能の象徴だ。人間は巨大な黒雲のような「不安」に取り巻かれている。

結局のところ、人間は絶えず流れ続ける不安のノイズ(静かな雑音)を意識しないで済むように、刺激的な娯楽、消費、宗教、指導者を必要とする。
妻が、極秘研究のボランティア募集という広告に騙されるところは、最近の陰謀論に希望を見いだす中年や高齢者に通じていた。

薬物に頼ることで、この不安を払拭できるかもしれない。しかし、薬物の刺激は心身に深刻なダメージを与える。本作では子どもたち(若い人たち)のほうが、煙草や食品添加物の危険性を親たちに指摘していた。

冒頭のカークラッシュシーン、パニック時の報道、ミスターグレイ。作りものやニセモノに溢れる現代において、スーパーマーケットの商品棚でお気に入りを見つけることだけが救いなのか。

ほとんどが在庫(ゴミ)となる大量生産品の一部に、自分のお金を払って交換するシステム。
天国を信じない修道女が言う。「信じるふりをしなきゃ、世界が崩壊する。それこそ地獄だ。」
こんなシステムでもヒトラーの再登場よりはマシという皮肉か。

しかし、国家的な排外主義や覇権主義が再び台頭し、むしろ過去のファシズムそのものへと逆行している現代。笑ってもいられない。

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Raspberry