「自ら選択したのか、選択肢を知らなかったのか」帰れない山 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
自ら選択したのか、選択肢を知らなかったのか
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裕福な都会の子と貧乏な田舎の子(無学)の典型のふたり。
あまりにも親密そうなので「怪物」のふたりみたいな関係かと思ってしまった。
親ガチャは絶対的にある、ブルーノーは親のせいで教育の機会すら奪われた。これが彼のその後に人生をほぼ決めていないだろうか。
ブルーノーは自ら進んで山で生きることにこだわったようだが、彼は広い世界を知らないまま成人したのだ。視野が狭いがゆえの選択の幅の狭さだったと言えないか。それに、教育があれば、もう少し上手く経営を考えることができたのではないか、もともと頭の良い子供だったのだ。
31歳まで定職もなく反抗期が継続していたピエトロは、自分の父親とブルーノーが実の親子みたいな親密な関係で、しかも自分はそれを知らなかった、というところで目が覚めたらしい。彼が、長いモラトリアムを経て自分の向いている職業を選ぶだけの選択肢を持っていたのは、彼が親から恵まれた生活環境を与えられていたからだと思う。
ブルーノーは自ら望んだ通り鳥葬にされたようで、わかりやすい描写でした。
人間には「帰れない山」=乗り越えられないこと、もある。
それは人生の真実で、とてもわかり易い。
自然の景観が素晴らしく、ハナシも良くできていると思うのに、流れがゆったりしすぎて何度も知らないうちに眠ってしまいました。いびきをかいていなかったのが幸い。(同行者談)よだれはちょっとすすったようです。
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