雨を告げる漂流団地のレビュー・感想・評価
全44件中、1~20件目を表示
小学生版エニエスロビー
うる星2
アリスとテレス
と集団神隠し系ファンタジーらしいものを連続で見てみた
絵も綺麗
団地が漂流するという設定もいい
ヒロインの言動が被害者面すぎて見ていて鬱陶しいが、複雑な家庭環境ゆえの自己肯定感の低さという点では解像度が高いのかもしれない
怒られたくないがために、すぐ謝り作り笑いをする
自分を犠牲にするが故に、むしろ周りに気を遣わせてかえって迷惑をかける
それと対比するように描かれた典型的なクラスのいじめっ子ポジの女の子や、その中立をなす大人っぽい女の子
特別魅力的でもないが、悪くもない
問題はのっぽ。
誰が見ても、幼少期の安爺だと思うんじゃないですか?
それが実は団地の精霊でした、と言われてもへーっとなってしまう
メリー号の精霊とその別れのシーンだと思えば、まあ納得できはする。
壮絶な過去故に自分を雑に扱うという点でヒロインとロビンにも類似点があると思えば、最後の嵐の中での主人公とヒロインの口論も、生きたいと言え!生きたい!!なわけで。
まあ納得はできる。
下位互換のエニエスロビー編。
あと内容と対象年齢に比して長い。
温故知新って事だな。
ビルトアンドスクラップを繰り返してきた今の日本経済に対する警鐘って言う所だと思う。
アクションを入れ過ぎているのが欠点かなぁ。
取った行動が全て失敗なのがもう一つの欠点。
これでは『2年間の休暇』見たいなサバイバルになっていない。『蝿の王』だね。最後は言わずもがなたが。『蝿の王』見たくならなくて良かった。
そう言えば、一年くらい前に見た『ガガーリン』って言う映画ににていたなぁ。
僕が小学校に入る前の年に、千葉県柏市に『豊四季団地』が出来た。僕はその隣の『向原』と言う所に小学校一年の時に引っ越してきて、学校から下校して、豊四季団地に迷い込み、建物が皆同じで、迷子になった事を思い出した。しかし、番号がふっている事に気が付き、抜け出た事を思い出した。今、豊四季団地は全て建て替えられたと聞く。数年前に行ったが、その時はこの映画の様になっていた。当時はでかい建物群に見えたが違っていた。迷うような場所ではなかった。今はそれもない。
『すずめの戸締まり』や『天気の子』を大いに意識していると思った。観覧車出て来たときは笑い転げた。
しかし、パクリではなく、アンチテーゼに思えた。そんなに意識しなくともこちらの映画のほうが遥かに良いと僕は感じるが。
『ペンギンハイウェイ』が『すずめの戸締まり』で『すずめの戸締まり』はこの映画に!ペンギンですずめは無いだろ!と思ったら、観覧車は良かった。
追伸 好みにもよるが、主人公の活躍で社会を変えるって言う話よりも、『少女終末旅行』みたいに懸命に生き抜くって言う話の方が好きだな。そう言えば、『少女終末旅行』にも似ているかなぁ。
【良かった点】 団地にフォーカスしているという点だけで、小学生時代...
【良かった点】
団地にフォーカスしているという点だけで、小学生時代を団地で過ごした自分にとってはドストライクな映画だった。OPの団地を走り抜ける2人のシークエンスだけで泣けるほど。田舎特有の廃れて壊れていく街並みに想いを馳せることができる地元愛再確認映画。壊れゆく団地と壊れた2人の友情、愛情?の再生の物語。
【良くなかった点】
のっぽ君をもう少し掘り下げてほしかった。というか主役の2人以外ほぼただの遭難被害者じゃないか!笑、結構わがままなキャラクターにイライラはしたがまぁ小学生だしな、と割り切れればノイズは少なめか。
終盤に難あり
花澤香菜さんの情熱大陸で取り上げられていたので見ました。
他の方のレビューでは酷評が目立つので不安90%で見に行った。
すると中盤までは意外と見れた。
が、終盤になってその本領?を発揮する。
同じようなシーンの繰り返しなのだ。
監督がこの作品で描きたかったような過去に囚われるのではなく、過去と共に生きるというテーマはわかる。
ただ終盤団地が沈みそうになった時(この団地も本当沈みそうで沈まない不思議な団地なんだが)どちらかが落ちそうになる、それを助けようとしてもう片方が落ちそうになる、それを助ける。
このパターンが本当に多い。
後は主人公2人の口喧嘩シーン。
これも思春期の男女を表すシーンとして挟まれてるんだろうが、あまりにもその回数が多すぎて最後の方はうんざりしてしまう。
正直もう少し整理すれば後15分くらいは削れそう。
また、最後の方で「私がいない方がお母さんも楽なんだ」云々ぐだぐだぐたぐだいう女の子のにもすごいイライラした。
まぁ過去に囚われてマイナス思考になってる人はこういう思考回路になってしまうからおかしい話でもないが。
声優さんの演技と映像は良かった。
後作中全体に漂う一時代前のアニメ感はなんなんだろう。
もしかしたら今回の舞台が団地という過去の遺物になりつつあるところが舞台ということでわざとやってるのかと考えるのは穿ちすぎか
んーー。
なんだか、んーーって感じでした。
感情移入しにくい感覚でした。
ノッポくん、まさかの団地の時間具現化とは。
団地で亡くなってしまった子なのかなとか思ってたら
団地でした。
見ていて思うのは、怒鳴るシーンが多くてみてて、イヤな気持ちになりました。
主人公が素直じゃないため、終始大声出す感じです。
サブキャラも、性格悪すぎる女の子がずっと人のことばかり責めていて、イライラしてしまいました。
死にかけて救って死にかけて救っての繰り返しです。
団地により仲良しのままいて欲しいと言う気持ちで
あの漂流の世界にいってしまった(?)みたいな流れですが、設定がよくわかりませんでした。
何を伝えたかったのか、色々なことを詰め込んではいたけど、最後まで見た感想は、んーーーでした。
見て楽しめる作品
テーマ性や整合性など気にしたらダメなエンタメ作品。
主要人物のキャラクターが丁寧に描かれており感情移入もしやすい反面、物語の根底に何が有るのか読みとり難く、とりわけキーとなるノッポの意志、思いと、作中で起きている非現実に関連性が終盤まで全く見られずにストレスになる点もある。ミスリードさえ存在しないキーマンの存在は短編ならうまく活用できるだろうが長編では観客を置き去りにしてしまう。
加えて主人公たちが経験する非現実と、元の世界、現実との整合性も取ろうとしていない点も不満点の一つ。特にヒロインが母と再会するシーンは、この冒険が行われている間のそれぞれの世界の時間経過について説明が一切無いために違和感を覚えてしまう。
ただ、そうした細かい、面倒な点を一切忘れて映像と芝居に引き込まれる力は有る作品なので、親子等家族で見るのも悪くないだろう。
まあ、一言で言えば何も考えずに見ろ、そして見終わったら何も語らずに忘れろ、と言うジャンルの作品だ。見ている間だけは楽しめると思う。
消えてしまいそうです
Netflixで配信中でしたが劇場での鑑賞を選択しました。特典のしおりも貰えました。
世間一般での評判はかなり賛否の否よりですが、自分はかなり楽しめました。なんだかこの現象は「バブル」と近しいものがありました。
批判点として多く挙げられている喧嘩の多さ、小学生って大人よりも些細なことで言い合いとかしてなかったかなーと思いました。教育実習で学童の生徒たちと遊んだ事がありますが、場所の取り合いだったりとか好きなものの相違とかですぐ喧嘩しちゃうので、今作の子供たちは結構リアルです。声優さんたちが流石としか言いようのない演技なので生々しくはなっていましたが笑
団地にいたら突然海に出たというファンタジー要素はこの作品の肝になっており、この団地は画面上にずっとあるというのも監督の団地好きが全面に滲み出ているなと思いました。自分は団地に住んでいた期間は短いですが、あの狭い空間でしか感じられない事もあったなぁとしみじみ。
夏芽と航祐は航祐の祖父が亡くなった事がきっかけとなり、距離を置いており、この団地にいる間も言い合いをするシーンが多いです。互いに互いを心配しているからこそ本当の自分を曝け出せなくて無闇に傷つけあっていますが、2人がサッカーで協力するようにピンチのシーンも少しずつ協力して元の2人へと戻っていく流れは王道ですがとても良かったです。譲と太志は暴走気味になる航祐を抑えたり、仲間を助けにいったりと、少し影は薄かったですが良き友人です。この2人に囲まれてる航祐は幸せもんだなーと。令依菜はとにかく高飛車お嬢様で、共感できないというレビューも分かるんですが、根は優しい女の子で友達思いでこれまた良い子なので、彼女が怒りっぽいのもその優しさがあるからだなーと微笑ましく見えました。珠理は結構行動派、頑張り屋さんでした。彼女は令依菜の引き立て役になってしまったかなと少し残念でした。ノッポくんはきっとお爺ちゃんのメタ的な存在だなと思いました。説明不足な点が多いのもある程度物語にモヤモヤを残してる感じはいいんじゃないかなと思いました。
漂流してくる建物に食べ物を探しに行くために、団地にあるあらゆる物を組み立ててロープウェイみたいにするアイデアはとてもワクワクしました。めちゃくちゃ危険な事をするなーとは思いつつも、その無邪気さがとても良かったです。観覧車を団地に牽引するアイデアは相当ぶっ飛んでいるなと思いつつ、映画館の大きなスクリーン映えする映像を楽しめました。終盤の夏芽と航祐が互いを再び信頼し合うシーンは感動せざるを得ませんでした。
スタジオコロリドのアニメーションは青色の表現がとても美しく、今作も突き抜けた美しさを誇っていました。キャラデザも可愛らしくてとても好きですし、ずとまよの主題歌・挿入歌を含めた音楽も最高です。声優陣もこれまた素晴らしかったです。水瀬さんは普段の大人しいキャラとは違う活発な令依菜を演じているのも普段とのギャップを感じて新鮮でした。
まぁ気になった点はいくつかあって、終わりそうで終わらない展開にはかなりモヤっとしました。二転三転していく展開が多すぎるので、もういいんじゃないかい?と思ってももういっちょ!とおかわりが来たので少しダレたなーという印象です。あと終盤に突然出てくる女性が何者だったのか、これが何も明かされないのも謎でした。おそらく令依菜が初め行った遊園地の思い出の擬人化なんだろうなと解釈しました。
確かに批判点には納得できる、けれど面白さは十二分に詰まっていました。Netflixで配信されていますが、劇場映えする作品だなと思いました。スタジオコロリド最新作は鋭意製作中という事なので続報を待ちたいと思います。できればホラーアニメを撮ってほしいなと願いつつ。
鑑賞日 10/6
鑑賞時間 18:00〜20:10
座席 A-1
小学生の頃を思い出しました。
大人になって忘れていた。
子供の喧嘩、自分の感情が理解出来ない、
変わりゆくものを受け入れられない葛藤が上手く表現されていたと思う。
物や環境が無くなっても残る関係や思い出について、再度気付かされた作品だったので
実体験もあり、泣けました。
団地が幸せそのものであった夏芽の視点だと
話が分かりやすいのかなと思います。
その他考察 (個人の意見、すいません)
使われなくなった建物視点
人々の幸せに使っていた時を手放せない状態 or 心残りがある=漂流
航祐と夏芽視点
団地にいた頃の未練、建物とのバイバイが出来ずにいた状態=漂流
ストーリー
ノッポくんと遊園地の擬人化が現れますが、
お互いに晴れやかにお別れしたことで、
建物たちの天国に辿り着くことが出来た。
道中の黒い影は、人も建物も後悔してしまうようなことがあれば、思い出に囚われるという
地獄に落ちてしまう表現かと思いました。
ここまで解釈するのに難解だったので楽しめる人と、そうでない人が居るかと思うので、4.5にします。
ここまで読んでいただいた方ありがとうございました。
他のレビューさんが言いたいことは分かる。
他のレビューさんが言う通り、2時間10分とストーリーに対して話が長い印象があります。
先にマイナス点を上げれば、
小学生と言えば小学生。漂流団地というようにサバイバルシーンもある中で仲が良く一致団結して壁を乗り越えるかと思いきや、またすぐに仲間割れを起こす。もう少し一致団結してる姿を映して欲しかったです。一致団結、仲間割れの流れを2、3回は繰り返してるので視聴者も飽きてしまい「?」となる点かと思います。
さて、ここからは自分が言いたいことを言わせてもらいます。
自分も小学生まで団地民で、取り壊しにより転校しました。下の階には家族同然の幼馴染もいました。今は中々ないあの団地の人間関係や空気感。それが瓜二つに表現されており、映画を見ながら凄い感動し、当時の思い出が鮮明によみがえります。
夏芽がわかままとか往生際が悪いとかコメントありますが、それは違います。あそこが私の家だったんです。命に変えても守りたかった居場所なんです。自分も団地から引っ越しては取り壊しするまで何度も足を運びました。今でも正直あの団地が取り壊された事を寂しく思います。さて、漂流団地はそんな夏芽と航祐の2人がずっと居たかった居場所にお別れを言う映画です。
元団地民の皆さん。あの懐かしい頃に戻ってみませんか?
面白いそうなのになにかが足りない
取り壊される予定の廃団地を探検しようとした小学生を乗せ、なぜか突然団地ごと海の上に…と言うストーリー。
①団地の雰囲気とかエモさもありつつなんだけど、なんかちょっと感情移入しきれず…小学生達が大人びたことを言い過ぎてる感じ。近頃の小学生はこんなこと言うのか?と思う反面、幼稚にバカバカ言い合う…高学年ならなくもないけど、なんか違和感。
②安じいのエピソードがいまいち弱い。団地の魂?はのっぽくんじゃなくて安じいの姿で出てくるぐらいでも良かったのでは。
③漂流してるけど団地内と言う限られた場所での話なので、同じところでグルグルしてる感じでちょっと中弛み。色んなことが起きると言えば起きるんだけど…
と言うことでつまらなくもないけどなんかイマイチで星3つ。
作品全体を占める雰囲気が良い
ペンギンハイウェイと同じ柔らかい人物作画と明るく澄んだ夏の空気感を感じる背景が最高の作品。
他評価のレビューではすとーちー上の説明の少なさに難色を示されている人が多いようだけど個人的にはそれほど気になるレベルではなかったので楽しめた。ペンギンハイウェイでも結局のところお姉さんの正体がきちんと説明されずに終わった記憶があるがそういう点が気にならずにあの作品が楽しめた人なら今作も十分に楽しめると思う。
ペンギンハイウェイと同様作画のやわらかさや子供が主人公として活躍する点など、一見子供向け映画のようでかなり大人向けに作られた作品だと感じた。例えば今作の大きなテーマにはノスタルジーが挙げられる点。
子供のころに住んでいた団地、遊びに行った遊園地、プール施設など大人になった今施設自体が取り壊されて無くなってしまったり、もう行くことが無くなってしまったが、幼いころの自分を構成していたもの、それは多くの人が共通して持っているものだと思う。
今作はそういった思い出の詰まった建物が次々と登場し、描かれているキャラクターは少ないがそういったすべての建物に子供の姿をした付喪神が存在している。具体的に描写される付喪神は団地のノッポと遊園地(観覧車)の付喪神だけだが、プール施設で非常食をくれたのも付喪神だろうし、おそらく最初に流れ去っていった施設にも存在しているのだと思う。
そうして施設(建物)に人格を与えることでただの建物にしか過ぎないものを自分を作り育ててくれた一部なのだと認識し、感謝の念を抱かさてくれる付喪神という昔の人が作り出した概念を上手く使ったストーリーで、個人的には団地のノッポよりも終盤に登場する令依菜が幼いころに父親に連れて行ってもらっていた遊園地が一番感情移入できる施設で、幼いころに連れて行ってもらった自身の記憶を思い返すことが出来た。
そういった施設は自分の意志ではどうしようもなく無くなっていってしまう存在だが、形自体は消えてしまっても、そこで育まれた友情や愛情、思い出は消えることなく自分たちの中に残り続けている。ありきたりなテーマではあるが一つの個人が所有するモノではなく施設という日常風景の一部に焦点を当てた今作は昭和時代に作られた建物が次々と取り壊され新しい景色に代わっていく今の時代に過去を振り返り、温かい気持ちでノスタルジーに浸ることが出来るいい作品だと感じた。
ふわっとしてる
序盤はフロリダに行く女の子があんたのせいでこんな目にあってんのよ!とのっぽ君やなつめにキレるみたいな展開が3回くらい序盤で行われます。中盤で親友が怪我した場面でもあんたのせいで!ってキレます。この女の子がワンパターンでキレているので成長を感じられずなんかなぁって感じでした。またこのフロリダの女の子の思い出の地であった観覧車の建物にいた女性の掘り下げが全くなかったし説明なしにいきなり出てくるのでお前誰やねん状態が長く続いたのもモヤモヤしました。フロリダの子の回想シーンでも流すなりしたらもう少し観覧車のキャラを出した意味が出るかなぁと…
なんで団地は漂流しているのか、昔壊された建物達もなぜ漂流しているのか、色々謎はありましたが全く説明なくフワッとしたまま終わってしまったのが1番残念です。
現状今年で一番印象に残った映画
寿命を迎えた思い出の建物と、その建物に付いているいわゆる付喪神が、その役割を終え、此岸から彼岸に向かう際に子供達が巻き込まれてしまうという展開です。 広大な海にぽつんと団地が浮いているのが印象的ですが、その海はいわゆる三途の川ですね。 海の底には、沈みかけているものを喰らう何かが存在しているようで、海もずっと天候が良いわけではないので彼岸にたどり着ける建物は限られているようです。
食糧も限りがあり、そんな過酷な状況を子供達は生き抜きます。 子供向けな雰囲気の絵柄とは対照的に、ヘビーなシナリオになっており、劇伴も重厚感があり大人でも楽しめました。
主人公とヒロインの間にあるわだかまりを解消していく物語でもあるのですが、1段、2段と解消されていく(わかり合う)さまが見ていて気持ち良かったです。クライマックスで完全に解消されるシーンは本当に素晴らしいです。泣けます!
のっぽくんから主人公へ引き渡されるものが欲しかった
話の展開を、のっぽくんに頼りすぎたのでは、と思います。
「のっぽくん」が活躍すること自体は良いと思いますが、
そもそも超常的存在なので、彼の制約がどこにあるかわからないので、
「なんでもあり」にも感じてしまいます。
それと、何もかも、のっぽくんが抱えたまま、消えていった感が否めなかった。
何を抱えていたのか、想像をめぐらすことも難しく、
置いてきぼりにされた感がありました。
どこかで主人公たちに何かを引き渡す必要があった気がします。
そうすれば、前向きに主人公たちが物語をドライブする感じが出たのでは、と思います
団地やジュブナイル・ファンタジーに乗ったのはいいが、漂流したまま…
『ペンギン・ハイウェイ』『泣きたい私は猫をかぶる』に続く、スタジオコロリドの長編最新作。
『ペンギン・ハイウェイ』は好きで、本作も魅力的な要素をたっぷり。何より気鋭のアニメスタジオの最新作。期待していたのだけれど…
タイトルからも分かる通り、団地が舞台。『ペンギン・ハイウェイ』に続いて監督した石田祐康が最もこだわった点だという。
確かに団地って、何か描ける。『団地』『海よりもまだ深く』『クロユリ団地』『中学生円山』などなど、団地を舞台にした作品は様々なジャンルを基に意外とある。
団地って、何か思い出が詰まってる。これは『海よりもまだ深く』のレビューに書いたと思うが…、私自身は団地に住んだ事無いが、その昔、祖父母が団地に住んでいて、日曜になると両親と共に会いに行っていた。近くに公園もあり、団地自体が格好の遊び場であり、団地は私の幼少期の思い出の一つになっている。
ノスタルジーを感じさせるだけなら、何も実写でいい。劇中でも触れられていた祖父との思い出とか、かつて住んでいたが今は取り壊しが決まった団地とか。
そこにアニメーションならではのファンタジーとジュブナイルを加味。
題材や設定だけなら、これはもう“当たり”!
夏休み。小学生の男子女子6人が、とある事から“おばけ団地”と呼ばれる団地へ。すると不思議な現象が起こり、大海原の異世界へ。ここは一体…?
この団地は航祐と夏芽がかつて住んでいた思い出の“家”。かつては姉弟のように仲良かったのに、航祐の祖父の死をきっかけに関係がギクシャクし、団地からも引っ越し…。訳ありの仲。
そんな団地に乗って、大海原を行く。冒険というより確かに漂流という言葉の方が合っているが、その風変わりな設定に童心ワクワク。
この団地にずっと居るという謎の少年・のっぽ。異世界で出会った謎めいた同世代は、ジュブナイル・ファンタジーの王道。
少年少女たちが織り成す友情、喧嘩、協力、淡い関係。出会いと別れ…。
団地漂流は快調なものだけではない。食糧調達、漂流団地だけではなく、“漂流学校”や“漂流デパート”の近接でピンチ。行く手を阻む嵐…。漂流ジャンル必須のサバイバル。
不思議な体験や危機を乗り越えて、少年少女たちは元の世界に戻れるか…?
一つのジュブナイル・ファンタジーとして悪くはない。
アニメーションならではの世界観や表現も活かされている。
が、難を感じたのは演出や脚本、キャラ描写、今一つ釈然としない描写などなどなど。
キャラにどうも感情移入や共感出来ない。
特に、夏芽。「大丈夫」と顔で笑うが、実際は大丈夫じゃない事ばかり。航祐との関係、クラスメイトとの関係、母親との関係。何もかも過去の思い出の中に残ったまま。
それが原因で時折皆を危機にさらす。団地が沈み始め、当初はイカダに乗り換えて避難しようとするも、残ると言い出したのっぽを見捨てられず、土壇場になって自分も残る思わぬ行動に。出会った友達を見捨てられない純粋な気持ちからかもしれないけど、それが原因で皆を危機に。迷惑な自分勝手少女に感じた。
航祐のキャラも焦点が定まらない。クラスメイトもステレオタイプ。令依菜なんて夏芽を邪険にし、人一倍ギャーギャーうるさい。
お決まりのように喧嘩して、仲直りして、また険悪になって、絆を深めての繰り返し。イライラすらした。
何か、何も学んでないと言うか、それでご都合主義のように友情物語を見せられても…。要は、キャラ一人一人に魅力が薄いのだ。
最たるは、のっぽ。掴み所が無い。人間でない事は展開していくにつれ分かるが…、正体は謎のまま。
終盤に登場した遊園地の少女も、そもそも漂流団地や大海原異世界も、謎のまま。
青い光や辿り着いた地も、“?”。
一応何となく予想は付くが…、のっぽや遊園地の少女は子供たちを見守ってきた存在の具現化。異世界大海原は現実と虚構の境。漂流団地は過去にしがみつく思い出のメタファー。最後の地は、別れ。
見る人に解釈を委ねているのかもしれないが、そんな知的なものは感じられず、丸投げ状態。
もうちょっとこの部分、しっくり来る理由付けが欲しかった。
だって見た後も拭い切れないこの不完全燃焼感。
う~ん…。
題材や設定はいいだけに、何か非常に残念。惜しい。
作品自体が漂流し、見ているこちらも漂流してしまったような…。
古い団地が2人の仲を取り戻した
唯一無二のAKAねちゃんの歌声を楽しみに鑑賞しました。
夏休みに航祐や夏芽達が、2人が以前、安爺と一緒に育った古い団地を冒険する物語です。
古い団地は突如、海に漂流することになります。
このアニメの素晴らしい所は、最初少年や少女の関係がギクシャクしていて、いがみ合っているんですが、この冒険を通して助け合うようになっていく所です。
のっぽという少年が出てくるのですが、夏芽や航祐をずっと見守っていた地縛霊か木の精霊なんでしょうね。
後半は命がけの冒険で、胸に迫るものがありました。
ずとまよの「消えてしまいそうです」が、スルメのように味わいがあって最高でした。
抽象的なアニメですが、大作で良作だと思います。
かもなく不可もなく、、?
好きなアーティストが主題歌だったので鑑賞!
個人的には好きだけど、最終的なテーマがなんだったのかなーって思う。
少し場当たり的に感じたりする部分もあったり、、んー、、
小説とかでもっと尺かけたら違う感想なのかなぁ、と。
まあ、楽しめはしました!
62/100
諸行無常に漂流団地
同スタジオ制作の「ペンギン・ハイウェイ」が好きだった私は、本作品にも興味が湧いて鑑賞した。ティザー等では子供達の絵柄もかわいいように観えたが、映画内容の対象年齢は明らかに高い。20代以上が対象だと思う。「子供がメインの夏の冒険ファンタジー」というテーマから信じられない奥深い考察が得られるのだが、この点が広報にて伝わっていないのが大変残念で、広報戦略として失敗だと思う。よって★4.5を付ける。
誰しも「忘れられない記憶」があると思うが、本作品ではその記憶を喚起する形見として「建物」が大きく採用されている。この点は長編アニメとしては初めての内容ではないかと思う。例えば「柱に身長を刻む」のは典型的で分かりやすいモチーフとなっている。
大切な人と関わる時、当然ではあるが、人は離別するのだから、その形見を残して手元に置きたいと思う。ここでその候補として「物」が挙がる。その1つが「団地」だ。「記憶が残るその瞬間(劇中では例えば夏芽と安じいが関わる時、など)」に「団地」は明らかに背景だが、鉄筋コンクリート造の無骨さら屈強さは、短期間には不変の物に見え、形見としても適当に思える。
しかし人が考える程、建物は強くない。のっぽくんの足から鉄筋が現れたり、髪が草に覆われたりするように、建物も我々と同じ時間尺度を生きている。現実、鉄筋コンクリート造(RC)建築の耐用年数が47年であるように、日本人の平均寿命よりも短命だ。更に、リフォームや再開発等を踏まえると、この年数を全うする(寿命を迎える)建物の方が少ないのではないか。建物としての熟成は「利用する人の世代との乖離」や「性能の遅れ」を呈する原因となる。すると、のっぽくんや観覧車の少女が若いことも説明が出来る。彼らは老いる(建物として機能不全を呈する)ことが出来ない存在なのだ。
脱線したが、こうした建物にアイデンティティを残す人に、この映画は現実を突き付ける。大切な人との思い出を失う事を恐れるのならば、建物は形見として必ず適当とは言えない(そもそも、団地は個人所有ではないのだから尚更だ)。そこで「カメラ」が出てくる、というストーリーに私は観えた。
私は懐古厨なので、この映画の終盤以降で涙が止まらなかった。大切な人との思い出を失いたくないならば、その形見は適切に選ばなければならない。しかし夏芽のように形見(の団地)を失うことも、今後に向き合うための良い経験の1つなのかもしれない、とも考えた。
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