劇場公開日 2022年11月25日

  • 予告編を見る

「鑑賞時期が違ったらもっと楽しめるかも」グリーン・ナイト 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5鑑賞時期が違ったらもっと楽しめるかも

2022年11月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

6世紀頃のブリテンの伝説的なアーサー王の甥サー・ガウェインを題材にした14世紀の叙事詩を原作として映画化。1925年にはJ・R・R・トールキンが現代英語に訳したこともよく知られるとか。アーサー王が歴史的に実在したかどうか諸説あることに関係があるのか、この「グリーン・ナイト」も古代ブリテンの騎士の冒険譚でありながら、魔術使い、霊的存在、巨人などファンタジー要素が色濃い。

映画化の企画が始動したのが2018年で、2020年春の公開を目指したそうだが、運悪くコロナの世界的流行とぶつかり、今年2月からロシアのウクライナ侵攻による資源不足や物価上昇などの影響、日本ではさらに歴史的な円安と、まさに日常生活が三重苦の状況で、果たしてこの現実離れしたダークファンタジーを楽しめる経済的・精神的余裕のある観客はどれほどいるだろう。もちろん映画に罪はないが、間の悪さは否めない。

英雄の旅の定型をなぞるストーリーを、撮影場所に選ばれたアイルランドの雄大な景色が盛り上げており、ファンタジーRPGなどのゲームの愛好家なら壮大で古風な雰囲気もある世界観に親しめるだろうか。

気になったことがもう一点。主演のデヴ・パテルは良い役者だと思うが、古代ブリテンの王の血縁者であるガウェイン役にインド系英国人のパテルを起用したのは、人種的多様性を目指す方向が見当外れで、行き過ぎたポリコレの実例になってはいないか。イギリスがインドを含む西アジアを植民地化していったのは18世紀末から19世紀にかけてであり、英国社会にインド系が移民として入っていったのもそれ以降のこと。架空の物語を題材にした創作物だからキャスティングも自由でいいという見方もあるかもしれないが、たとえるなら、平安時代の貴族社会を描いた『源氏物語』の実写化の企画で、主人公の光源氏役に金髪碧眼の白人かアフリカ系の黒人の俳優を起用するようなもの。いくら架空の物語だからといっても、時代劇として違和感を抱かせるキャスティングはいただけない。

高森 郁哉
Minoru Hosogaiさんのコメント
2022年11月26日

ポリコレ?? アーサー王の時代はアングロ・サクソン人じゃないですよ…

ローマ支配のケルト人ってイメージが強いので、フィクションに時代考察を上手く混ぜて、ラテン/ペルシャ/ケルトのどれとでも見えそうな、デヴ・パテルのキャスティングは不自然じゃないと思うのですが…
ある意味、チャーリー・ハナムの方が不自然な可能性が高いかもですw

Minoru Hosogai