劇場公開日 2021年10月8日

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「実際のところ、よくわからないのが、アメリカ人の《承認欲求》です」メインストリーム sarugakuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0実際のところ、よくわからないのが、アメリカ人の《承認欲求》です

2022年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ジャンルはSNS(動画配信)ものですが、ラブストーリーなとこもあります。

主人公フランキー(女性)ですが
偶然見つけた破天荒で得体の知れない男(リンク)にどんどん惹かれていきます
警官や警備員に取り押さえられるアナーキーな行動をしながらも
不思議な優しさと普通じゃないけど妙に説得力ある発言のリンクを好きになっていきます
物語前半は、フランキー視点でその過程がていねいに心情描写されていくので
たぶん女流監督だなと思ったら、なんとあのコッポラさんの孫娘でした

冒頭部で、「まだ小さな女の子で、《承認》と《愛》が必要なのか?」
「成長するために一歩踏み出す必要があるのか?」と、自らに問うフランキーですが
手品などを披露するさえないバー勤務という変化の乏しい日常生活を過ごしています
(そこの同僚が、彼女を静かに見守る恋人未満の男ジェイクで、つまり三角関係です)

リンクの才能を見抜いたフランキーは、ジェイクも含めた三人組で
成功と自己実現を目指し、YouTubeの世界に飛び込んでいくのですが、、、
瞬殺で人々の注目を集めていくリンクは、SNSの世界でスマホを否定する自己矛盾な男です
でも頭の回転は速く、シニカルな切り返しもうまいですし、おふざけディベートの達人です

しかし、その彼が成功とともに、キャラが変わっていきます
自らを偽る行為やSNSの偽善的なところや赤の他人からの承認を極端に嫌っていた男が
いつの間にか手段を選ばずSNS上のインフルエンサーを演じ切っています
実際は、物語はフランキー視点で続いているので、フランキーがそう思っただけで
リンク自体は、そもそもそういった性格で、何も変わってはいないのだという気もしました

本国の映画評では、「SNS批判に鋭く食い込んではいない」ですが
得体の知れない男を好きになる少女の心を持つ女性の恋愛過程のほうが
気にはなりましたし、そっちのほうが面白かったです
で、おじいちゃんのコッポラさんには、赤の他人からの承認欲求はあったのでしょうか
単純に、撮りたいものを異常とも言える執念で撮っていたような気もします

sarugaku