劇場公開日 2021年7月30日

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「「スーサイド・スクワッド」 の面々と安倍晋三/菅義偉ほぼ同一人物説、に衝撃を受ける一作」パンケーキを毒見する yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「スーサイド・スクワッド」 の面々と安倍晋三/菅義偉ほぼ同一人物説、に衝撃を受ける一作

2021年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

予告編ではサウスパークのパロディーのようなアニメが印象に残り、風刺を効かせたコメディータッチの映画なのかな、と思っていたら、背筋も凍るような政治ドキュメンタリーでした…。河村光庸監督の切り口、構成力も素晴らしいが、石破茂、江田憲司ら現役の政治家が語る言葉の破壊力がすごい。その中で、現在では自民党そのものを体現した人物のように捉えられている安倍前首相、菅首相は、もともとは自民党の主流派から外れた、いわば「あぶれ者」であって、同じような境遇にいた議員を取り込む形で大勢力となっていった、という説明には結構驚きました。「スーサイド・スクワッド」(もしくは『アウトレイジ』)そのまんま!

菅義偉は寒村の出身で、何の人脈も資金もないまま政治の世界に飛び込み、身一つで成り上がっていった人物とされています(この経歴自体が相当粉飾されていることが、作中でも明らかになるのですが)。政治家としての経歴を積む中で、機を見る感覚を研ぎ澄まし、安倍晋三を支える形で権力闘争を勝ち抜いていきます。だがどうもその権力基盤の源泉には、膨大な官房機密費があったのではないか、と河村監督は示唆しています。そして確固たる派閥の後ろ盾などを持たないために、現在盤石に見える権力基盤は意外に脆いのかも、とも。

国民の支持を失い、さらに自民党内の有力者からも突き放され、ほぼ死に体となった現政権の状況を鑑みると、既に本作が制作されていた時点で、崩壊の萌芽はあったんだなー、と実感しました。他でもない今の鑑賞体験は作中の内容と現在がリンクしている不思議な感覚をもたらすと思います。

またパンフレットは非常に品薄だそう。もし運良く在庫があれば、入手をおすすめします。

yui