「フィフス・ディメンションの"輝く星座"でヒートアップ」サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時) 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フィフス・ディメンションの"輝く星座"でヒートアップ

2021年8月28日
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鑑賞方法:試写会

興奮

ドキュメンタリー映画にもなった伝説のロック・フェス"ウッドストック"と同じ1969年の夏に、ニューヨーク、ハーレムでは黒人だけのライブ・イベント、"ハーレム・カルチュラル・フェスティバル"、人呼んで"黒いウッドストック"が開催されていた!?なんて、知らなかった人は多いはず。そして、その中身にはさらにビックリ。何しろ、ここに映し出される記録映像には、スティービー・ワンダーを始め、時代のアイコンたちが次々に登場して渾身のパフォーマンスを披露する様子はもちろん、彼らの演奏に興奮し、拍手喝采を送る人々のリアルな表情が映し出されるのだ。その画像の鮮明さに、まずは驚く。

世代によって興奮ポイントは異なるかも知れない。筆者のように、洋楽が日本のヒットチャートを席巻していた時代を知っている人は、フィフス・ディメンションが抜群のハーモニーを奏でる当時のNO.1ヒット"輝く星座"でヒートアップするに違いない。同曲は、同じ頃、ハーレムをAトレインで南に下ったブロードウェーで上演されていたロック・ミュージカル"ヘアー"の主題歌だったことが紹介されると、時代の空気感が一気に体全体を駆け巡るのだ。

そんな風に、観客各々の音楽体験を即行で呼び覚ます本作は、同時に、今のBLMムーブメントに繋がるブラック・カルチャーのルーツを探訪する機会でもある。しかし、1969年のハーレムで貧困と差別に怒る人々が、まさか、50年後の今、更なる分断に直面することになるなんて、想像していなかったと思う。知られざるブラック・フェスの存在は、アメリカ社会の現実を再認識させるという意味で、こうして半世紀後に発掘された意味があるのかも知れない。

清藤秀人
清藤秀人さんのコメント
2022年3月13日

ほほえみさん、ご指摘いただきありがとうございます。

清藤秀人
ほほえみさんのコメント
2022年3月13日

STEVIE WONDERのデビューは1963年です。いいかげんなレビューでこれからソウルミュージックを聴こうとしている人を幻惑させないでいただきたいです。

ほほえみ