浜の朝日の嘘つきどもと

劇場公開日:

浜の朝日の嘘つきどもと

解説

福島県南相馬に実在する映画館を舞台に、映画館の存続に奔走する女性の姿を描いたタナダユキ監督のオリジナル脚本を高畑充希主演で映画化。100年近くの間、地元住民の思い出を数多く育んできた福島県の映画館・朝日座。しかし、シネコン全盛の時代の流れには逆らえず、支配人の森田保造はサイレント映画をスクリーンに流しながら、ついに決意を固める。森田が一斗缶に放り込んだ35ミリフィルムに火を着けた瞬間、若い女性がその火に水をかけた。茂木莉子と名乗るその女性は、経営が傾いた朝日座を立て直すため、東京からやってきたという。しかし、朝日座はすでに閉館が決まっており、打つ手がない森田も閉館の意向を変えるつもりはないという。主人公・莉子役を高畑が演じるほか、大久保佳代子、柳家喬太郎らが顔をそろえる。本作と同じタナダユキ監督&高畑充希主演で、福島中央テレビ開局50周年記念作品として2020年10月に放送された同タイトルのテレビドラマ版の前日譚にあたる。

2021年製作/114分/G/日本
配給:ポニーキャニオン
劇場公開日:2021年9月10日

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(C)2021「浜の朝日と嘘つきどもと」製作委員会

映画レビュー

4.0柳家喬太郎を始めキャスティングの勝利

2024年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

先日、誘われて柳家喬太郎の高座に初めて足を運び、その話芸というか、演技力にすっかり魅了され、師匠が映画好きで俳優業にも挑戦しているという情報を得て、早速、配信で鑑賞。

冒頭、すでに廃業が決まった港町の映画館のスクリーンに、大好きな無声映画を映しながら、映写室の窓からそれを見守る館主役の喬太郎は、期待通り、そこはかとない憂いを帯びていて瞬間的に引き込まれてしまった。

しかし、映画はさらに奥が深かった。東日本大震災で被災し、映画館の形態も激変する中で、たとえ長年地元民の憩いの場所だったとはいえ、名画座を残すべきなのか、それとも、地域復興のために総合娯楽センターに建て替えるのが得策なのかという、究極の命題を突きつけてくるのだ。

そこで魅力満開なのが、映画愛は半端ないのだがプログラミングのセンスに問題がある館主の喬太郎や、高畑充希演じる主人公に名画座復興のミッションを託す同じく映画愛は半端ないが男選びに難がある高校教師役の大久保佳代子だったりする。

結論としてはキャスティングの勝利。折しも、アメリカのアカデミー賞には来る2026年からキャスティング部門が設けられることになった。

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清藤秀人

5.0文化は不要不急でも不謹慎でもない

2021年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画の舞台となっているのは、南相馬市にある朝日座という、かつて実在した映画館だ。今は営業していないのだが、建物はまだ残っている。震災の時にはすでに閉館していたが、震災直後、地域住民のために映画上映会を企画し、憩いの場として機能した。図書館も市民会館も稼働していない時期だったので、市民は娯楽に飢えていたのだ。震災当時、全国で娯楽活動を「不謹慎」と自粛させる空気が蔓延したが、被災者たちは水と食料、住居の他にも娯楽を必要としていたのだ。
2012年にここを訪ねたことがある。大正12年に建てられただけあって、大変に趣深い場所だった。映画館になる前は芝居小屋だったらしく、奈落や桟敷も残っていたのが印象的だった。落語家の柳家喬太郎をキャスティングしたくなる気持ちはよくわかる。実に建物と柳家喬太郎がマッチしていた。
コロナで全国の娯楽が不要不急と言われた。しかし、震災の時に映画という娯楽は被災者に「必要」とされた。それを象徴する場所で、コロナ禍での娯楽の大切さを問う映画を作るという発想が素晴らしい。「この映画を作ってくれてありがとう」と言いたい。

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杉本穂高

3.5大久保さんの存在がまるで映画館のよう

2021年9月13日
PCから投稿

映画にまつわる映画を作るという高いハードルに、本作は多少がむしゃらなフォームで挑もうとする。まずその姿勢に敬意を払いたくなるし、映画が人生にもたらす影響について改めて気づかせてくれる点も含めて、こういった作品に親しみを覚える自分がいる。正直言うと、構成上、スッキリしない部分もたくさんあるのだけれど、誰もが答えのない答えを手探りする現状で、「スッキリする構成」にどれほどの価値があるのかと。一方、嬉しい誤算もあった。それは、映画館がいちばんの要になってしかるべき本作で、大久保さんが全てをかっさらっていくところ。演技力が高いというよりは、普段からTVでよく見る大久保さんそのものの面白さと器の大きさが全てをアリにしてしまう。笑って泣いて、どうしようもなくて、それでも自分が不安に苛まれた時に「大丈夫」と背中を押してくれる存在。それは映画や映画館が持つ力でもある。両者の尊さが面白いほど重なって見えた。

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牛津厚信

4.0映画を愛する全ての人たちへギフトのような作品

2021年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

福島県南相馬に実在する映画館を舞台に、映画館の存続に奔走する女性の姿を描いたタナダユキ監督作。映画業界のみならず、映像業界で働く、いや、映画を愛する全ての人たちへのギフトのような作品。今の世の中、映画業界に対する愛ある言葉をセリフとしてちりばめ、高畑充希と大久保佳代子がぴったりと作品に寄り添うことで抜群の説得力をもたらしている。ウルっとくる場面と同じくらい、失笑・苦笑・爆笑ポイントもあり、タナダ監督のオリジナル脚本の秀逸さが際立つ。ひとりでも多くの観客に届くことを願ってやまない作品。

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大塚史貴