劇場公開日 2020年12月18日

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「一見淡泊だが噛むほどに滋味豊かなシニア夫婦の再出発ドラマ」声優夫婦の甘くない生活 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0一見淡泊だが噛むほどに滋味豊かなシニア夫婦の再出発ドラマ

2020年12月18日
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鑑賞方法:試写会

楽しい

幸せ

ソ連崩壊期の90年代以降、大勢のユダヤ人がイスラエルに移住し人口の2割を占めたという史実に驚く。ロシア語とヘブライ語は当然別の言語で、国民の5人に1人が一時的とはいえ言葉がろくに通じない移民になった計算だ。監督と共同脚本の2人の親世代の体験に基づいた物語だという。主人公夫婦の職業が声優ということもあり、言葉によるコミュニケーションが話の鍵であり、映画愛もたっぷり詰まっている。

インテリでも話せなければ真っ当な職に就けず、夫が得たのはチラシ貼りの仕事。外回りの先で見つけた海賊ビデオ店で、違法の吹き替えをすることに。妻はロシア移民男性相手のテレフォンセックスのオペレーターに。若いセクシーな女を演じ、相手によって巧みに声色を使い分けて客を魅了し、ロマンスの気配も…。ままならぬ再出発、積年の不満も爆発して危機を迎えるシニア夫婦だが、とぼけた笑いと穏やかなペーソスでしみじみと楽しませてくれる。

高森 郁哉