劇場公開日 2021年8月20日

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「かの名曲との相性がもはや神がかり的」Summer of 85 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0かの名曲との相性がもはや神がかり的

2021年8月30日
PCから投稿

この映画について話すと、よく「オゾン作品の中でいちばん好き」という声が聞かれる。かく言う私も同意見で、いちばんかどうかは別としても、本当に幅広い人に愛される映画なのだなと実感する。オゾン自身が17歳の頃に出会い、大いに感化されたエイダン・チェンバーズの原作小説をもとにしつつ、本作にもう一つの魂を与えたのは明らかにザ・キュアーの名曲の存在だろう。イントロがもたらす颯爽としたイメージと高揚感は今聴いても神がかり的だが、ここで謳われる歌詞がジャストではなくとも映画の主人公たちの別れや破局の心境をいささか代弁しているかのようにも聞こえるのは本当に不思議だ。80年代の空気と潮風の香りにどっぷりと浸かり、生涯忘れえぬ瑞々しいひと夏の恋が繰り広げられ、唐突に訪れる試練の渦中でいつしか「書く」ことの重要性に目覚める主人公。その姿がまた感動的。どれだけ時代が変わろうとも、この物語の尊さと普遍性は変わらない。

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牛津厚信