劇場公開日 2020年7月3日

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アングスト 不安のレビュー・感想・評価

全57件中、21~40件目を表示

4.5フランクフルト食いたい

2020年9月9日
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鑑賞方法:映画館

いつか忘れたが昔にイギリスかどっかで公開されてあまりの凄惨さに上映1週間で中止になった作品


・カメラワークが素晴らしい
一人称になったり三人称になったりと思ったら引きの画になったり かなり引き込まれた
中でもお気に入りは主人公が刑期を終えて保釈されるという時に刑務官と一緒に歩くシーン
撮り方がなんというか蟻視点

・音、音楽が心地よい
前半の主人公が歩いている時の靴の音が心地良すぎる 鳥が羽ばたく音もまるで自分の近くにいるような感じ
音楽も不気味だがずっと聴いてられる
タイトル通り不安になるはずなのになぜか心地良い気持ちになる自分に不安になる


・殺害シーンは予想よりマイルド
罪のない一般人が次々と殺されていくのは見るに耐えないが、思っていたより刺激は強くない
しかし、主人公の言動に関しては恐ろしくなる
残虐シーン序盤の興奮しすぎてフラフラになりながら被害者の両手足を無理矢理縛るシーンには恐怖を感じる
テキパキやらないのが逆に怖さを増している
「人を殺す」という恐ろしいことをしているのに、前半はそっちのけで自分の幼少期のトラウマのことばかりが頭の中を駆け巡るのも、こういう凶悪な犯罪者を上手く表現していると思った
また、殺し終わったあとにアドレナリンが出まくって震えるシーンは恐怖を通り越して気持ち悪さを感じた
暴力的というより精神的な恐怖の方が強い

役者の演技力も後押ししてかすごいリアルだった
正直、カメラワークと音が良すぎて何回でも見れる映画だ

この内容でしかもコロナにも関わらず席は結構埋まってた
終わった後口を押さえて気持ち悪そうにしていた女性もいたからあまり人にオススメする映画ではない


・結論
犬、すごい



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村井

2.5何年か後にまた見たい

2020年9月6日
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鑑賞方法:映画館

37年前の映画だからだろうか、めっちゃ不快な映画と前情報が多かった分期待外れ。
女性はきれいな人が多い、二度と見ないだろう。ソーセジ食うシーンが気持ち悪い。感情移入宇できなかった

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なまムギ雄

1.0クソ

2020年9月2日
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時間の無駄。殺人の描写もクソ。ダラダラしすぎ。主人公が馬鹿すぎてイライラする。

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antiiiii

3.0殺風景な街と異常性や狂気はオーストリア印

2020年8月31日
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1983年映画なので、当然フィルムで撮影された映画であり、40年弱の時をえて、お披露目されるにあたりデジタルリマスタリングされているはず。

それでも、映像は全編薄ぼやけたくすんだ粗い感じで、この映画の舞台であるオーストリアの小都市は一面曇りの風景。

街の建物はどこも同じような形と色で古くさびれている。

殺人鬼の主人公がガソリンスタンドでありつく料理はソーセージにマスタードだけ。ドイツやオーストリアの軽食はこんな感じなんだろうが、殺風景な天気と街並みに次いで、食事も味気なく、なんの楽しみもなさそうなオーストリアの街。

さすが、オーストリア。作家トーマス・ベルンハルトを生んだ国。トーマス・ベルンハルトという作家は生まれ育った街(ザルツブルグ)、そこでの生活や文化、家族やそこに住む人について、死ぬほどつまらなく感じ、相当嫌っていて、そのつまらなさについて、ひたすら愚痴と呪いで語り続けた作家である。トーマス・ベルンハルトがなぜそんなに愚痴り呪い続けたか、この映画の曇り空の殺風景な街を観て少しわかるような気がした。

あるいは、オーストリア映画といえば、ミヒャエル・ハネケ。人間の異常な暴力性をしつこく描く作風で有名だが、映画であれ、小説であれ、オーストリアといえば異常性や狂気を売りにするところであり、それは、もはや定番であることが、ベルンハルト、ハネケ、そしてこの映画でみえてくる。

なぜこの映画の主人公が狂っているのか?それは、オーストリア映画だからというのが一つの答えになると思う。

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屠殺100%

3.5終始落ち着かない

2020年8月31日
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Twitterで記事が流れてきたので拝見!
噂通りドローン撮影が無かった時代の作品とは
到底思えないカメラワーク!
イメージではファニーゲーム的な
話なのかなと思っていたけど
もっと静かにもっと不安で
もっともっと現実感を持った狂気だった!

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なみちゃん

3.0昔よく観た再現フィルムの様な

2020年8月25日
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鑑賞方法:映画館

この程度の作品ならイタリア映画等に良くあり普通に83年頃なら地上波で放送されてたしウィークエンダーの様な番組の再現フィルムによくあった 今の時代に一本立てなら物足りない距離だが

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ゆたぼー

4.5撃ちますよ。

2020年8月24日
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鑑賞方法:映画館

粗挽き肉ぎっしり、肉汁たっぷり、マスタードでっぷり、フランクフルトはうまいのだ。
腸皮にミンチ肉を詰めるというグロテスクさがまず良いし、ミンチ肉だからなんの肉が入ってるかわからないところにもときめく。
人差し指くらいの大きさで皮が弾けるジューシーなウィンナーも良いけれど、太くて長くて皮の硬そうなフランクフルトはやっぱり特別なのだ。

この映画を観た後にフランクフルトを食べたら異常に美味くてドキドキしたので、まずはフランクフルトについて語ってみた。
輸入食材屋さんで売ってる、読めない言葉が書いてあるパッケージの、やたら高いやつ。やたらうまいのよね。

殺人鬼目線の映画は、殺人犯自身がドジでグズで計画性に欠けているほど、魅力的で恐ろしく観られる。
そこに自覚がなければ尚更のこと。
スマートにやっているつもり、クレバーに動いてあるつもりなんだよね。

「緻密で完璧な計画」なんてズタボロなのにドヤドヤ大満足できているのに笑えて、カクカクした動きで常にドタバタしているのに笑えて、なぜか懐くダックスフンドに笑える。
笑えるのに、震えるほど気味が悪い。
不安定な言動には異常性が付き纏い、興味深くて目が離せない。

ダイナーにて、獲物を定めるような気持ち悪いガン見と気持ち悪い咀嚼が好き。
血をゴクゴク飲んでゲボゲボ吐いてしまうアホさ、前のめりになる興奮と欲望の暴走加減が好き。
殺される立場なら絶対にやられたくないけれど、殺しを観ている立場からしたら絶対にやってほしいことのオンパレード。

どぎついカメラワークに驚愕。
息遣いや汗ばむ湿気すら感じられるほど近づいてみたり、流れるように天に昇り全てを見下ろしてみたり。
作中の出来事と共に演出にも酔いしれることができた。

つまづいてアタフタしているシーンも丁寧に見せてくるので、苛つくところも多々ある。
終盤だって本当はもっともっと頑張ってめちゃくちゃにやっちまって欲しかった。
ただ、その中途半端加減やテンポの悪さも不気味さを増幅する効果になっているんだと思う。

全体的にアンバランスな映画で、それが気持ち悪くて気持ち良い、好きな作品だった。
血を飲むときは一気飲みじゃなくて少しずつ、ワインを嗜むように飲むのが良いのよね。

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KinA

3.0宣伝力かなー。

2020年8月21日
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行動と独白が解離しすぎて、滑稽で笑える。
似たようなハウス・ジャック・ビルドの方が不快な映画なのに、客層が全然違ってた。というよりもハウス…の方は誰もお客さんがいなかったんだけど宣伝の差かなー。江戸木純が関わっているので成る程と思いました。

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トミー

3.5誰もがシリアルキラーになる可能性がある

2020年8月21日
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鑑賞方法:映画館

怖い

 殺人鬼のモノローグで全体を纏めるという前代未聞の作品だ。カメラワークにはのっけから驚かされた。中盤ではドローンを使ったのかと思わせる俯瞰が登場する。とても37年も前の映画とは思えない。誰かがスマートフォンを取り出すシーンを入れれば即座に最近の映画として通用するだろう。
 やみつきという言葉がある。病みつきとも書くのである種の精神の異常なのかもしれない。食品などの好みによく使われる言葉で、例えばパクチー(香菜)などの特別な匂いのする野菜は、嫌う人も多いが、最初は嫌いだったが食べているうちに好きになって、今ではやみつきになったということもある。当方もその一人だ。
 本作品の主人公にはまったく感情移入できないが、もしかしたらパクチーと同じように、人を傷つけたり殺したりする行為は慣れていくうちに快感になるのかもしれないとは思う。頻繁に人を殴る人間を知っているが、とても嬉しそうに殴っている。殴ることに慣れると殴らないではいられなくなるのだろう。
 日中戦争では関東軍の将校が百人斬りを争ったという話がある。当時の東京日日新聞に105人対106人などと書かれていて、さも快挙であるかのように喧伝されている。当時の日本が国全体で本作品の主人公と同じ精神性であったのだとすれば空恐ろしい。普通の平凡な人間でも、ある日突然シリアルキラーにならないとは限らない。それが国家単位で行なわれれば即ち戦争である。
 描写はリアルである。主人公は至って普通の腕力の持ち主であり、それが人を殺せるのはひとえに精神の力である。殺せる人と殺せない人の間には深い溝があると思っていたが、慣れれば意外にすんなり飛び越せる溝なのだろう。誰もが主人公のようになる可能性があるのだ。とても怖くて不気味な作品であった。

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耶馬英彦

4.0実録シリアルキラー

2020年8月15日
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鑑賞方法:映画館

オーストリアの殺人鬼を基にした実録シリアルキラー映画。刑務所を出所した狂人の行動には唖然とするばかりでスクリーンに引き込まれた。
序盤の精神鑑定レポートのナレーションも非常に効果的。主人公の精神が歪んでしまった原因が安易に想像出来て分かり易かった。ラストも上手く纏められていて満足度も高い。
2020-143

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隣組

4.0ぜんぜん退屈じゃない

2020年8月15日
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退屈でも冗長でもありませんでした

ずーっと惹きつけられて、あっという間に終わってしまいました

暗ーーいヨーロッパの雰囲気がハマったせいかもしれませんし、個性的でワクワクさせるカメラワークのせいかもしれません

冒頭、神経質そうな男が靴音を響かせて歩き回るシーンで「あ、これは当たりの映画だ」と感じ、暗く冷たい世界観に気持ちよく浸っていると、どんどん不穏で破茶滅茶なことになっていって、なんとも落ち着かない気持ちに

あーーー!何するのーーー!?
何何何何?!?!
えー……もっと、こうさぁ…………
は〜〜
何なの????

頭の中はパニックでした

展開のグダグタなところがまたリアルで、とても面白かったです

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なみこ

3.5タイトルなし

2020年8月10日
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鑑賞方法:映画館

上映開始が21時25分のレイトショーでしたがシネマート新宿に20代の若者が大勢観に来ていて、普段と違うシネマートの雰囲気にちょっとビックリ。
そしてシネマートさんの本作品への熱量が凄い。ロビーにアングストコーナが出来上がっていて、何故か“入れ歯”があり、??だったんですが、観終えて納得。最近こちらに行ったときは風呂まで出来ていて、劇中に登場するあのワンちゃんのTシャツまで販売してる🐶
コロナの影響を色々なアイディアでカバーしようとされているんだろうなぁ。(最近のシネコンでの韓国作品の上映権の絡みもあるのかな、、)
実際の殺人事件のお話しで、約40年も劇場公開を封印されていたという曰く付きの本作。
殺人犯を演じるアーウィン・レダーさんの演技というか表情が凄い。大きな目と大きな口元。不安を抱えながら、その不安を解消するためにおよぶ行為と表情が相まって狂気さを増す。。なんですが、行き当たりばったりで及ぶそのやり口は稚拙としか言いようがなくて、終演後の明るくなった劇場内で若い人達が話していた「シャワーくらい、あびろよ」の一言に集約されている気が、、
作品としては、撮影技術がとにかく凄く、主人公の狂った感覚を追体験するかのようなカメラワーク、引きからみせてゆく風景や俯瞰した映像にはひきつけられました。
個人的には、劇中で使用されていた事の起きる家に、池や地下みたいなところに通じる道も敷地内にあって、その構造にものすごく興味が沸きました。
噂ほどの衝撃はあまり無かったですけど、作品の雰囲気はキライではなかったです。。

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とみまる

3.0触れ込みほどでは

kさん
2020年8月9日
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カメラワークが真下や真上からなど空間を感じる表現が多かったと思います。
引きの構図、同じシーンの長回しが多く記録映画みたいでした。
ナレーション風の独白はありきたりな言い回しが多く、一般人には理解し得ない殺人者の狂気のようなものは感じませんでした。(翻訳の限界かもしれませんが...)
主人公があまりにも体力も計画性もないため現実の殺人の現場はこんなに泥臭いのかもしれないとも想像しました。
とはいえ悪魔の生け贄やハウスジャックビルトを押さえ、残酷なシリアルキラーものNo.1という評価はあまり腑に落ちないです。

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k

4.0不穏

2020年8月6日
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カメラワークや音楽が不穏で見入ってしまう

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うんこたれぞう

4.0見なければよかったと思った理由

2020年8月4日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

映画が終わってまず思ったのは見なければよかったということだった。映画を見てそう思うこともなかなかない。なぜそう思ったのか考えてみた。

被害者をナイフでめった刺しにして、主人公も血まみれになるシーンはもちろん正視しにくいし、被害者の不気味に白い顔は何度も見たくない。
ほかにも水音、足音、不穏な音楽など、不快な要素は多いが、なにより不快なことの一つは、倫理的な葛藤を全く感じていない主人公が、異常な連続殺人を犯してしまう発想を理解できてしまうことであろう。
子供のころから置かれてきた環境が主人公の内にサディズムの種をまき、育ててしまった。自分を虐げ、自分の中に狂気を育てた者への復讐であり、その狂気の発露としての連続殺人である。

もう一つは、報われない連続殺人に主人公が必死で取り組んで、当然の帰結として報われないことである。
言うまでもなく殺人は報われるべきものでないが、主人公は血みどろになり汗だくになり右往左往して、おかしな表現であるが、一生懸命殺人に取り組んで、ほどなく捕まってしまう。その報われなさは我々の(私の)人生の報われなさを思わせる。

このように書いてみたが、しかし、感じたことを十分に書けた気がしない。よくまあどう思えばよいのかわからない映画を作ったものだと思う。

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惑星

3.5影響与えたことはわかる

2020年8月4日
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影響された作品を見ているから。以上。
そっけない良さはある。

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ONI

5.0これは凄い。

2020年8月1日
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鑑賞方法:映画館

まさに映画での表現にぴったりかな。
音声とカメラワークが凄い。
不快な感じの音声がずっと鳴らされて、カメラもずっと揺れてて、ドローンもない時代にあの撮影はすごい。こだわりを感じるね。
爽快感とか感動とかは全くないけど、凄い映画でした。

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khapphom

2.080年代に観たら衝撃を受けたかも

2020年7月25日
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鑑賞方法:映画館

オーストリアで実際に起こった一家惨殺事件を1983年に映画化したものを日本初上映。37年前に作られたものであるということかポイント。
シリアルキラーの話はかなり映像化されているので、今観ると怖さやおぞましさを感じるわけでなく、目を背けたくなるような殺害シーンにもなってない。そりゃそうだ。
少し変わっているのが殺人者側の視点で語られるところ。計画を立てたとか絶対に捕まらないといいつつ、いきあたりばったりで緻密さのかけらもない殺しのシーンに苦笑してしまった。
唯一おっ!と思ったのがカメラアングル。冒頭から主人公の周りを撮影してるかのようなカメラワークだったり、ドローンがない時代にどう撮影したんだろ?と思うような俯瞰のアングルだったり。そんなのが印象に残るような映画だった。

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kenshuchu

3.5ミニチュアダックスフンドの魅力

2020年7月24日
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めちゃくちゃ気味悪いポスターに惹かれ、そして予告の「犬は無事です」バージョンを見て安心して(?)観に行きました。
シリアルキラー主観で展開される全くのいきあたりばったりに見られる犯行と「完璧な計画」「俺はついてる」「興奮する」とめちゃくちゃポジティブな思考のミスマッチさがまさに観ていてアングスト(不安)です。
検証映像の調書と本人の認識のズレも薄気味悪さがありますが。

とにかく犬がとてもかわいい。
ミニチュアダックスフンドにさほど興味ありませんでしたがこの映画を観てとても好きになりました。
ワングスト、おすすめです。

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モ-ts

2.5「37年前」では早過ぎたが、「37年後」は遅過ぎた……

2020年7月22日
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鑑賞方法:映画館

怖い

単純

話題になっていたのでいくつかのサイトで下調べをした上で鑑賞。

総じて「あまりハードルを上げないほうがいい」という評価が目に留まりやすかったのでそのつもりで見ました。

本当にその通りでした……

一言で言うと、「"シリアルキラー""サイコパス"という言葉が知られた現代(の日本)だから公開できたが、それゆえに驚きがなかった」です。

まずこの映画の特徴の一つである主人公ヴェルナーの異常性。
確かに「理解できない行動をとる恐ろしい人間」ではあるのですが、彼が劇中ほとんど喋らない代わりにナレーションとモノローグで彼の異常性と心情……つまり「行動原理」を説明してしまいます。

しかも彼が行動を起こしたり次の場面に切り替わる前に全て説明し切ってしまう事も多く、彼の「異常性」「理解不能な行動」の持つ躍動感や緊迫感を著しく削いでいます。
(しかも長々と説明されるので、字幕で見ている事もあって余計に映像に集中できない)

どちらかというとヴェルナーの「間抜けさ」「詰めの甘さ」が目立って見えるのですが、繰り返し「彼の綿密な計画は…」とか「今回は綿密に計画を立てて…」と説明してくるので非常にこの映画自体が滑稽に見えてしまいます。

そしてもう一つの特徴である「カメラワーク」。
コレにはいいところもありましたが、「良くないなぁ…」と思える所も少しありました。

基本的には「ヴェルナーの心情と言動、視点」を映し出すように撮影されていて、彼の興奮や不安を表現しているように感じました。
また、彼の性癖や異常性を際立たせるようなアングルも多く、物語にプラスに働いていた要素でしょう。

また、その他にも彼に狙われた人物が襲われるシーンなどでは、「被害者の主観視点⇄加害者の主観視点」の切り替えや、追いかけている・追われている時の顔のドアップなどは極限状態の心情が伝わって良かったです。
(本作の製作時点ではいざ知らず、40年近く経った今ではそのカメラワークがブラッシュアップされた作品がいくつもある、というのは度外視しています)

ただ、「生々しさ」を伝える為か、あまり劇中内の時間が飛ばず、ヴェルナーが丸一日に体験した事の殆どを目の当たりにします。
彼の、そして物語のテンションがピークに達し、そこだけ一気に時間が飛んで、極端にトーンダウンした後の「事後処理」は前述のモノローグで全て説明する上に同じ事の繰り返しが多いので、特に遺体を運び出すシーンはとにかく退屈でした。
ここは「省略してもいいんじゃないか?」と考えてしまう要素がいくつかあって残念でした。

また演出や演技もチープな部分が目立ってしまいました。
主演のアーウィン・レダーさんはそこに「殺人鬼がいる」と思わせてくれる程際立っており、彼の間抜けにも思える凡ミスも「突然始まった」が故の高揚感と焦燥感の入り混じった心情描写に思えて鬼気迫るものがありました。

しかしその他の役者さん達の演技は日本のバラエティの再現VTRよりも酷いんじゃないかというほど表情の変わらない演技、そしてそれを写す顔のドアップ。
特に襲われた一家の人達の演技は「こ、殺される…!」という部分の直前まで無表情だったり棒立ちだったりと気の抜けたシーンになってる事が多かったです。

40年近くも前に撮られた映画にアレコレ言うのも野暮だとは思いますが、映画としての完成度は置いといて、せめてもう15年日本での公開が早ければ、文字通り「衝撃の話題作」になれたかもしれません。
現在の「多様性」という言葉と、そこに潜む危険性が認知された今では、「シリアルキラー」としても弱く、また「カメラワーク」も斬新ではなくなっているというのが、非常に惜しい作品なんじゃないでしょうか?
(まあ、世の中がこの映画より前に進んでいることを実感できた、という意味では個人的に見て良かった作品だとは思いました)

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しーぷまん