劇場公開日 2020年7月10日

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「文化を守る、その意義を伝えてくれた」マルモイ ことばあつめ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0文化を守る、その意義を伝えてくれた

2020年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

言語とは文化の土台であり、最も基本的なものだ。存在するのが当たり前すぎて、忘れがちになるが、言葉もまた誰かが守らないとなくなってしまうようなものなのだ。この映画で描かれたように占領統治の政策で危機に陥ることもあれば、地方の方言のように徐々に標準語に侵食されていくことでなくなる場合、民族自体が少数となり使える人間がほとんどいなくなってしまうなど、様々な理由がある。
どの民族にも固有の表現があり、物語がある。土台である言語がなくなれば、それらはほとんど全て消えてしまう。この映画が描いた言語を守るという行為は、その民族の全ての文化を守ることだ。
映画館の使われ方がとても印象的だ。映画というのは、戦前・戦中・戦後も色々な国でプロパガンダとして使われたメディアだ。日本も例外ではない。その映画館で密かに辞書編集の大会議を開き、言語を守る戦いをしていたというのはなかなか皮肉が効いている。国や人種、民族の違いを超えて、文化を大事にする人々との連帯を大切にしたいと思った。

杉本穂高