劇場公開日 2021年2月5日

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「僕はこの「寸止め感」はWELCOMEです。」ディエゴ・マラドーナ 二つの顔 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0僕はこの「寸止め感」はWELCOMEです。

2021年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

サッカー好き(観る方)、マラドーナのプレーには魅了されるけどファンというほどではない、けど観ないわけには行かないドキュメンタリー。ってことで鑑賞。

題名のディエゴとマラドーナの間の線、フォントの違い、色違いはそー言うことですよね。
非常にわかりやすく構成されている作品です。二つの顔、確かにね。確かに光と影がありますよね。
この作品からは、稀有な存在であったディエゴ・マラドーナへの敬意しか感じませんでした。

ある時期に焦点を合わせて描くことにより、非常に濃密なドキュメンタリーとなったと思います。
今まで聞いたこともないような本人肉声や関係者の話、見たことがないような写真や映像。それらがマラドーナの人生を深掘りしていき、ストーリーを浮き彫りにしていきます。
マラドーナが「神」になった期間に焦点を当てているからこそドラマティックになっていると思います。そりゃぁ神様扱いされるよなぁってすっごく納得します。
大体知っているけど、細かなことを知らないマラドーナの入門編にもってこいの作品です。

マラドーナの人生のドキュメンタリーですが、イタリア サッカー文化の凄まじさ、熱さをバシバシ感じることができます。ナポリのスタジアムに初めてマラドーナが来た時の熱狂は凄まじいです。ピッチに行くまでの映像、ピッチに立った時の映像が使われていますがすごいです。
映像見ただけで、僕は押し潰されそうになりました。ただごとじゃないです。なんとおそるべき世界に、境地にいたのか、と驚きます。このプレッシャーに彼はどう太刀無方のだろうか?なぁんて考えちゃいました。彼を取り巻くサッカー文化の環境というところも観れますから非常に興味深いです。

マラドーナのフィジカルトレーナーのセリフが全てを物語っていました。
けど、そうならざるをえなかったのでは?とも思います。
ディエゴ・マラドーナは神様じゃなくって人間ですから。
15歳で家族の大黒柱になった男が、中身そのままで大人になって、大好きなサッカーやって稼いでたら、いつのまにか神様扱いに。。。どんどん辛い表情が増えていく映像を観ていると辛くなってきます。そりゃ、バランスとれなくなるよなって、やったことはよくないけど同情します。
その辺りはぜひ劇場で観て欲しいなぁて思います。

本作は前述したように「ある期間」に焦点を当ててます。マラドーナの人生の約6分の1の期間です。
選手時期の晩年、人生の晩年のマラドーナの醜聞は沢山あります。そこを描いてこその「ディエゴ・マラドーナ」という作品なのかもしれませんが、僕は「ディエゴ(と)マラドーナ」が生まれた時期を描いた作品だからこそ大きな意味があると思いますし、最高の光と影の始まりを作品としてまとめた本作は素晴らしいと、とても意味がある作品だと思います。

秀作ドキュメンタリーです。

バリカタ