劇場公開日 2020年11月6日

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おらおらでひとりいぐものレビュー・感想・評価

全104件中、61~80件目を表示

3.0若い人にこそ観て欲しい作品

2020年11月16日
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都会に一人で暮らすお婆ちゃんの物語。ずっと寂しい生活をしているけど、人は一人では生きていけない。誰かと関わり、求め、求め合う。そうやってこれからも生きていく。今の日本は高齢化社会。10年後、20年後には超高齢化社会。今は働き手がまだ多いけど、この先の日本はどうなるんだろう。年金問題の事も含め、今は支えてくれる人がいる。でも、いつまで続くのかな?この作品を観てこの先の日本の将来が末恐ろしいものでないよう、人として支え、支え合って生きていきたいと思いました。

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エージ

5.0ギャップが凄い

2020年11月16日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

標準語と東北弁の
ギャップが面白いな。
なんだかんだで、
楽しく寂しく生きてる婆さん。
なるほどなぁと感じた。
なにより、
田中裕子さんが、
いろいろ可愛くオチャメに見えた。

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トラベラーおっさん

3.5一人暮らしの愉しみ方

2020年11月15日
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鑑賞方法:映画館

原作は未読です。「おら、おらで、ひとり、いぐも」(行く?生く?どっちだろう)という言葉から受けた印象は、ある種の決意表明みたいなものでした。もちろん、人生の終盤に差し掛かった人なので、意気込みというよりはもっと自然体でスマートなイメージでしたが。でも内容的には、「桃子さんの世界」とか、「桃子さんの愉しい独居生活」といった感じです。

75歳の桃子さんは、3年前に夫に先立たれた寂しさがありますが、「夫が解放してくれた」と思うようにしてます。ある時、心の中の声らしきものが、3人のおっさんの姿となって現れます。気分が晴れない朝は、別のおっさんが・・・おっさんについては、なるほどと思いました。桃子さんはサバサバした所があり、イメージ的には男性なのかな。しかも年を取って図々しく(?)なるのか、人の良いお巡りさんをおだてて木の枝を切らせたり、ゴキブリを平気で叩き潰せたりが出来るようになりました。オレオレ詐欺には本当に遭ったのかなあ。ちょっとわかりません。体が言うことを聞かない分、妄想はどんどん膨らみ、生命の起源まで飛び越えます。

田中裕子さんは歩き方が綺麗で(腰が悪い設定なんだけど)、若々しいですが、日課(?)の湿布貼りのシーンは、樹木希林さんみたいでした(笑)蒼井優さんはめんごいごど!
それと、おにぎり。桃子さんが握るおにぎりは、形も、サイズ感も、まさしく東北のおにぎりでした。

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ゆり。

3.5田舎の母親

2020年11月14日
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この作品を見ると、田舎で一人暮らしの母親が心配になります。大事にしないとと改めて思いました。いくつの設定かわかりませんが、田中裕子さんは若いですね。

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ごっとん

3.5ドキュメント女ののど自慢

2020年11月13日
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鑑賞方法:映画館

笑える

寝られる

孤独死を覚悟したばっちゃんの映画だと思ってました。おらおらでひどり逝ぐもだと思ったのです。まだまだ元気でよかったです。
木曜日のレイトショー。173席のスクリーンにおらひとりだけ。
おらおらでひとりで観るもん状態。
寂しい。
はぁ~
冒頭から恐竜のCGが写しだされた。
まだコマーシャルだべか。
じぇじぇじぇ おらみる映画さまづがえたんべか ボケたぁ~ やんだ~

あれから50年。
あの頃はゴキブリ一匹であんなに盛り上がれました。
あれから50年。
今は鬼の形相で、跡形なきまで叩けます。
旦那が死んで、3年。
お見合い婚約破棄し、おらこんな村イヤだ~と東京に出たども、住み込みの蕎麦屋、居酒屋、定食屋を流れ流れて、ふるさとの訛り懐かしさに勢いで結婚。気が付けば所沢の一軒家でひとり。長男はほぼ音信不通。嫁いだ娘も孫娘連れて来なさるが、金策目当ての親孝行。オレオレ詐欺にひっかかり、250万水の泡。「遠くの子供より近くのホンダ」は いざというとき役立たず。
病院で待つこと三時間、診療は30秒の日高桃子さんが歌います。

六角精二(どうせ)のメイク。吉幾三?ブラザーTOM?
周造が死んだのはおらがひとりで好きなことができるようにしてくれたんだと言うが、なんだか寂しい。
好きよ~あなだ~、今でも、今でも~とは歌わない。何あれ?鶯谷ミュージックホールのような懐かしのグランドキャバレーのセット。女ののど自慢だったら、夏木ゆたか見たかったなぁ❗

主婦をおちょくる寂しさ1号、2号、3号。うるさいよ。

息子の同級生の親切なお巡りさん(黒田大輔)。どっかで見たど。テレビ東京の深夜番組のフルーツ宅急便で見だ。濱田岳がデリヘルの店長役。おもすろがった~。

大正琴は郊外のブックオフ(HARDOFF)に山積み状態。新聞の通信販売欄によく出てた~買った人たくさんいだんだ。大正琴は悲しくなるなぁ。ばっちゃんすんだら趣味の遺品は売られですまうんだなや~ 悲しいなぁ~

体が動くうちが人間華ですね。
おらおらでひとりいぐも応援します。

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カールⅢ世

3.0想像、思い出、独り言を映像化

2020年11月12日
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鑑賞方法:映画館

出だしの制作会社のロゴムービーが長いなと思っていると、実は本編に入っていて、映画を間違ってしまったかと思ったほど。
年老いた主人公の頭に浮かぶ想像、思い出、そして独り言を映像化しているシュールで不思議な作品。
幼い頃の出来事、祖母の思い出、故郷を捨てての上京、愛する人との出会い、幸せな家庭生活、そしてその後の別れと今のひとり身の生活が、時ににぎやかに、時にしんみりと描かれる。事件らしい事件は起きない。
田中裕子はじめ出演陣は魅力的だが、演出、脚本ともに自分にはあまり響かなかった。芸達者な3人が演じる「寂しさ」も、それぞれの違いみたいのがあった方が面白かっただろう。
若き日の主人公の蒼井優のパートは良かった。東出昌大とともに「スパイの妻」に続いて快調。

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山の手ロック

2.5寂しさばかりが強調されてたように思います。

2020年11月11日
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鑑賞方法:映画館

笑える

難しい

寝られる

一人暮らしなのに、炬燵に沢山の蜜柑、今時スマホも持ってないし、いくら75歳でも昭和に過ぎるでしょう(笑)

令和の高齢者はもっと違うんじゃないかなあと、思うんだよね・・・

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ちゆう

3.0擬人化は成功か!?

2020年11月11日
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鑑賞方法:映画館

小説を読んでいないので、映画だけの感想。
夫を亡くした高齢者の妻の頭の中が擬人化で描かれていて、それに若い頃の思い出と現在とが交錯しつつ、淡々とした日常が描かれていた。
無理やり面白おかしく擬人化した感じがしたし、現実は起伏の無い日常生活だから、なんともとらえどころがない。
物語に結論がないから、そうなるのだろうし、くすっと笑えるけど、それだけかな。
でもなんとなく共感してしまうのは、自分もいずれこうなるのだろうか、!?思うからである。
なので、+0.5ポイント

個人的に一人暮らしの後期高齢者の親戚がいて、淋しさのあまりか色々やってくれちゃうから困っている。
この映画のように頭の中だけにしてほしいものだ。

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Jo

3.5お年寄りあるあるがいっぱい。

2020年11月10日
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楽しい

お年寄りあるあるがいっぱい。
僕は☆3.5個にさせていただきましたが、独り暮らしの年配女性が観たらかなり共感大できっと☆は増えるのではないでしょうか?
おばあちゃんの映画なのでかなりのんびりとしたテンポゆえに、油断すると眠くなるのでしっかりと睡眠をとってから観ることをオススメします。
田中裕子さん演じる桃子さんは、とても可愛らしいおばあちゃんでした。

あっそうだ、今晩久しぶりにひとりで暮らしている母親に電話してみよう。

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光陽

4.0Life goes on

2020年11月10日
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鑑賞方法:映画館

なんといっても蒼井優演じる桃子さんの若い頃のエピソードがまず良い。そして東出の佇まいが「惚れた男」というのに説得力を与える。
しかし「末永く幸せに暮らしましたとさ…」の後も人生は続く。「子供たちは立派に巣立ちましたとさ」の後も。なんならそれからの方が長かったり…
Life goes on, and on and on and on...
でも、そこにはそこにしかない楽しさや、「周造のはからい」があるんです。
超高齢社会の歩き方…

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ぱんちょ

4.0寂しいけど悲しくない

2020年11月10日
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鑑賞方法:映画館

ご主人を先に亡くした70過ぎの主人公。とてもいい感じのご夫婦だったんだろうけど愛する人を失っても、不思議と前向きな映画。田中裕子さんの湿っぽくない孤独さが絶妙だった。
毎日亡くなった家族のために仏壇に線香あげて、たまにお墓参りして、自分もそんな生活をしているけど、生きていたころよりも亡くなってからのほうが自分の中で考えることが多くなった気がする。
病院と図書館をいったりきたり、何気ない日常がストーリーになってこんなにおもしろい楽器のように奏でられるとは。沖田修一おそるべし。

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OKOYA

4.0良くできてる

2020年11月10日
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脚本がいいのかな??

あるあると言う台詞多くて

寂しさ1.2.3が登場すると、
思わず笑っちゃいました。

流石クドカン☆彡
いいですねー。

女性の人生良く描いていて、共感できました。
娘は、母に厳しいんだなぁーっと。

穏やかでありながら、一人で生きていきたかったという
つよいいし。

うまく表現できてた。

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花丸

3.0まったりと

Nさん
2020年11月10日
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ランチ後のやや眠いコンディションで行ったのが大きな敗因でしょう。さすがに眠い。長い。セリフのないサイレントなシーンも割と多くて。。序盤と最後の手前あたりがちょっと個人的にピンと来ず、うまく削ってあと30分短くしたほうが良い気がする。

田中さんはかわいかった。素敵。
まともな役の東出くんは今はまだまっすぐ受け入れきれなくてちょっと残念。

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N

3.5色々理解出来た。

2020年11月10日
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この映画を観て、
徘徊してしまうお年寄り、
独り言を繰り返すお年寄り、
詐欺に騙されるお年寄りの
そんな方々が少し理解出来た気がする。

一人の女性からあんな風に
愛されたら素敵だなぁって思った。
可愛らしい映画でした。

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しゃちょう

2.5ラストシーンはよかったけど、、

2020年11月9日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

寝られる

いい話なのはわかるけど、長いし、ゆるいし、眠い。冗長な映画が苦手であり、その類いの作品。

観る側を丁寧に意識して適度な尺でつくられた映画が好きな私としては、うーん。

寂しい分身、3人いる意味ないし。無駄が多い。無駄じゃない無駄とただの無駄があると思うけど、本作はただの無駄が少なからずあったと思う。

長くて伝えるのはそう難しくなく、短い中でしっかりメッセージを伝える大切さがあると思う。

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一言レビュー

4.0日常に魔法をかける、稀有な映画

2020年11月9日
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 日常のもやもやを忘れさせてくれる映画があふれる中、日常に魔法をかけてくれる稀有な映画を、またしても沖田修一監督が世に送り出してくれた。
 雨の降りしきる夜更け。古ぼけた暗い部屋で、一人お茶をすする桃子さんの周りに、突如、背格好も顔つきもばらばらの「寂しさ1・2・3」が登場する。桃子さんの生み出したイメージだという彼らは、若き日の桃子さん(の声)と掛け合い漫才のようなやり取りをし、もっさりした現在の桃子さんに何かと茶々を入れる。初めは彼らを無視・黙認、時には「のせられていた」桃子さんだが、四季がめぐるにつれ、少しずつ彼らと付き合うようになり、豆まきを経て、春には皆で楽しげに踊る。
 判で押したようなおきまりの生活を繰り返しながら「イメージ」と会話し、過去と現実を行き来する桃子さん。「孤独な老人」などと言うと、リア王並みの悲壮感が漂う。けれども、桃子さんは決して哀れな存在ではない。桃子さんは、案外しっかり者だ。かかりつけ医、図書館員、車のディーラー、息子の幼なじみだった警官、そして近くに住む娘や孫…の誰とも付かず離れず、ほどほどの距離を保っている。特定の誰かにおもねり頼らない桃子さんは、やっぱり「新しい女」なのだと思った。
 予告やちらしに繰り返しふれ、小3の子と公開を心待ちにしていたこともあり、「1・2・3」が登場すると「出たー!」と共に手を叩いて喜んだ。その後も、3人の茶目っ気やノートから飛び出してくる太古の生き物の伸びやかさにわくわくし、毎朝登場する「どうせ」のねちっこさににやにやした。途中でふと、桃子さんと母が同年代だと思い至り、若き日の母や今の姿、将来の自分についてもふわふわと考えた。
 桃子さんのような生活は、けっこう悪くない。というか、案外楽しそうだ。ひと様・世間様にとらわれないどころか、「今」にもとらわれていない。人間関係とも時間軸とも「ほどほど」の距離を保ち、今と過去を自在に行き来する生活。そんな楽しみを手に入れるきっかけは、実はどこにでも転がっているのかもしれない。見慣れた風景や聞き慣れた言葉を目に・耳にしたとき、かつての出来事がふっと心に浮かぶ。一見味気ない日々を繰り返しているのは、繰り返す中で、いつまでも色あせない思い出が形づくられていくからではないか。母、自分、そして隣にいる子が、それぞれに重ねてきた・重ねていく時間を思い、少しほろ苦いけれど、あたたかい気持ちになった。
… と、小難しいことはさておき。この映画に出会って以来、「おらだばおめだ、おらだばおめだ」というフレーズが何かにつけて頭をめぐり、リズムにのってる自分に気付く。子も、時々楽しげに口ずさんでいる。目の前の生活が味気なくなったら、好きなようにイメージを放ってみる。それだけで、日常はとても楽しい。一人でいることは、寂しいどころか、豊かさそのものだ。そう、気負わず素直に感じられるようになった。
 そういえば、昨日のこと。行きつけのスーパーで、開店前から居座っているおばあさんに、またしても出くわした。「待ってても開かないよ」、「開いたって欲しいものなんてないよ」、「何もないんだから」と果てしなく繰り返す彼女が、これまでどうにも苦手だった。けれども昨日は、「どうせ」が取り付いているイメージが見えた。そのうち、「1・2・3」が彼女を取り囲んでくれるかもしれない。もしやの再会も、そう悪くないと思えた。

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cma

3.0フムフム。

2020年11月9日
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孤独な老婦人の心模様を映像にしています。

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酒呑童滋

3.0騒々しい幸福よりも、贅沢な孤独を、選びたいと、そう、私は思うのだが

2020年11月9日
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原作は、最高齢の芥川賞で、なんだか狂気とおかしみが交錯したような味わいがありました。
この映画は、騒々しいだけで、とても、とまどいました。
これじゃ、くどかんと青木と濱田が無駄口をたたいているだけです。
どうして、孤独感を感じているのか、幸福と不幸のはざまにいるのか、説得力がありません。
でも、回想シーンの蒼井優と東出はよかった、とても良い演技だった。
どうしても彼が不倫して、妻を泣かすとは思えなかった、あれ、現実と映画が交錯して、この映画の主人公みたいだ。
回想シーンだけでも映画館でみる価値あり、です。

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アサシンⅡ

3.5長い人生、長い映画、電話したくなる

2020年11月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

長い、、、不思議な映画。
文字に起こせばとても悲しいストーリーだと思うけど、3人?の「寂しい」のおかげでポップなコメディーでもある。

オープニングから不思議。まじでスクリーン間違えたかと思った。

無音でなんとも言えない間があったり、よく意味のわからない映像あったり、最後の先生は、、、うーん。

独居老人の孤独と長い人生を見事に表しているような気もしますが、意味不明でもあります。
なんとも不思議な映画でした。

ただ言えることは、長い、そして眠い。
つまらない映画だった訳では無いのですが。

私の両親は、母が先に亡くなり、父の方が9年長生きしました。もう少し親孝行しておけば、と思いました。
どちらが生きていたら、きっと電話したと思います。
そういう温かさもありました。

あと、田中裕子さんはさすがですね。この雰囲気でこの役ですから。他の女優さんではまったく違う映画になっていたかと。

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だるまん

4.0生と死を力強く肯定する

2020年11月9日
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鑑賞方法:映画館

 設定が面白い。原作は未読なので同じなのかは不明だが、図書館の司書のおばちゃんがすすめるのは大正琴、太極拳、卓球と、全部「タ」ではじまるものだ。主人公の名前は日高桃子で、何のメタファーかはわからないが、日高さん、大正琴やんない?というのはゴロがいい。
 それにもうひとつ、桃子さんは意外に人が悪い。オレオレ詐欺の電話を軽くあしらう場面のあとで、疎遠にしている娘から金をねだられる場面がある。詐欺で250万円も取られたと娘から非難されるのだが、実はそれは桃子さんが予め予防線を張っていた訳だ。人の悪い桃子さんは心の中で舌を出していたはずだ。桃子さんの豊かな想像力が発揮されるのは娘に嘘を吐くことだけではない。

 1977年放送のテレビドラマ「ルーツ」は黒人の作家アレックス・ヘイリーが自分のルーツを辿る内容で、アフリカから連れてこられたクンタ・キンテまで遡るが、桃子さんが遡るのはふたつ。ひとつは岩手県の田舎を飛び出してから今に至る自分の半生であり、もうひとつは自分も含めた人類がよって来るよりも遥か過去、先史時代である。テレビで紹介されておなじみのアノマロカリスが古生代を象徴するアイコンとして描かれ、人類が登場してからはマンモスがアイコンとなる。
 炬燵にちょこんと座ってお茶をすする桃子おばあちゃんだが、その頭の中では想像力が時空間を超えて、宇宙全体の過去から未来に広がっている。生身の人間として日常生活を慎ましく営みつつ、一方では知性が探求を続けているというその多面性が、桃子さんという人格をとても深い存在にしている。思春期の少女のように自由を求める一方では、娘を軽くいなしてしまう老獪さも持っている。あれもこれも、みんな桃子さんなのだ。
 田中裕子は桃子さんという人間の多面性をすべて見せる見事な演技だった。そういえば田中裕子も「タ」ではじまる。蒼井優はまだ世界観の狭かった青春時代を若々しく演じる。東出昌大は例によって思い込みの激しい単純な男をステレオタイプに演じる。昭和の典型的な亭主をよく表現できていたと思う。

 人間は多面的で矛盾だらけで、正直でもあり狡猾な嘘つきでもある。そしていくつになっても人生に悩む。大江健三郎の「洪水はわが魂に及び」では、主人公大木勇魚は最期に鯨の魂、樹木の魂に対して「すべてよし!」と挨拶を送る。この宇宙の生きとし生けるものすべてを力強く肯定する言葉だ。本作品の世界観はそれに似ていて、桃子さんの存在自体が素晴らしいと主張し、人間の生と死を力強く肯定しているように思えた。

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耶馬英彦