劇場公開日 2021年10月15日

「100年後も観られる傑作?それとも・・・・・・」DUNE デューン 砂の惑星 ソドム対ゴジラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5100年後も観られる傑作?それとも・・・・・・

2024年4月2日
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フランク・ハーバートによる傑作SF小説を、ドゥニ・ビルヌーヴ監督が再映画化した本作は、100年後も名作として語り継がれているに違いありません。
(ある条件付きですが)

IMAX規格での上映形態もあり”映画館で観てこそ”という映画ファンの気風を生んでいますが、実はバチバチにキマった画作りや見事な美術などは家のテレビで観ても遜色無い作品で、新たなクラッシックとして残り続けるだけのポテンシャルを持っています。
元々作家性の強いビルヌーヴ監督のセンスが爆発していて、どこを切っても金太郎飴のように素晴らしいの一言。どこで止めても絵画のようなビジュアルが詰まっている、濃厚な映画作品になりました。
きっとこの先々も繰り返し観られる作品となっていくでしょう。

PART2の公開でそちらも現在話題ですが、そちらは後半の展開が駆け足気味でそこについての手厳しいご意見も見かけます。
しかしながら、原作を知る諸兄なら、このPART1と PART2がまだ原作の1巻の終わりまででしかないことはご存知かと思います。
本シリーズの醍醐味はここからで、ビルヌーヴ監督がこの後の2〜6巻までを映像化してくれれば、初めて映画として完成するのかなと。

原作は、元新聞記者で戦争中は写真家として戦地に赴いた経験を持つ、フランク・ハーバートが、砂丘に関する取材経験などを活かして書いた、長大な本SFシリーズ。
その真骨頂は、現実に存在する人類課題を濃縮還元したような題材と、古来から存在する英雄譚を、見事にハイブリッドさせた点だと思います。
しかしこの巨大な歴史と設定とそして物語は、他では味わえないほど美しく不気味で荘厳ですが、映像として知覚するするにはあまりにボリューミー。
SFやファンタジー作品の栄誉であるヒューゴー賞を獲るも、映画化に関して様々な苦労がありました(ここでは省きますが)。

そもそもこの長大な物語をどう映像にするのか。原作者に短い脚本を書かせるなど、試行錯誤もありました。
そうした先人達のアイデアなどをベースに本映画化が成し得ていることも細部に伺えます。
映画の歴史上、ようやくデューンを作るだけの技術が各プロダクションに充実して来た今だからこそ、このシリーズは作られているのではないでしょうか。
観た方々ならお分かりでしょうけども、スター・ウォーズやその他様々作品群に多大な影響を与えた本家本元デューンが、ついに錦を飾る時が来たのでしょう。
時代が、映画が、デューンに追いついたと言えるでしょう。

ビルヌーヴ監督には続きを、最後まで作ってもらわなければいけません。
それで初めて、サイエンスフィクションと映画の世界に、揺るぎないクラッシックが生まれるのではないでしょうか。
ダイジェストのようだと言われたリンチ版みたいに、“未完の傑作”呼ばわりだけはされたくないものです。

というわけで、まだまだ今後が楽しみという本作。
皆でチケットを買って応援することで、この続きをどうにかして作ってもらい、皆でこの傑作シリーズを完結させましょう。

ソドム対ゴジラ