劇場公開日 2021年10月1日

  • 予告編を見る

「 ヒューマンドラマということで過疎化の進む秋田を描き、閉校の迫った...」光を追いかけて アベカンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 ヒューマンドラマということで過疎化の進む秋田を描き、閉校の迫った...

2021年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ヒューマンドラマということで過疎化の進む秋田を描き、閉校の迫った中学校の3年生の生徒を中心に物語が進んいく。

 気になった点がある。いたずらといじめ、教師側の対応の問題と取り上げ方だ。
 いじめではないかという生徒の指摘があり、不登校も抱えている担任に対し、学校全体の問題として取り上げず、担任ひとりの問題にしてしまっていること。単なるいたずらに見えるが、してはならない行為に対して、対応していない。
 一方、いらずら(いじめ)をされた方の生徒は、そのことがきっかけで、別の、よりしてはならない行為に進んでしまう。
 教師たちは、一杯やりながら、なんだかんだと言いながら、ぎりぎりのところで踏ん張っていると自己肯定してしまう。
 終盤で、した方の生徒は、「自分で…」とかっこいいことを言い、それで、してはならなかった行為を帳消しにしてしまうが、された生徒に自分がすることを強制している。この流れでは、問題提起にも、解決にもなっていない。

 ネタバレしないように、映画を観ないとわからないように書いています。ここからはストーリーから離れます。
 将来、この物語の生徒たちは、秋田県の2040年人口半減問題に直面することになるだろう。今度は、閉校どころか、秋田県の消滅にもなりかねない。この映画では、今の大人たちは現状肯定するか、否定したとしても、今の状況は自分たちではどうしようもないと言っているように終わっている。その頃には、働き盛りになって生徒たちが今の大人たちと同じようなことを言うようになるのか、自分たちで何とかしようとするのか。また、いたずら(いじめ)をした生徒は反省なく大人になるのか。された生徒は心理的な負債を解消できるのか。
 エンディングに秋田県教育委員会の文字があったが、この映画をどのように見ているのだろうか。

アベカン