劇場公開日 2019年10月4日

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「歴史的事件を多角的に描く筆致、高まりゆくボルテージは必見」エンテベ空港の7日間 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0歴史的事件を多角的に描く筆致、高まりゆくボルテージは必見

2019年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

序盤から天井を突き破るようなボルテージに度肝を抜かれた。まずもって作品の随所にイスラエルの現代舞踏を効果的に盛り込んでみせたところが面白い。一見、ミスマッチにも思える技だが、徐々にその抽象的な表現性が、世界の中で孤立する国家、そして集団の中における個人を様々な形で投影していることに気づかされる。

なおかつ、このハイジャック事件を、犯行メンバー、機内乗務員、イスラエル政府、特殊部隊といった様々な視点から多角的に描き、それぞれの抱える葛藤を「これでもか」というほど炙り出してみせたところがなんとも圧巻。主演のダニエル・ブリュールとロザムンド・パイクの心の揺れ具合も見せ場がたっぷりだ。

監督のジョゼ・パジーリャは、『エリート・スクワッド』を始め、臨場感みなぎるアクションやサスペンスにおいて事件の最前線にいるようなダイナミズムを感じさせる逸材。やはり彼の作品にハズレなし。見て損はない秀作である。

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牛津厚信