バーナデット ママは行方不明のレビュー・感想・評価
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南極での行動が現実離れし過ぎていることもあって、「再生の物語」が心に響かない
主人公のバーナデットは、現状に適合できず、ストレスを溜め込んでいるはずなのに、そのように見えないのは、どうしたことだろう。
むしろ、(少々古いが)豪邸に住み、夫は大企業に勤め、娘は一流の学校に通っている彼女は、人も羨むような生活を送っているように見えて、お隣のママ友とのトラブルはあるものの、決して「鬱」とか「適応障害」とかの心の病にかかっているとは思えないのである。
やがて、新進気鋭の建築家だったバーナデットの過去が明らかになるが、彼女が挫折した経緯にそれほど大きなインパクトはなく、何で仕事を投げ出してしまったのかも納得できない。
そもそも、社会で華々しく活躍していた女性が、仕事を辞めて家庭に入ったことで、精神のバランスを崩すという図式は、少々類型的で、短絡的すぎるのではないか?
いずれにしても、彼女の満たされない現状がなかなか実感できないため、やりたいことをやって自分を取り戻すという彼女の「再生の物語」も、あまり心に響いて来ないのである。
バーナデットが南極に向かう経緯にしても、夫と娘に合流しようとしたからなのに、2人を探そうともせず、観測隊に潜り込んでしまうという展開には、違和感を感じざるを得ない。
そもそも、観光船にしてみれば、乗客がいなくなったら、スケジュールを変更してでも徹底的に捜索するはずで、これほど身勝手で迷惑な行為はないだろう。
当然、近くの観測基地にも問い合わせるだろうから、その時点で、すぐさま所在が判明して、船に連れ戻されることは間違いないし、ましてや、そのまま基地に居座って、南極点にまで行ってしまうことなど絶対にあり得ないだろう。
仮に、彼女が、南極点の基地を設計し、建設するにしても、現実的な手続きや手順を踏まえたものでなければ、それは、「絵空事」にしか見えないし、ラストで出てくる(恐らく)本物の施設の映像に、どこか唐突感を覚えるのも、そうした現実離れした展開のせいに違いない。
それから、母と娘の親友同士のような関係も、「寄宿舎」と「私立の進学校」の違いがよく分からず、実感しづらかったのは残念だった。
南極
映画館で予告編を観て、ケイト・ブランシェットが珍しくコミカルなので観賞。
そしたら、これまた好きな、クリステン・ウィグとジュディ・グリアも出てきて、得した気分♪
ローレンス・フィッシュバーンも(笑)
シンディ・ローパーの「Time After Time」が使われてます。
笑えて考えさせられます。
オチが好き(笑)
怖い役が多いケイト・ブランシェットですが、こんな役も、いいですね(笑)
ハイテンション鬱
「天才建築家」も、鬱でハイテンションの「主婦」も、ママを一筋に信じる「娘」も、IT長者の「夫・父」も単純で表面的な人物造型で説得力がなかった。バーナデットがどういう建築家で今に至ったかの経緯も、検索したり誰かが作った動画でわかるレベルで説明おしまい!にしてたのはがっかりした。
彼女を「天才」建築家にする必要は果たしてあったのか?「優秀な」で十分だと思った。そういう人で色々な理由で仕事の一線から退いた女性は沢山いたし今もいるだろう。それとも人嫌いとかママ友との付き合いが苦手なのは「天才」を理由にするときれいにまとまると考えたのだろうか?
鬱の初期に怒りっぽくなることはあると思うので他人に対するアグレッシブさはよくわかった。でも理不尽な対応であってもバーナデットは行動力あるし、家事ができず家の中がカオス状態であっても、自分の外見はきちんとできているのはちぐはぐだった。
仕事がしたい自分に向き合い本心を認めるのに20年かかるのか・・・?現場から20年離れてすぐ戻れる程、現場は変化していないのか・・・?疑問が溢れ出る映画だった。
ママだって自分の人生を生きたい
体の構造上、女性がママになるしかないけど、多くの人はママから仕事人に戻ることが心身共に難しくなる。
一卵性母娘って言葉がぴったりの母娘。
どこのママもそうだと思うけど、ママになれたのはとても幸せだし、子どもも可愛くてたまらないけどママ業が好きかと言われたら決してそうじゃない。どうしたって自分が後回しになってしまうから。
彼女はバリバリのキャリアウーマンだったけど、色んな問題から自分が子育てに没頭している中、旦那さんがガッツリ稼いでくれたら、敵の居ない安全な家の中にいるうちに守りに入ってしまったのかもしれない。
結果、彼女が自分を取り戻すために足りなかったのは休息じゃなくて、自分らしく生きる為に創造すること、つまり大好きな仕事に戻ること!
作りたい、と思ってからの行動力が凄かった。もうやるって決めたら絶対にやる人なのがよくわかったわ笑。
そして娘ちゃんのママへの想いが胸に刺さる。
一番近くにいて愛情を注いだ人が自分を理解してくれているというのは、何よりもの幸せだと思うな。
子育てに集中しすぎて外に目を向ける余裕がないママ世代に是非観て欲しい、絶対まだ輝けるチャンスがあると希望がわく!
沢山笑って沢山うるっときた、とても良い作品だった。
こじらせ主婦がアイデンティティを取り戻すまで
個人的にリチャード・リンクレイター作品に好きなものがない…というか、観たいと思わせる“引っかかり”がどうしても生まれてこなかった。そんな自分が本作を観たいと思ったのは、ケイト・ブランシェット主演作だったから。『TAR/ター』で高慢なカリスマ音楽家を演じた彼女が、こちらでは普通の主婦役というのに“引っかかり”を感じたため(製作はこちらの方が先)。いざ観たら、普通どころか結構こじらせた性格の主婦だったので、やっぱりブランシェットらしい作品選びだった。
主婦=バーナデットが何故こじらせたのかを辿っていくのが主なストーリーだが、その理由は誰しも起こり得る事。「社会の厄介者」から脱却するには、喪失したアイデンティティを取り戻す事しかない。
ストーリー自体は原作に概ね沿っているが、細かい点での脚色も。原作では夫エルジーが不倫してしまう件を止めて妻に寄り添う善き夫に変えたり(エルジー役のビリー・クラダップの好演が光る)、バーナデットの生き方を示唆する曲として用いていたザ・ビートルズの『アビィロード』を、映画ではシンディ・ローパーの『タイム・アフター・タイム』にしたのも、作品のテーマをより分かりやすくしていると思う。このあたりは劇伴チョイスに定評のあるリンクレイターらしい。
「人生が面白いかは自分次第」と早く学んだ方が楽しく暮らせる――とどのつまり、リンクレイター作品では一番好みとなったけど、一つ苦言。といっても作品自体ではなく上映形態の事情だが、バーナデットが心のバランスを崩す出来事などの細かい描写が、字幕版だと文字数制限で伝わりにくくなってしまっている。原作で補完できたとはいえ(ただ原作自体も独特の書式になっていてこれはこれで読み辛くもある)、このあたりは残念。吹き替え版とかでそれが解消されてほしいもの。
ケイト様の演技に釘付け
ケイトブランシェット良かった 〜!人間嫌いの主人公バーナデットは、ママ友や近所の人から嫌われていて、色々問題が...この辺りはブルージャスミンを思い出します。家族で南極旅行に行く予定だったはずが、1人で突っ走ってしまったりと、無謀キャラで面白かった。ぜひ日本で上映して欲しい作品です。機内鑑賞
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