劇場公開日 2019年9月6日

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「出演者の心のケアはしたのだろうか心配」タロウのバカ GINさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0出演者の心のケアはしたのだろうか心配

2022年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

若い男性2人が裸になって踊らされるシーンがあります。
「役者だからどんな演技でもやらなければいけない」「男だから裸になっても大丈夫」という考えはもう古いです。
役者は、監督の言いなりになりがちです。 それをいいことに、「いい映画を作るためだ」と言って、パワハラをしてしまってはいないか、 撮影中のパワハラや危険行為を監視する第三者が撮影現場にちゃんといたのか、 ちょっと心配になりました。
障がい者を使っている点についても同じです。 冒頭で、障がい者に「お前らは必要ない」みたいなセリフを浴びせかけるシーンがありますが、 障がい者にとってはキツすぎる言葉です。 撮影後の心のケアはしたのかが心配になります。 どこかの障がい者施設が撮影に協力しているのだと思いますが、 ちゃんと脚本を事前に施設側に提示していたのか疑いたくなるようなシーンです。 このシーンは、おそらく相模原の事件から着想を得ているのだと思いますが、 この映画は、あの事件の犯人が持っていた思想を、直接、障がい者にぶつけているという点で、 罪深い映画だと思いました。
監督は、社会から逸脱した若者を描いた「衝撃の問題作」を作りたかったのだと思いますが、 ネグレクトの問題にしろ、障がい者差別の問題にしろ、反社の問題にしろ、それ1つだけで1本の映画ができるくらい深い問題なのに、 それらのエッセンスをちょこっとずつ入れて、それで世界の暗部を描き出したつもりになっているのは、 自分にうぬぼれている若いシロウト監督と同じです。 1つ1つの問題に、もっと真摯に向き合ってください。

GIN