「何が彼女をそうさせたのか」劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] II. lost butterfly カバ太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0何が彼女をそうさせたのか

2019年1月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

本作を観た感想は、「圧巻」、ただその一言に尽きます。

須藤監督を始めとしたufotableのスタッフたちの変態的・変質的ともいえる情熱と執念が結実した、凄まじいクオリティの作品でした。
いいぞもっとやれ

Heaven's Feelはご存知の通り陰惨で薄暗く、正直見ていてあまり気分の良くないシーン・展開も多いかと思います。
ただ、それは鬱展開を見せるために主人公をひたすら酷い目に合わせるとか、グロシーンで話題を呼ぶためにとりあえずモブをいっぱい殺すとか、そういったものではありません。
その全てが物語を構成するための重要な要素であり、それらがあるからこそこの物語はこの方向に進んでいくのだと納得させられます。

原作の膨大なテキスト量をどうやって全三章の尺の中に収めるか、脚本の方もかなり悩まれたことと思いますが、一原作ファンとしては非常に大満足の出来でした。
ただ原作のテキストの内容を継ぎ接ぎで映像化するのではなく、原作の物語をどう映像に落とし込んでいくのか、どの場面も考えに考え抜いて作られているものと感じられました。
勿論奈須きのこ氏のテキストあってのTYPE-MOONと感じられる方も少なくないとは思いますが、それを加味してもこれ以上ないくらいの映像化だったと思います。

須藤監督は本作のテーマを「選択」と仰られていました。
衛宮士郎が何を選び、何を選ばなかったのか。
間桐桜が何を選び、何を選べなかったのか。
他のキャラクター達も含めて、彼らが何を想い、何を望み、何を選び、何を失ったのか。
各キャラクターの感情の機微とその過程に注目いただくと非常に楽しめるのではないかと思います。

なお、最大の問題はここから完結まで1年以上第三章の上映を待たなければならない生殺し状態が続くことです。
そんなときは是非原作をプレイしましょう(ダイマ)

カバ太郎